今週のマネジメント NO2や3が努力せず、勝手な事ばかり行ってしまう理由

 「当社もある程度大きくなってきたのですが、最近困っていることがありまして」

 「それはNO2や3が勝手な持論を打ち出して、おかしな方向に誘導しようとするんです。」

 「かきいれ時の5月のGWでは、先頭に立って努力しようともしない様子を見た時はさすがに腹が立ってしまいまして・・・」

 

ある社長からご相談を受けた時のことです。

社長が望んでいることは

 「No2や3こそ、会社全体の数値を上げる為に動いて欲しい」

 「自分の考えよりも、いかに全体の底上げを図るか?に注力してもらいたい」

です。

 

そこで私から質問をしてみました

 「社長から直接、NO2や3にマネジメントできるタイミングや場はありますか?」

社長は

  「あります」

「では、それはどんなマネジメントですか?」

  

社長は何点か挙げられましたが

それを聞いて私は

 「それはマネジメントではなくお祈りですよ」 

 

社長が挙げられたいくつかの手段を一言で表しますと

 社長の意向を「間接的」に伝える手段

ばかりだったからです。

 

これは各組織のリーダーがよくやってしまうマネジメントの失敗の一つでもあります。

 

代表的なのは

 「全員宛に伝える」

 「書面で伝える」

 「君から厳しく注意しておきなさい」

などです。

 

社長、ここで質問です。

ある組織のリーダーが書面にて

 「昨日、こんなミスがありました」

 「こうならないように十分注意しましょう」

と記載した内容を見たメンバーが100人いたとしたら

 「いけね。これは私のことじゃないか」

 「気を付けよう」

と素直に思ってくれるのは何人いるのでしょうか?

 

「うーん。それは・・・まぁ多くはないですよね」

 

ではもう一つ質問です。

ある組織のリーダーが

 「君から彼に厳しく注意しておきなさい!」

と言った時、伝達役は必ず伝えてくれると思いますか?

   

 「必ずは・・・怪しいですね」

 「何も伝えていないこともあるかもしれませんね」

 

では伝達役が言われた通り、本人に

 「〇〇さんに注意しなさいって言われたよ」

伝えた場合

 「なんで本人から直接言ってこないんだ?」

と逆に憤ってしまう人は一人もいないのでしょうか?

 

 「いや・・・そんな人は何人かはいるでしょう」

 「でもそうか・・・私はいつの間にか自分でもわかる失敗を自ら行っていたんですね」

社長は幸いにも自分自身がズレたマネジメントを行っていたことに自らお気づきになられました。

  

各組織のリーダーは、その失敗に気が付かずに泥沼にはまっていくケースはよくあることです。

次第に

 「何で誰も反省しないんだ?」

と不満や怒りが募っていってしまい

 「もっと教育面を強化しないといけないな!」

と更なる間接的マネジメントを増やすことに会社の資金を大量に投入しようとしたり

 「会社がなめられているからじゃないか?」

 「もっと罰則を厳しくしよう」

などますますムチに力を入れたり・・・と

ズレた上で更にズレを増幅させてしまっていくケースが非常に多いです。

 

そして

 「まずいぞ」

 「いつの間にかズレたマネジメントをしていた!」

と、そのズレに自ら気が付くタイミングは不幸にも

 ・多数のメンバーから一斉に不満の声が挙がったり

 ・大量に退職が重なってしまった

など、大怪我をしてしまってからです。

 

今回のケースで重要なポイントは

間接的マネジメントは効果が無いとわかっているのに、何故いつのまにかその手段を取ってしまっていたのか?

 

この謎を解かない事には

またいつのまにか同じ過ちを犯してしまうことになります。

 

そして多くの経営者はこう考えてしまいがちです。

 「社員が悪いからだ」

 「やる気のある人だけを会社に残していけばいつか良くなるだろう」

 

このような結論に至ってしまい

いつまでも会社が前に進まなくなってしまった

という企業は多いです。

 

 

経営者自身が行っているのは

 ・マネジメントなのか?

 ・お祈りなのか?

そして

なぜいつの間にか「お祈り」を行ってしまっていたのか?

 

その原因を探り

 「そうか、これが原因だ!」

と気が付いて、手を打てる企業だけが

他社を差し置いて、独壇場の成長を遂げていくことができます。