今週のマネジメント 第472号 自力で店舗ビジネスを拡大していきたい社長が持つべき視点とは?

「伊東さん、働きたい人がもっと来るように変えたのですが、これはいかがですか?」

ある社長から質問でした。

 

社長は数年前、ある大手のフランチャイズチェーンに加盟

業績はそこそこ上げられているものの、慢性的なスタッフ不足が課題でした。

 

そんな中、チェーン本部が加盟店の人手不足を解消しようと、スタッフ募集の新たな求人を打つとのこと。

内容をご覧になった社長の率直な感想は

 「これはまた効果が無そうな・・・」

 

そこで社長は、

 ・そもそも他人(他社)に頼ってはいけないのでは?

 ・人手不足は自力で解消しよう 

そして考え抜いた社長の渾身の一手ができあがったのです。

私への質問は、その一手にブレが無いか?見てほしいとのことでした。

 

 

  「後は人さえ集まって来るようになったら・・・」

そんな思いを抱いて、店舗型のビジネスを経営されている社長もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

ここで私がお伝えしたいことがあります。それは
店舗とは、売上はもちろん「働きたい人」も増やしていけるハコである。

 

「どこで働こうか」探している方に対して、求人広告のような画像や動画、文字など限られた手段でしかアピールできない方法ではなく、

 ・実際に働いている人達はどんな表情で働いているのか?

  その真剣さや笑顔を、直接その目で見ていただくことができ、
 ・また、お客様として利用していただければ目だけではなく、全身にお伝えすることでき

 ・しかも広告費はゼロ

それが店舗の強みです。

 

これは、ネット上に作った店舗で商売をされている企業には真似をすることができません。

店舗とは、その存在自体が強力な求人広告そのものなのです。

 

店舗自体が求人広告塔となっていますと、

 ・どんなターゲットがいるのか?

 ・それぞれのターゲットに合わせてどんな情報をお伝えしようか?

そんな事を考えたり、用意する必要さえありません。

 

 ・前の職場で、人間関係に疲れた人であれば、そういった視点で見てくれますし、

 ・人生初めてのアルバイトで不安を抱えている人なら、どんな指導がなされているのか?

 ・どんどんのし上がっていきたいぞ!と野望を抱える人であれば、どうやって売上を伸ばしていってるのか?

それぞれが勝手にフォーカスしてくれます。

 

その結果、感じていただけるのは

 「この店は仲良しな感じが溢れてるな〜」

 「あの店長は優しそう」

 「あの機械はなんだろうか? 秘密を知りたい」

など、全て自動です。

 

店舗とは、社長に代わって社長の想いを上手に世間にお伝えしてくれる、優れたリクルート担当なのです。

他社に頼る必要が無くなります。

 

もし、店舗型のビジネスを展開している企業において

 ・「私はこんな店で働きたかったんだ」そんな人がしばらく採用できていなかったり、

 ・店舗はただ売上だけを上げられているハコ

となっているとしたら・・・、それはとても勿体ない状態です。

 

ぜひ店舗そのものを

 「売上はもちろん「働きたい人」も増やしていけるハコ」

に変えることをお勧めします。

 

 

ある社長がおっしゃいました。

 「たまに『社長、あの求人広告は効果があるんでしょうか?』などと聞かれることがあります」

 「伊東さん、その時はどう説明したらいいんでしょうか」

 

どうやら周りの人達には、「社長が人に困っていないのは求人広告を出しまくっているからではないか」と捉えられているようで、質問を受ける度にその回答に苦労されているとのことでした。

 

 

店舗自体が求人広告塔となり、人が集まってくるようになった企業のノウハウは漏れません。

他社に頼っていないからです。

社長や関係者だけが知り得る強みとすることができるのです。

 

そして、自社オリジナルの強みが生まれますと

 「もっとこうしたらどうか?」

日に日に強化していくことが可能です。

他社はマネがしたくてもできませんし、どんどん差をつけていくことができます。

 

店舗型のビジネスを展開している企業の強みとは、売上も、働きたい人も増やせていけるという両立にこそあるのです。

 

 

今や人を雇おうとすると、あらゆる手段が溢れています。

かつては広告といえば新聞広告といった、限られた選択肢しかなかった時代とは違います。

 

経営者にとって便利な時代といえますが、忘れてはいけないことがあります。

それは その人がどこで働くのか?

 

これをよく判って組織づくりをしていないと、せっかく採用に至って働いてくれているのに

 「あれ? 私が思っていたのイメージと違うぞ」

と、後になってから違和感を感じられてしまうという危険があります。

 

良いビジネスとは

 ・働いてほしい側

 ・働きたい側

両者の思いがマッチしていることが前提です。

 

どうしたら社長の想いを正しく伝えられるのか?

 

今の時代は、そこをよく考えて、行動に移さなければうまくいかない。

便利な世の中ではありますが、実は危険な時代・・・とも言えるのではないでしょうか?