今週のマネジメント 人に厳しくない会社でも、他社より利益を上げられている社長の秘訣とは

 「社員に厳しく言うのが苦手でして・・・」

ある社長からのご相談でした。

 

・会社の業績をもっと上げていきたいのに、足を引っ張る社員がいて前進できない。

・社長としてはガツンと言いたいものの、どうしても注意が遠回しになってしまう

 

実はこれと似たようなご相談は多いです。

下記のような課題を抱えている社長もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

 ・誰かの怠慢が、他の人達の仕事の支障となっている

 ・しかし、会社に特定の怠け者が何人か存在するわけではない

 ・人によって良い面もある一方、いい加減な面もある

 ・そのいい加減な面が、他の人達を阻害している 

 

 ・人として長所もあれば短所もあるので仕方がない

 ・しかし「短所を直そう」「改善しよう」とする気持ちが薄いことが問題

 ・誰もが素直に反省し「次は気を付けよう」と本気になってもらいたい

 ・できればそれを自動化し、善循環するように変えて、社長は自分の仕事に専念したい

 

私はたまに社長から

 「もっと厳しく指導したい」

 「何かいい方法が無いものか?」

とのご相談を受けます。

 

しかし結論から言いますと、多店舗型ビジネスの業績を上げていく上で

 「社長が厳しいか寛容かは、あまり関係がありません」

 

なぜなら従業員は

 「会社が厳しいから、本気を出さなきゃ!」

となってくれる人が全てではないから です。

また、厳しくなくても他社より利益を上げられている企業が実在するからでもあります。

 

多店舗型ビジネスの特徴は「働く人が多い」です。

働く人達のタイプも様々です。

 

もちろん、中には「会社が厳しいから本気を出さなきゃ!」となる人もいますが、

逆に「こんな会社ではやってられない」と離脱してしまう人もいます。

 

一概に「厳しい会社にすれば、皆が本気を出してくれる」とは言えません。

 

よって、一部の社員達の為に、本来は厳しくしたくはない社長が「厳しくしなければ!」とするのはお薦めしません。

効果が薄いですし、そもそも社長ご自身の強みが失われてしまうからです。

 

「従業員それぞれの強みを生かしたい」としている社長が、そうしたいが為に「社長ご自身の強みを無くしてしまう」

これではまるで説得力がありません。本末転倒です。

 

たまに

 「うちは厳しい会社で有名」

 「これで何年もやってきてる」

 「前にこんな事があったけど、その時うちはこう言い返してやったんですよ!」

 

そんな自社の厳しさに誇りを持っていて、業績も伸ばしている企業があります。

 

なぜ伸びているのか?

 

それは、社長が元々そういう人だからです。

 

社長の強みが「厳しさ」なのであれば、それは強力な武器です。

社長が持っている強みに磨きをかけることは、会社の業績を上げていく上でとても重要です。

 

よって社長ご自身が「自分は厳しい会社にはしたくない」というのであれば、無理に変える必要はありません。

 

残念な事に

 「厳しい会社に変えていってから業績が落ちていった」

そんな事例もあります。

 

社長や経営陣、幹部達は立場上、他人から注意、指摘されることはほとんどありません。

自分のアクションが合っているか、間違っているか?自ら気が付くことが困難な人達です。

厳しく指導していますと「皆思い通りに動いているな」と感じてしまうからか、気持ちが大きくなっていきます。

 

どんどん調子に乗ってきて

 「もっと強く言ってみよう」

 「もっと厳しくしなければ」

 

しかしその末路は「気が付いたら後ろには誰もついてこなくなっていた」です。

その後に待っているのは、今まで偉そうに指示ばかりしていた人達が現場に立たなければ回らなくなってしまったという辛い現実です。

 

これはまるで他人事のようなケースですが、どの多店舗型ビジネス企業にも十分にあり得ることです。

 

もしかしたら、社長が気が付かないところで、誰かが地位、権力を強引に振り回し続けてしまっている・・・かもしれません。

 

 

さて、社長が厳しいか寛容かに関係なく、業績を上げていってる企業は他の企業と何が違うのか?

 

実はそんな企業の社長には秘訣があります。

 

それは

 「社長はどんな従業員でも変えられる」

です。

 

重要なのは、社長が厳しいかどうかではなく

 「確かに社長の言うとおりだ」

 「私は変わらなきゃ」

などと、従業員がどんなタイプの人あっても変えられるということです。

 

その結果、誰もが社長の方針に共感し、全員の力を一方向に束ねられ、爆進していくことができるようになります。

 

また、従業員達はもちろん、各部署のリーダーも同じで、彼らがどんなタイプの人であっても

 「そうか、こう接すれば変わってくれるのか」

と、スムーズに本気を引き出せるようになっています。

 

よって、組織の人間関係によくある

 「一体何を考えているんだこの人は?」

 「あの人はズレている」

 「上司の指示に納得できない」

 「あの人さえいなければ・・・」

などが無くなっていきます。

 

逆に増えていくのは

 「一体誰が、どうやってあの人を変えられたの?」

 「10年以上誰も変えられなかった堅物なのに、人が変わるように働き出した」

そんな変化が日々起きるようになります。

 

 

人を変える

これはとても難しい事です。

 

権力を振りかざして強烈な注意や指導をしても、その人は変わりません。

ただ、業務命令に従って仕方が無く動いているだけです。

そんな社員達、スタッフ達のアクションで他社より大きな結果を得られることはありません。

 

人が変わるということは、その人自身が

 「やるぞ!」

となることです。

 

社長にとって、これほど頼もしい事はありません。

 

そんな「本気で結果を出しやる!」という人が次々に生まれていく環境が整っていれば多店舗型ビジネスは急成長していきます。

 

なぜなら働く人が多いからです。

働く人達が少ない他業態の社長は逆立ちしてもマネできません。

 

人の力はとてもコントロールが難しく、時に暴発もします。

しかし、うまく束ねられたらそのエネルギーは計り知れません。

 

他社の社長達がその実現に、あれこれ手を焼いている中

 「そうか、こうしたら人が変わっていくんだな」

秘訣を手に入れた社長だけが、会社を大きく成長させることができるのです。