今週のマネジメント AIに仕事を任せても、利益を倍増できるのか?
「御社も、発注業務をAI化しませんか?という案内がありまして」
「どう判断すべきか? 今検討中なんですよね~」
「伊東さんはどう思われますか?」
2年ほど前にそんな相談があったのはチェーン企業F社を経営するF社長からでした。
数年ほど前から
「AIにお任せしませんか?」
など、経営者には仕事の一部をAIに託すかどうか? という選択肢が増えてきています。
当時、私はF社長から質問を受けたのですが、先に確認したいことがありましたので
質問に質問で返す形になってしまいました。
「F社長は『利益を倍増させていきたい』と以前おっしゃっていましたが、お変わりありませんか?」
「ええ、そうです」
「では社長は、自社の武器はこれだ! と他社とはっきり差をつけていけるポイントを今、はっきり言えますか?」
「う~ん・・・ そう言われますと・・・ 漠然とではありますが・・」
「ちなみに当社のコンサルティングで
利益倍増を実現してきた各社は『これが我社の武器だ』と全社がはっきりと公言できます」
「その中のD社は
『当社の武器は発注だ!』
『いかにヒット商品を揃えて、販売できるか?が強みなんだ』 とおっしゃっています。」
「D社は発注のノウハウは完全に自社オリジナルのものとして確立していますので
他社からのサービスをどこに取り入れるか? は会社の芯となる『発注』に干渉しない部分で取り入れようとします。」
「このサービスは必要だな」
「このシステムを取り入れてしまうと、うちの強みが薄まるからダメだ」
など、取捨選択されています。
「そうか、自社の強みがありき、そこにどう肉付けしていくか?という視点ですか~」
「おっしゃる通りです。」
後日F社長にお会いした時
「やっぱりAI発注はやめましたよ」
「当社も、自社の武器が何なのか? 真剣に考えた場合に『発注』は絶対に譲れない部分でしたからね」
F社はその1年後、自社オリジナルの強みを元にしたマネジメントの仕組みを構築し、利益を倍増することが実現できました。
「あの時、うちがAI発注なんて取り入れてたら、ジリ貧でしたよ」
他社からのサービス提供の話があった際
・いち早く導入すべきか?
・まだ様子を見るべきか?
・もし、導入するのであればどの部分なのか?
など利益倍増を実現、維持するためにもその選択はきわめて重要です。
よく考えないと、いつの間にか他社のサービス、システムばかりが多くなり
「一体、自社の強みはどこなんだ?」
などと見失ってしまいかねません。
最悪なのは、他社とは
「戦略の面で勝負して、差をつけていきたい」
と願っていたのに、あれもこれも導入して気が付いたら最後に残っていたのは
「労働力の面で勝負せざるを得なくなっていた」
など、いつのまにか勝負のステージが会社の望まぬ形になってしまうことです。