今週のマネジメント 新人いじめが横行してしまう理由とは?

 ・将来有望な人だったのに「ギブアップしたい」と言ってきた

 ・いくら説得しても時すでに遅し

 

「最近こんな事がありまして」

「実は過去にも似たようなことは何度か起きてまして・・・」

それもなぜか「この人には光るものがあるな」という有能な人ばかりなんです

とおっしゃる経営者がいらっしゃいました。

 

社長は原因を探り

 「貴重な人材が我が社に定着しないのは、このせいじゃないのか?」

と運良くつきとめられた理由は、辞めてしまった人の周囲の人達の証言からでした。

 

 「彼は普段から周りの人から良く思われていなかったせいか、雑な扱いを受けていました」

 

どうも社内では、悪質な新人いじめが発生していたようなんです。

しかし社長は原因はわかったけど、さてどう手を打ったらいいものか? お悩みな様子でした。

 

いちいち内部調査をしてトップがその都度

 「いじめが起きてるようだな!」

 「そういうことは止めなさい!」

と言ったとしても効果が無いのはわかりきっています。

 「伊東さん、何かうまい方法がありますかね?」

と聞かれました。

 

そこで私が社長に質問してみたことは

「御社には、誰もが自分をアピールできている場がありますか?」

 

 「・・・ええ、ありますよ」

 

「ではそのアピールできる場は本当に『誰もが』を実現できていますか?」

「誰もが参加可能なのに『脚光を浴びているのはいつも同じメンツばかり』になっていませんか?」

 

 「ああ~・・・そうなっちゃってますね」

 「・・・でもアピールの場といじめに何の関係があるんですか?」

 

と社長は強く危機感を感じているようで、更に質問をいただきました。

 

 

ここで社長のように危機感を感じて対策を打ちたい という企業と

「社内のいじめ」に無頓着な企業とで反応が別れてしまいます。

 

後者の企業は

 「そんな細かい事はほっとけ」

 「いちいち経営者が手を打つことじゃないだろう」

というお考えです。

 

しかし断言しますが、

会社が社内のいじめに無頓着だと、他社を圧倒する利益を得続ける事は不可能です。

 

 

自己アピールの場といじめに何の関係があるのか?

それは、社内のいじめについて何ら対策を打っていないとどうなるのか?

を分析することで答えがわかります。

 

困ったことに、社内で「いじめ」が発生する可能性はあらゆる企業にあります。

いじめとは、例えば

 「特定の人に対して、数人で陰口を繰り返す」

 「派閥が生まれ、部外者を攻撃する」

などです。

 

どうにも人間には「寄ってたかって誰かをいじめたい」という欲求があるのか、

世の中にはそれを証明するかのように「公開型いじめコンテンツ」があり、一定数の需要もあります。

 

例えば

 ・ワイドショー 「〇〇さんが□□した!」

 ・週刊誌のゴシップネタ

 ・世間ずれが激しい人がバラエティー番組などで注目される(いじられる)

 ・ある人、ある企業を批判する本が売れる

 ・SNSの炎上

など

 

昭和、平成、令和と時代の移り変わりとともに「誰かを傷つけてはならない」と世間的なNG事項が一見、増えていってるようですが、上記のようにいじめはどんなに社会が発展していってもその姿、形を変えて人々の需要を満たそうとしつこく存在し続けています。

 

そこで企業経営者にとって、非常に厄介なのが

いじめのターゲットになってしまう人物は、企業にとって超重要人物であることが多い

ということです。

 

なぜなら「企業内のいじめのターゲット」となってしまう人はどんな人なのか?

それは 「常識からズレた行為をする人」 だからです。

 

この時点ですでに

 「あ、そうか。それはマズイね」

 「そりゃ社内いじめを放っておくと、業績は上がっていかないわ」

とお気づきの経営者もいらっしゃることでしょう。

 

なぜなら

企業の数値を大きく塗り替えられる素質があり、努力し続けている優秀な人達の言動もまた常識からズレている

からです。

 

よって最悪なのは

そんな「会社の業績に莫大な結果をもたらすであろう人」に対して他の人達がよってたかって

 「余計な事をするな!」

 「みんながやっていることだけに集中しろ」

 「君がそんなことをしているから、みんなが迷惑するんだ」

など、直接のあたりを激しくしたり

本人がいない陰では

 「またアイツはこんなことをしていたぞ」

 「まじか? またアイツか。 困ったもんだ」

 「ヤツのこんな行為を許していいのか?」

 「みんなはどう思う?」

など、その他大勢を味方につけて「これでもか!」と蹴落としに必死になってしまうことです。

 

当然、この状態を企業として放置していますと、せっかく業績に貢献するであろう有能な人達は

 「やっぱりチャレンジはやめて、いつも通り淡々と仕事をするか」

とあきらめたり、場合によっては

 「この会社じゃ自分の輝ける場所は無いな」

と会社を辞めてしまいます。

 

どの企業にも優秀な人材が入ってくるチャンスはあります。

せっかくの稀に入ってくるぐらいの貴重な人材は、次々に他社に流出していってしまいます。

 

では肝心の、いじめる側の対処をどうするべきか?

 

それは 自己アピールの場をきちんと整備すること です。

その理由は 自分を磨くことに必死な人は、いじめに時間を割いている暇はないから です。

 

社内に自己アピールの場が整備されていますと

誰もが自分磨きに専念したくなるからで、いじめにエネルギーを割く人はいなくなります。

 

これは 

 「社内のいじめは完全には無くすことはできない」

だから

 「どうしたらそのエネルギーを、自社の業績UPの方向に変換できるか?」

という考えから生まれた戦略でもあり

 「もしかしたらいじめる側に回る人達は、自らのアピールがうまくできず、行き場のないエネルギーを仕方なく誰かに向けているのでは?」

という仮説の元から導き出された戦略でもあります。

 

 

ちなみに、チェーン事業の利益を倍増できた企業は

どの企業も「誰もが自分を徹底的にアピールできている場」が整っています

 

それは

 ・入りたての一か月目の社員 であっても

 ・結果がすぐに現れない裏方の部署の契約社員 であっても

 ・担当さえ割り当てられていない、日々ルーティンをこなすだけの店舗スタッフ であっても

です。

 

 

誰もが自分をアピールできる場はありますか?

という質問に対して「うちの会社にはあるよ」とおっしゃる企業には更にお聞きします。 

 

「実際に自己アピールできている人は、いつも同じメンツになっていませんか?」

「実際に、誰もが自己アピールできている結果が出ていますか?」