今週のマネジメント 「そんなのを求めてたんだよ」と社長を唸らせる従業員だらけの会社に変える1アクションとは?

 「どうやったらあんなにエリートが集まるの?」

ライバル企業の発表をご覧になったある経営者がおっしゃいました。

 

会社の成果を発表する場やメディアを目にした時、一見では「有能な参謀だらけで、きっと社長が動き回らずとも彼らが会社の業績をバンバン上げていってくれているのでは?」と、捉えてしまうほどのものもありますが、実際にその予測通りに会社がうまくまとまっていて、業績に直結していってるかどうか?まではわかりません。

「あんなに順調に見えていたのに?」と思っていた企業が突然無くなってしまう事があるように、会社のマネジメントの面も、外側から見ても「統率が執れた有能なエリート集団だらけ」に見えても、実はそのエリート達が好き勝手に動き回っていて、常に社長の手を焼かせていたり、逆に「この人大丈夫かな?」と心配されるような人ばかりの企業であったとしても、社長が長期不在となっても問題なく会社をまわすことができ、更には「え?私が居ない間にそんなことまでしてくれたの?」と社長の想定以上の成果を上げられる強い組織だったり・・・わからないものです。

 

社長の中にはそんな「ライバル企業よりも圧倒的な結果を出し続けたい」「誰もが社長の想定以上の結果を出し続けられる強い会社にしたい」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

とくに働く人の数が圧倒的に多くなってしまうチェーンビジネス企業にとってはこのような会社の方針は、業績を上げるために非常に相性が良い方針と言えます。

なぜなら一人一人のマネジメントに時間がかかってしまっている体質では、会社の規模が大きく、人の数が多い組織ほど不利となってしまうからです。

しかしこれは簡単ではありません。

そんな強い会社を目指して動き続けても何年も、いや何十年かかっても実現できないケースさえあるからです。

 

では、いち早く社内体制を「そうそうそう!、そんなのを求めていたんだよ」と社長がつい唸ってしまうほどの成果を上げ続けられる状態にできる会社と、いつまでも実現できず、常に社長の手を煩わせてしまう企業の違いはどこにあるのか?

 

結論から言いますと、それは「社長はどうあるべきなのか? 社長自身がそのイメージを明確にしているかどうか?」です。

 

「たかがそんな事ですか?」と言われてしまうかもしれません。

この1アクションは一見、他愛も無くすぐにできそうな事にも見えますが、実はこの効果は凄まじく、そしていざやってみようとしてもそう簡単にできることでもありません。

 

ここで貴方に質問です。

Q:会社の社長とは、普段どんな仕事をしている人なのでしょうか?

 

 

実はこの答えに正解はありません。

社長自身が「こうすべきだ」「ああすべきだ」と決めたらそれが答えだからで、千差万別だからです。

つまり、社長自身としても「社長はこうあるべきだ」というイメージが不鮮明のままだと、そのもとで働く社員やスタッフはもっと不鮮明であって「社長はこうあるべきだ」というイメージなど持てるはずもないのです。 

さてそんな状態でもし、社長自身が「自分はなんとなくだけど・・・自分が居なくても、みんなが業績を上げていけるような強い会社になったらいいな~」と漠然と思っていて、その想いを公言もしていなかったら・・・どうなることでしょう?

 

当然、社長がとる全てのアクションはそれに連動した形となります。

社長と接した従業員は、はっきりとは認識できないにしても、

 「何となくだけど・・・どうも社長は『いいか? 私(社長)がいなくても、君は結果を出せるようになりなさいよ』と言ってるみたいに感じるなぁ・・・」

となるでしょう。

問題はその後です。

 「果たして社内の全ての社員、スタッフが社長のその秘めたる社長像を鮮明に感じ取ってくれて、快く賛同してくれるのでしょうか?」

  

会社がまだ小さく、従業員が数える程度のうちはこれは大した事ではないかもしれません。しかし、会社の規模が大きくなっていったり、主力事業がチェーンビジネスのように働く人の数が多くなってしまう事業でも「誰もが」賛同してくれるのでしょうか?

 

そしてここでまた一つ質問です。

Q:会社で働く社員やスタッフは、上司がそばに居る場合と居ない場合、どちらがスムーズに仕事が進むのでしょうか?

 

 

 

当たり前のことですが「いいか? 君達は私が居なくても結果を出せるような強いビジネスマンになって欲しいんだ」というたった一言、二言だけで「ハイ!わかりました」と、いきなり想定以上の結果が出せていけることなどまず不可能です。

そうなってもらうには様々な工夫が必要です。

よって、社長ご自身が「社長とはこうあるべきだ」という1アクションが無いままだと「確かに社長はそうあるべきだ! じゃあ我々は動きを変えなければいけないぞ」などと、従業員から次第に納得を得られていける・・・どころか、その最初の説明さえできないのです。

 

その点、きちんと「社長とはこうあるべき!」というアクションをとっていれば、それが基点、拠点、派生元となり、そこから様々な仕掛けを生み出していけます。

たとえ社長や自分の上司は常に傍にいてほしい、いるのは当たり前じゃないの?という考えの人達であっても「私の今までの考えが甘かった、目が覚めた、いつまでも上司に甘えていられないぞ」と次々に行動が変わっていき、それまで「傍にいて見てあげていないと心配で心配で・・・」という、とても大人?とは言えない人達であっても、やがては「どうですか社長! 私が出したこの結果を見て下さいよ!」となっていきます。

社長は会社に常に居る必要もなくなります。

社外の広い世界のどこかに眠っている「自社の業績につながる様々な情報や技術、商品」見つけては取り入れて・・・と動き回っている日々、ふと我社に目をやってみると 「何だこの凄い結果は?」「どうやってこうなった?」 「さすがだね、君達は」 と驚かされる結果が待っています。

 

御社がもし「社長が居なくても、誰もが素晴らしい結果を出し続けられる強い組織にしたい」と望んでいるとしたら「社長の仕事はこうあるべきだ」というアクションを明確にされているでしょうか?

そして、それを元に工夫、しかけを順調に重ねていけてますか?

それともそのアクションが無いまま「私の見えない想いを敏感に感じ取りなさい。そしてできれば賛同もしてくれよ」とか「君達がもっと育ってくれたら、いずれは私はこうなっていくはず・・・」などとなっていませんか?