今週のマネジメント 社長が興味を引かれるほどの従業員が生まれてくる企業にある「恐れ」と「願い」とは?

世の中には数えきれないほど、様々なコンテンツが溢れています。

中には注目を集め、多くの支持を得られているものもありますが、

 「あ~ハイハイ、また出ましたね、そのありきたりパターン」

 「見るまでも無い」

などと、即スルーしてしまうことがほとんどではないでしょうか?

 

しかし稀に

 「スルーしようと思ったけど・・・何か引っかかるな・・・」

というものもあります。

興味が湧いて 

 「ちょっと覗いてみたいな」

 「でも・・・どうせこうなっていく流れなんじゃないの?」

ダメもとで選んでみたところ

 「おっ これは・・・!!」

 

想像以上の中身となっていて

 「ふんふん、それで?それで?」

 「一体どうなっていくんだ!?」

など、ついついズルズル引き込まれてしまう魅力一杯の「大当たり」も存在します。

 

ただそういった「当たりコンテンツ」は「太い芯」が存在するからこそ、人を魅了できるわけで、芯が無く外見だけは立派で中身がハリボテだったり、どこかで見聞きした他人の良いコンテンツを上手にマネしただけだったりすると、せっかく目を留めてもらったのにも関わらず

 「ホラ~、やっぱり」

 「もう2度と選ばないぞ」

となってしまうのがオチです。

 

選ぶ側の目は鋭いものです。

選んでもらう側は「太い芯」をもとに、正しい手順で磨きをかけていかなければ、せっかくのチャンスを活かすことが出来ません。
 
 

さて、これと似たような事がチェーンビジネスを経営されている企業の、マネジメント面にも発生します。

それは社長が社員やスタッフに目をやった時です。

 

他業種に比べてどうしても働く人達の数が多くなる事業ですから、いくら社長が従業員達の成長を願っていたとしても、一人一人に浴びせてあげられるスポットライトの時間はそう長く取れません。

そんな貴重なタイミングにおいて願わくば

 ・「ふんふん、それでそれで? 一体どうなるの?」と社長自身を前のめりにさせられるような人が欲しい!

 ・「我こそは、社長の心を激しく揺さぶれますよ!」という人がバンバン出て来て欲しい!

そう望んでいる社長もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

しかし、そんな社員やスタッフが現れるのはほんの一握りです。

会社として、社長として、何も手を打ってなければ興味をそそられる人が生まれてくる確率など微々たるもので、ライバル企業に差を付けていくこともできません。

やっとこさ社員やスタッフにスポットライトを浴びせてあげられたとしても

 「あ~、ハイハイ。君はそのタイプね」

 「まぁそんな人・・・いっぱいいるよね」

となってしまい「私の興味無し」というラベルシールが貼られた引き出しに長い間、眠らせておくこととなるでしょう。

 

社長が「私を魅了できるほどの社員やスタッフを、会社としてバンバン生み出したい」と願うのであれば、会社のマネジメント面に「他社には存在しない工夫」が必要になってきます。

 

できればこの工夫を社内にスッと確立したいものですが、なかなかそういうわけにもいきません。厄介なポイントがあるからです。

それは「社員やスタッフのみなさんが義務教育を受けて来ている人達」だということです。 
義務教育は日本人であれば、大人になるまでに誰もが受けられ、ビジネスの「基礎知識」が得られるありがたい制度なのですが、問題なのは「会社を成長させられる人に欠かせない要素」としてとても重要な「人の独自性」「多様性」をそこでは「良からぬモノ」と見られてきたところにあります。

それは

 「みんなと違った事をするな」

 「輪を乱すな」

 「あいつは空気が読めないヤツだ」

 「無視しよう」

 「排除しようぜ」

などという風潮です。

 

最近になって、やっと学生の自己表現や自己主張をする力を育てようと、高校入試においては、従来は答えが一つしかない単一回答式の問題から、複数の答えがある複数回答式の問題が増えてきていますが、昔はそういった考えは浸透していませんでした。

その為か、会社で働く社員やスタッフにも

 「皆が横一直であるべき」

 「前ならえが基本」

 「言われたことだけを素直にやるべき」

 「余計な事をしてはいけない」

という考えがこびりついたままとなってしまっていて、どうにか大きな結果を出したいのに・・・なぜかうまくいかない・・・と苦労している方もいます。

 

一方、成功者は全く逆で、周りの人達からは、はみ出し者だ、ヤンチャ、聞かん坊、人の話を聞かない、ぶっとんでる、と言われてきた人達の方が多いです。

彼らの基本は

 「いかに皆とは別の視点を持てるか?」

 「それを信じて貫き通せるか」

であり、なかには

 「私が他の人達と同じことをするだなんて冗談じゃない!」

と毛嫌いされる方もいらっしゃいます。

 

ここで疑問を持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

「伊東さん、成功している社長ならそこで働く社員やスタッフにはその極意を簡単に伝えられ、苦労などしないのでは?」

 

実はそううまくいきません。

なぜなら私が知る範囲では成功者は理論派というより感覚派が多いからです。

それまで他人より順調に成功を重ねてこれた人が、いざその極意を伝えようとする側に回ってうまくいかない日々が続きますと

 「はて? ・・・ 一体私はどうして結果を出せてきたのだろうか?」

となってしまうことも。

 

あまりの手応えの無さに「もういいや」「感覚をそのまま伝えりゃわかってくれるだろう」など「工夫する」というステップを飛ばしてしまうリーダーもいます。

これは組織が小さいのなら何とかなるのですが、チェーンビジネスとなるとそうもいきません。

リーダーが逐一、手取り足取りで「やっと君は一人前になれたね」と、苦労の末に1人育てられたとして、ふと組織内を見渡してみたらその間に5~6人が入れ替わっていた・・・ということが当り前だからです。

社長一人がマネジメントに直接力を注ぎ始めたとしても、時間とともに想いが浸透させられていくどころか、逆にどんどん薄れていってしまうことでしょう。

 

では、実際に稼ぐチェーンの社長は? といいますと「もういいや」と工夫自体を放棄してしまうことも無く「何度失敗しても工夫を形にしてやるぞ!」という想いで臨めています。

 

なぜ、そうなれるのか?

諦めずに工夫を凝らす事に集中し続けられる理由は何なのか?

 

ここで私が挙げるのは「社長ご自身の感情」です。

それは「恐れ」と「願い」です。

並々ならぬこの2つの感情が「絶対に工夫を成し遂げるぞ!」という社長の完遂力につながります。

 

一体どんな恐れと願いなのか?といいますと、文章でご説明するよりも実際に感じてもらった方がうまくお伝えできるでしょう。

私からコラムをご覧の貴方に2つの質問を投げかけます。

その質問についてどう感じたか? その感情が答えだと捉えて下さい。

 


 Q1.御社の従業員の中に「挑戦を繰り返したい」と思っている人が「言われたことしかやらない人達」に囲まれていて安心できますか?

 

 Q2.「言われたことしかやらない人」が「挑戦を繰り返す人達」に囲まれていたらどうなっていくと思いますか?

 

 

 

組織を動かすのは大変です。

そしてリーダーが直接誘導せずとも、進んで欲しい方向に動いてくれるようになる工夫をするのはもっと大変です。

つい投げ出したくなり、直接動かそうとしたくもなるでしょう。

しかし、それでも「あきらめない」「やるぞ」と続けられ、完遂できる人は「感情」という原動力を味方につけています。

 「組織の仲間たちにはこうあってほしい!」

くじけそうな時はそんな「自分の感情」を味方につけてみてください。