今週のマネジメント 不祥事が発生しやすい企業と発生しない企業の違い

「社内でパワハラが発生しました」

またか!

 ・あれだけ気をつけなさいと日々注意してるのに

 ・罰則も厳しくしたし

 ・研修プログラムも導入したのに

今回もなんとか解決に至ったものの、しばらくするとまた

 「〇〇部署でセクハラが・・・」

 「■■店舗で内部不正が・・・」

 

もっと早く発見できていればなんとかなっていたはずなのに

たまに会社を揺るがすほど悪化しつくしてから報告されるケースも・・・

 

他の企業の経営者に聞くと

 「うちもそんなもんですよ」

 「経営者である以上、仕方ないでしょ(笑)」

 

 「でも私は極度の心配性なんです」

 「こんな経営者はあまりいないと思いますが

  ビクビクせずに、安心、安全を実感しつつ経営したいと試行錯誤してるんです」

 「伊東さん、何かうまい方法はありませんか?」

ある企業の社長から相談を受けました。

 

経営者が普通の人から見られた時

 「企業を経営してるくらいの人なんだから、きっとみんな肝が据わった人達なんだろう」

そんな目で見られがちではありますが、

実際には経営者も十人十色で、上記の例のように

トラブルに対して

 「受けて立つぞ」

 「何でもこい」

 「私が解決してやるから、皆もできるようになりなさい」

など、素手で立ち向かう方もいらっしゃれば

ご相談いただいた経営者のように

 「何か事前に対策をうっておかなければ不安でしょうがない」

という方もいらっしゃいます。

 

経営者ですからどのようにするか?は自由です。

経営者の色が出れば出るほど組織は強くなるものです。

ただ、人と組織の力をうまく導いて、圧倒的な利益を得られる企業にしたいとお考えなのであれば、後者のように事前に対策を練っておくべきです

 

その理由は 不祥事は早期発見、早期解決が良い事はもちろん

不祥事によりダメージを負った被害者が会社を去ってしまうことを回避することができ、

更にその人には強靭な精神を育み、場合によってはその経験がきっかけで、企業の稼ぎ頭として生まれ変わってくれたなどの変化を遂げる方も現れるからです。

 

社長から受けた相談内容は

 「当社では、このぐらいのぺースで不祥事が無いか?チェックしてるんですが

  今度はペースをより短くして、更にチェック項目もいくつか増やしました」

 「いかがでしょうか?」

 

私は

 「なぜ、会社側から被害者に何かしてあげようとしてるんですか?」

 「そもそも『チェックしよう』とするのではなく『待つ形』にすべきですよ」

 

ここで

 「は?」

 「普通パワハラ、セクハラなどを受けた被害者人は『困ってます』と言ってこないでしょ」

 「だから本部がどう動くか?を必死に考えてるんじゃないか!」

とおっしゃる方も多い事でしょう。 

 

しかし、本当に被害者は

 「自分が我慢しよう」

 『泣き寝入り』 をすぐに選択するものなのでしょうか?

 

誰かに

 「君、大丈夫?」

 「顔色悪いよ」

 「困ったことでもあったの?」

などの 「助け船を待つ」という選択肢を「誰もがいきなり選ぶ」のでしょうか?

 

社会人はおそらく誰もが、それまでの人生で「泣き寝入り」を経験したことはあるでしょう。

問題は、なぜ泣き寝入りという選択肢を選んだのか?

 ・何故解決せずに我慢したのか?

 ・どんな環境であったら「相談したい」「解決したい」と動いていたのか?

 ・何が邪魔だったのか?

重要なのは「泣き寝入り」という選択肢を「いきなり選ぶ人は居ない」ということ

  

 

チェーン事業の特徴は「働く人達の数が多い」です。

やってしまいがちなのは、社員やスタッフの為にチェーン本部が「なんとかしなきゃ」と動くこと。

ターゲットがとても多い為、マネジメント面においても

 「2、3人をやっと一人前にできたぞ!」

と満足していたら他のところで

 「5、6人が入れ替わってました」

などはよくあることです。

 

ディフェンス面においても同じで

 「誰かに時間をかけてやっと解決に至ったら、違う誰かと誰かに別の問題が発生していた」

など「なんとかしなきゃ」というスタンスではいつまでも好転せず、時間とコストばかりが大きくかかってしまう事態が発生しやすい体質です。

 

そのことに気が付いているチェーンでは 

 「チェックする」

 「罰則を厳しくする」

 「研修させる」

など会社から働きかける形ではなく

 「チェックしなくても、挙がってくる

 「罰則を厳しくしなくても、気を付けたくなる

 「研修させなくても、勉強したくなる

という「待ちの形」を創ることに専念します

 

 

このコラムをご覧の経営者はいかがでしょうか?

 「どうしたら助け舟を出せるのか」

にエネルギーを注力していませんか?

 

 「助けて」

 「困ってます」

と本人から動いてくれるには?

また

 「この接し方はまずいのでは?」

 「客観的に見ると危ないな」

など自分で気が付き、自戒したくなるには?

というプル型の方向性はじっくり検討され、実現できていますか?