今週のマネジメント 稼いでいる社長はノウハウを隠そうとしない

3月に開催された大手町研究会に参加してきました。

この研究会は1月からスタートし、あとは4、5、6月末に開催されます。

一番の魅力は他社の社長と接することができる点です。

これは普段自社の社員と関わっている社長にとって、得られるものが比較にならないほど大きな違いがあります。

参加された社長がびっくりされたのは、普段聞けない儲かる秘訣を各社長が次々と話されるところ。

なかには

 「とても消化しきれない」

 「世界がひっくり返った」

とおっしゃる方も。そうなってしまうのもこの大手町研究会だからこそという面もあるのですが、稼いでいる社長は普段からノウハウを隠そうとはしていないから

隠そうとするどころか、まるで小売店のように自社のノウハウを誰もが手に取れて品定めできる状態になっています。そして社長の姿勢は

 「どうぞ誰も彼もが見て行ってください」

 「お気に召したら手に取ってください」

 「試食や試着してもいいですよ」

まるで今日の売上が欲しい店員のごとく丁寧に接客しますよ状態。

ですからその気になれば

 「そうか、この会社のあの一手にはそんな意味が込められていたのか」

 「どおりで桁違いに儲かっているわけだ」

と誰もがノウハウは手に入れられるようになっています。

 

ところが、かつてこんな反応をされた社長がいらっしゃいました。

 「いやいや伊東さん、そんな簡単なわけないでしょ」

 「儲かっている社長がノウハウを隠してないなら、誰もが億万長者になってますよ」

おっしゃる通りで簡単ではありません。

さて、誰もがノウハウを手に入れられるようになってはいるのに、いざ手に入れようとすると簡単じゃないとはどういうことなのか?

それは儲かっている社長は核心を突いた質問を受けない限り、応えないから 

 

これは儲かっている社長が何も「自分だけ良ければいい」という自己中心的なお考えだったり、意地悪しているわけではありません。質問されないから応えないのはごく当たり前のことだからです。

親しい人に「ご飯おごるよ」といっても相手がお腹がいっぱいだったら断られるように、需要が有るか無いかわからないのに親切心で提供したとしても「迷惑だ」と捉えられることもあるからです。

ただ、だからといって「質問すりゃいいのね」とおっしゃる方もいますが、そう簡単なことでもありません。漠然と「儲かっている秘密がどこなのか教えて下さい」では何をどう応えたらいいのか困るからです。質問自体が核心をついていないと答えていただけません。

つまり、儲かっている核心をつく質問をすること自体が大変なのです。 

逆に言えば、核心を突いた質問さえできたら巨大なリターンがあるということになりますが、残念なことにほとんどの人は核心を突いた質問をしようとするどころか

 「あ~ハイハイそのパターンね」

 「よくある一手のうちの一つでしょ」

 「今時こんな手法まだやってるんですか?」

など「勝手に自分が想像できてしまう範囲にある一手だ」と決めこんじゃうのです。

 

自社の利益を倍にできたあるA社長がおっしゃいました。

「私が結果を出せているのは20年先輩のK社長のおかげなんです」

K社長は10年以上他社の5倍は利益を稼いでいる異次元の社長で、業界では「あ~あの人ね」と有名な方です。

A社長は「きっとK社長のノウハウを教わろうとやってくる社長はそれまで何人もいたのでは?」と本人に聞いてみたところ意外にもその返答は「いや~、A君ぐらいじゃないの?」とのこと。

ほとんどの人はK社長が稼いげている秘訣は何なのか?興味を持ってやってくるのに、核心を突いた質問をされることはなかったそうです。それどころか逆にこう言われたこともあるそうです。

 「K社長。こんな方法すぐやめた方がいいですよ」

 

ある人達は「なぜ儲かっているのか?」探ろうともせずに勝手にK社長の行っている事は異質で邪道だと決めつけていて、陰では「関わらない方がいい」「何言ってるかわからない人だよ」「まぁおもしろい人ではあるけどね」など「距離を置いた方がいい」と言い、

またある人達は「どうせ立地がいいからでしょ」「契約条件が良いからだよ」などノウハウは無く「あいつはただラッキーなだけ」と言ってるそうです。

 

そんな中、A社長だけが核心を突いた質問をしてきたからか

 「あ~、ちょっと違うね」

 「それは〇〇だからだよ」

意気揚々と嬉しそうに手の内を話してくれたそうです。 

 

 

稼いている企業の一手は一見

「あ~ハイハイ、よくある一手ですよね」

と捉えられがちですが、実はその一手には全てが凝縮されているのです。

そして彼らは隠そうともしてません。

 

「じゃあ伊東さん、核心を突いた質問をするにはどうしたらいいのか?」

ここで私は

「それはやっぱり何年も何十年も考えぬいて、失敗を重ねた末に出てくるものですよ」

とかっこつけたい場面ですが、実は非常にシンプルです。

 「実績がある人にはとにかく食らいつけばいいんですよ^^」

ただこれだけです。

 

K社長のように他社よりもダントツで儲けている社長は

 「私がうまくいってるのはあの人の影響が大きいからですね」

など、必ずといっていいほど誰かの影響を大きく受けています。

私が43年生きてきてそれまで関わってきた成功者の中には誰一人

 「自力で全て成し遂げた」

 「誰にも世話になった覚えはない」

 「尊敬する人なんかいない」

なんて人はいません。

成功者は100%誰かからヒントを得ているのです。

そして彼らが運良くその人のノウハウを自分のモノにできた理由こそ

 ・核心を突いた質問をした

 ・食らいついた

です。  

 

みなさんはいかがでしょうか?

実績のある方が近くにいらっしゃった時「何故ですか? どうして?」と食らいついていますか?

それとも接することもなく「どうせその一手はよくある手法の一つでしょ?」や「ただラッキーなだけでしょ」と決めつけていますか?