今週のマネジメント 第461号 「実力主義など口だけ」そう捉えられてしまう会社の特徴とは?

 「私が率先して動いているのは、好きだからではありません」

 「仕方なく、ですよ」

ある社長がおっしゃいました。

 

理由は、全従業員がそうなってほしいから

 

しかし社長が感じているのは

 ・結果を出そうと真剣な人はいるが、ほんの一握り

 ・それが特定の人達だけ。代わる代わる誰もが真剣になるわけではない

 ・まるで「目の前の仕事をこなしてればいいや」の状態

 

店舗ビジネスはお互いに離れた場所で仕事をしています。

リーダーを中心に常に固まって仕事をしているわけではありません。

 

また、働く時間帯も違います。

出勤、退勤時間がみんな同じというわけでもありません。

 

そんな人と人との距離が広がってしまう為か、社長の熱い想いが浸透しづらい特徴があります。

 

だからなのか、困ったことに

 「どうせ見られていないんだから」

そんな方も増えてしまいやすいです。

 

そうならないようにと、上記の企業のように、社長自らが「君達の仕事に臨む姿勢はこうあるべきだ」と、背中を見せて頑張ってきている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

なぜ、真剣な人達は一部の限られた人達となり、他の人達は冷めたままなのか?

 

その理由は企業によって様々ですが、今回のコラムでは多くの企業にあてはまる原因を挙げます。

 

それは

 社員やスタッフ達が自らの成果をアピールできるようになっていますか?

 

たまにこんな声を耳にします。

 「評価される人とは、普段から上司の目にとまるような成果を出し続けている人だ」

 「あれもこれも頑張っていれば、やがて『〇〇さんは優秀だ』と目に留まり、評価されていく」

 

私はこういった方法を採用している企業を否定したいわけではありません。

この方法は、とても強いビジネスマンが生まれていくからです。

 

しかし、そんな企業の社長には一つ持っておいて欲しい視点があります。

それは、時代の流れによって変わってきている社員、スタッフ達の勤務時間です。

 

 Q:社員やスタッフ達の勤務時間は、昔に比べてどう変化しているでしょうか?

 

 

ちなみに今から20年前、私はある企業の社員でしたが、こんな気持ちで働いていました。

 「いかに身を削って結果を出せるか」

 「残業など当たり前」

 「必殺、自宅に仕事の持ち帰り」

 「伝家の宝刀、休日出勤」

 

当時はいかに多くの時間を仕事に捧げられるか?

私のみならず、同僚や他社にもそういった考えが根強く浸透していました。

 

その為、

 「あれもこれも結果を出して、会社の人達から『君はなかなかやるね』と言われる」

そんなことも、本人の気合次第でした。

 

ただ、今の時代はどうでしょうか?

 

きっとそんな事を許している企業があったとしたら、たちまちこう言われます。

ブラック企業だ。

 

大事なのは「従業員達の働く時間がどう変化してきて、それに今、どう合わせるのか?」

 

そこで私がお勧めするのが

 社員やスタッフ達が自らの成果をアピールできるようにする

です。

 

このスタイルはシンプルですが、大きなメリットがあります。

それは「社長が示したベクトルとみんなのベクトルがブレにくい」

 

組織ではよくあることですが、必ずしも

 社員やスタッフが頑張ったことが

 社長や上司にとって「よくやった」

など、両者のベクトルがマッチする・・・とは言えません。

 

残念な事に

 社員やスタッフが「頑張りました」

 社長や上司にとって「力を入れるところはそこじゃないよ」

などベクトルが違っていたのはよくある事です。

 

あなたもこんな経験はありませんか?

 「せっかくこんなに頑張ったのに」

 「誰も見てくれない」

 

会社としては頑張って欲しい。

一方、社員やスタッフからすれば、私はこんなに頑張ったのに・・・

社長は実力主義っていってるけど、違うじゃないか。

そんなスレ違いが発生しているかもしれません。 

 

しかし社内に自らの成果をアピールできる形が整っていると、このズレは回避できます。

 

ただ、この方法は店舗ビジネスの業績を一気に上げられますよ、といった素晴らしい一手とは言えません。

結局この形が実現できたとしても、会社の成長は鈍足です。

しかし、組織の力を積み上げていけるかどうか?という視点で見れば、それは確実です。

また、社員やスタッフ側としても「会社は私達の努力をちゃんと見て、評価してくれる」となってくれます。

 

逆にそんな形をとっていない企業では、いつまでも

 「私はこんなに頑張ったのに」と「頑張っているのはほんの一握りの人達だけじゃないか」

が交錯し続けます。

 

両者の企業間の差は時間とともに、ドンドン広がっていくことになります。

 

あれこもこれも頑張る時間が取れない今、私がお薦めする「社員やスタッフ達が自らの成果をアピールできるようにする」は、有効な一手と言えるのではないでしょうか?

 

もしかしたら今日もまた社内のどこかに、

 「こんなに頑張ったぞ!」

そんな社長の欲する汗をかいた社員、もしくはスタッフがいるかもしれません。

 

はたして御社では、そんな人を上手に発見でき

 「よくやった」

もしくは

 「力を入れるべきはそこじゃないよ」

そんなリアクションを返せる形になっているでしょうか?