今週のマネジメント 熱血な陣頭指揮を執るより業績が上がった理由

「まるで独走状態ですね」
 「しかし、社長は以前と違って・・・」
 「なんというか・・・全力疾走をやめて、競歩に変えた感じ?」
 「業績UPの秘訣はそれですか?」
コロナ禍において、同業他社が苦戦している中、
自社だけが業績を伸ばせている飲食チェーンのG社の社長が、取引先のある社長にこう質問されたそうです。

 

 「それは仕組みを創りましたからね」
   「どんな仕組みですか?」
  「一言で言うと・・・『皆が走りたくてしょうがなくなる』仕組みですかね。」
   「なるほど・・・」
しかし、それ以上掘り下げて聞かれることもなかった為、ほどなくして別の話題に変わったそうです。

 

「昨日、そんなやりとりがあったんですよ」
と私に対してG社長は
 「いや~ 私はね。伊東さん。どんな?どんな?と聞かれたら応えようかとも思ったんですよ」
 「それは人と組織のマネジメントシステムっていうね・・・って」

 「でも、その社長も、前の私みたいにリーダー自身が全力疾走するタイプだからなんでしょうかね?」
 「もしかしたら『あ、G社の社長は楽し始めたな』って思われたかもしれませんね」
と気さくに笑いながらおっしゃっていました。

 

私はG社社長に
 「チェーン業界には、仕組みを創るってのは代表の仕事じゃない!」
 「常に最前線にいて陣頭指揮を執るのが当たりまえでしょ!」
といった考え方が多いですからね。
  「そうなんですよね~」
  「なんせ、伊東さんと会う前の私もそうでしたから(笑)」

 

先日そういったやりとりがありましたが、以前はG社の社長も常に
 「遅いぞ!」
 「次だ次」
 「みんな、遅れずに俺についてこい!」
 「立ち止まるんじゃない」
 「お客様は待ってくれないぞ」
などの熱血な陣頭指揮を執られている方でした。

 

当時の社長の心境は
 「このぐらいのスピードを維持してやっと成長できるんだ」
 「リーダーが一番動かないと会社は存続できない」
という考えだったそうです。

 

ところが今は、自ら率先して動くことはなく、状況を見守りつつ常にニコニコ。
社員、スタッフをグイグイ引っ張って進む・・・というような素振りはありません。

 

しかし、だからといって「楽」をしているわけではなく
社長は、裏では社員、スタッフ全員が
 ・どうしたら「もっと頑張りたい」と思ってくれるのか?
 ・何をすれば「もっと努力したい」と動いてくれるのか?
必死に、そうなる為の仕組みの改変を常に行っています。

 

結局G社は、業績を上げる為に何を変えたのか?は
動かす体の部分を変えたということになります。
 ・以前に動かしていたのは「手足」でしたが
 ・現在、動かしているのは「頭」です。

 

自社のチェーン事業の業績を伸ばす為にはどちらが最適なのか?
よく見極めた企業だけが、ぶっちぎりの快進撃を続けられる秘訣です。