今週のマネジメント 第501号 店舗のブレを探す、指摘するは社長の仕事なのか

「久しぶりに店舗をチェックしたら酷いことになってました」
ある社長がおっしゃいました。
「ちょっと店内を見せてくれ」
近所に用事があり、ついでにお店のチェックをしたいと店長に伝えた社長。
社長の姿が見えてからか、皆一斉にソワソワし始めた様子を見て嫌な予感。
そして「やっぱりか」
お客様にくつろいでいただきたいスペースに入ろうとすると、入口のドアは壊れて半開きのまま。
何とか力を込めて押し開けると、中は真っ暗。スイッチをつけても、ほとんどが電球切れ。床にはゴミが散乱し、壁や棚はホコリだらけ。
唯一稼働しているエアコンはというと、炎天下で働く従業員達がここで涼めるようにしているからか、最低温度に設定され、キンキンに冷やされていたのでした。
まるで「ここはスタッフ専用の休憩所だ、客は入ってくるな」状態。
そこにあったのは社長が思い描いていたお客様をおもてなしできる店舗ではなく、従業員達によって私物化された休憩所だったのです。
「久しぶりに店舗を見回ったらとんでもないことになっていた」
そんなご経験を持つ社長もいらっしゃるのではないでしょうか。
ある社長はおっしゃいました。
「私は店を見ないことにしている」
「行ってもどうせ酷い状態だろうからです」
べつに社長は現実逃避をしたいわけではありません。
もし店舗をチェックして改善を指示したとしても、良くなるのはその時だけだからです。
社長が求めているのは
・指摘する度に改善できる店舗
ではなく
・常に社長のイメージ通りの形を維持し続けられる店舗
です。
今回のコラムは
「常に社長のイメージ通りの形を維持し続けられる店舗を実現したい」
そうお考えの社長に持つべき視点についてです。
結論から言いますと、それは
そもそも店舗のチェックや改善の指示は社長の仕事なのか
ある事例をご紹介します。
A社長は行動派。
定期的に店舗を見て回ってはできていない箇所を指摘し、改善を指示してまわっていました。
社員やスタッフ達に伝えたかったのは
「そろそろ僕の考えはわかったでしょ」
「僕が指摘しなくてもできている店舗を維持しなさい」
ところが、それは何年経っても進歩が見られませんでした。
何も言わなくてもわかってくれるのは年に1〜2人程度。
しかし社長は折れませんでした。
「それでも僕はチェックし続ける」
ただ、社長がとても気になっていた事があります。
それは、社員やスタッフ達が何を見ているのか。
本来、社員やスタッフ達に見てほしいのは、お客様の動向。
しかし、その視線はあきらかに皆、社長や上司の姿でした。
社長としては
「別に私がやっかい者扱いされるのは構わない」
「そんな事はどうでもいい」
「ただ、見て欲しいお客様の動向より、私ばかり見ているのは良ろしくない」
その後、社長が工夫したのは
いちいち店舗を見て回り、改善を指示しなくても、理想通りの店舗運営がなされる形に変えたこと。
これがうまくいきました。
今までは
「そろそろ社長が見に来る時期だ」
「事前にみんなで準備しよう」
「見られてはいけないものは一旦、隠しておけ」
工夫した後は
「やった社長がきてくれた」
「私はこんな事を頑張りました」
「この結果を出したのは実は私です」
社長の感想は
「べつに僕が好かれたいためにやったわけじゃないんですけど・・・悪くないですね」
そもそも仕事ができる人や稼げる店長は、社長や上司が不在の時間を無駄に使うことはありません。
「どうしたら社長や上司をびっくりさせられるか」
誰にも見られていない時間だからこそ、できる努力を重ねるものです。
これについては
「かつて私もそうしていた」
もしくは
「今まさにそうしている」
という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
店舗のブレを、いつまでも上司が指摘してあげている企業に稼げる店長は増えていきません。
人が大きな結果を出そうとする時、必ずワクワクしています。
「私がこれだけの結果を出せたとしたら・・・一体どうなるんだろうか」
そしてそのワクワクは、誰かに指摘されたり、注意されたり、指示された時に湧き出てくることはありません。
店舗型のビジネスの社長がやるべきことは
「店舗のブレを見つけ、指摘していれば、いつか自力でできるようになってくれる人が育つだろう、と待つこと」ではありません。
「店舗のブレを指摘せずとも、店舗は自力で自らのブレを発見し、修正することができる。
そんなビジネスの形をつくること」です。
