今週のマネジメント 「誰もが買いたくなる商品」は創ろうとするのに「誰もがヤル気を出すカラクリ」は考えもしない謎

 「最近の店舗運営のレベルの低さには目に余るものがある!」

 「『お客様に満足してもらいたい』という気持ちが少しも感じられないんですよ」

店舗運営の一部をフランチャイズ加盟店に任せている、あるチェーン企業の社長がおっしゃいました。

 

 「特に立地条件が良い店舗は顕著ですよ」

なまじそんなに努力しなくても、そこそこの集客力が元からあるせいか

 「一体どこに企業努力があるんだろうか?」と思うほど

 「もしかしたら『ただ日々店をまわしてます』という状態なんじゃないだろうか?」

 

私は何故社長がフランチャイズ制度を導入したのか?

理由を聞いてみたところ

 「お店をしっかり運営してもらいたいからです」

 「誰も助けてくれないという緊張感の中で結果を出し続けなければならないんですから、やはりそれなりのヤル気を持った企業、人材が集まるからです」

 

ところが残念なことに、そんな社長の考えとは逆の結果が今、出てしまっているということです。

私はここでまた疑問に思ったことを質問してみました。

 「社長は元からヤル気をもった人材が欲しいんでしょうか?」

 「今いる人材からヤル気を引き出すという選択はされていないのでしょうか?」

 

「もちろん今いる人材からヤル気を引き出すことはやってますよ」

「『このままではまずい』『本気を出さなければ』などと危機感を感じてもらうようにと、あの手この手でお伝えしているんです」

「しかし、残念なことに何年経っても変わらない店が多いんですよね」

「そんな中、嬉しい事に必死で売り込もうとする加盟店企業もあります」

「しかし、ただ売場に並べましたけど?」

という企業もありますし、ひどいところでは

「スタッフがいらっしゃいませもロクに言えない所」もあるんですよ。

「フランチャイズですから強く指導することもできませんし・・・困ったものです」

 

私は 

「それならば、誰もが勝手に全ての業務を社長が思っている以上に徹底したくなる」

「そんなカラクリを創ってみてはいかがですか?」

「勝手に動いてくれるんですから、フランチャイズの壁を気にすることもなくマネジメントが強化できますよ」

 

ところで、私がこのような事を言った時、こんな反応をされる方がいらっしゃいます。 

 「そんなの無理ですよ」

 「そんな夢のような方法があるのなら苦労しませんよ(笑)」 

時には

 「伊東さんはフランチャイズのことを全くわかってないね」 

など。

 

そうストレートに言われるのはまだいい方で

ほとんどの場合は

 まるで「この伊東ってヤツは何言ってるんだ?」

 「フランチャイズの事わかってるのか?」

という表情をされて、聞こえなかったような反応を示されることがあります。

 

ちなみに、今回の社長からは幸いにも

 「それはどんなカラクリなんですか?」

 「詳しく知りたいんですが」

と話の内容が次のステップに進んでいくことができました。

 

 

私が一番不思議に思うのは

普段から企業の体制として 

・お客様に対しては

 「どうしたら誰もが買ってくれるのか?」

徹底的に考え抜き、ああでもない、こうでもないなどと

時には莫大なコストと長い時間をかけてまで追求し、実現しようとしているのにも関わらず

・それが何故かそのターゲットがお客様ではなく、自社の従業員となると

途端に

 「そこまでやる必要あるの?」

 「会社に雇われている身なんだから、みんなヤル気を出して当たり前じゃないの?」

 「ヤル気が無い人は要らないよ」

 「そもそもフランチャイズには、介入してはいけない壁が存在するんだから越えられないでしょ」

と向き合う意気込みが全く変わってしまうことです。

 

どうも多くの企業内のマネジメント面には

 「ヤル気が無い人はどうやっても無駄」

 「すでにある法律や制度には突破口なんてない」

そんな考えが蔓延してしまっているんじゃないか?

と感じざるを得ません。

 

これは販売面で考えると非常におかしなことです。

 「商品が売れないのはお客様が悪いからだ」

と言ってるようなもの

 

当然、こんなことを平気で口に出せる企業が

 「何故うちの業績が上がっていかないんだろうか?」

と悩んでいたとしても、誰からもこう言われるでしょう。

 「そりゃそうだろう」

 

チェーン事業の利益を倍増できる最初の一歩は

マネジメント面において

  「そこまでやる必要あるの?」

  「みんなヤル気を出して当たり前じゃないの?」

と決めつけることではなく 

 「どうしたら誰もが勝手に全ての業務を社長が思っている以上に徹底したくなるのか?」

 「どうしたらフランチャイズの壁を超えてマネジメントを強化してもらえるのか?」

などと

 それまで商品開発、販売に向けていた「なんとしてでも突破口をみつけるぞ!」という意気込みのベクトルをマネジメント面に向けるだけです。

そんな企業だけが他社よりも圧倒的な利益を得られるように変化していきます。