今週のマネジメント 人手不足状態から、働きたい人待ちの状態になった企業の一手とは?

「コロナ禍も一区切り」

「当社もこれからじゃんじゃん稼ぐぞ!」

大きな目標に向かって会社のアクセルを思い切り踏み込み、攻めに転じてみたものの、

たった数メートル進んだところで

 「人が居なくて、数値達成ができませんでした」

 「まずは求人広告用の費用をください」

など、いきなりブレーキを踏まれまして・・・

 

しょうがなく求人費用を捻出したんですが、今度は

 「全然人が集まりません」

 「このままでは攻める事ができません」

 「また費用をください」

 

「伊東さん、一体このループから抜け出すにはどうしたらいいんですか?」

「人手不足が脱出できている企業は、求人に多くのコストをかけられているからでしょうか?」

 

あるチェーン企業を経営する社長から質問をいただきまして、お応え致しました。

 「いいえ、全く逆です」

 「求人にコストをかけるどころか、どの企業もほとんど使っていません」

中には業界全体が

 「この業界はもうだめだ」

 「人手不足だらけなんだから」

と言われているにも関わらず

 「求人にかけるコストが0円になりましたよ」

 「その分、会社の利益が上がって・・・最高ですね」

とおっしゃる企業もあります。

  

 「どういうことですか?」

 「求人広告を出さなければ、お目当ての企業で人を募集しているのか?さえわからないじゃないですか?」

 「それじゃ人が集まらないのでは?」

 

では何故、それでも人が集まるのか?

それは 誰もが業務を徹底したくなる仕組みが出来上がっているから です。

 重要なのは「させる」ではなく「したくなる」

 

そこには一般的な「仕事!」というイメージは無く

誰もが、いてもたってもいられないほど動きたくなる魅力があるから

 

その結果

働く人達が勝手に自社のすばらしさを勝手に宣伝してくれるんです。

 

 「勝手に宣伝?」

 「何か部署を新設したんですか?」

 

「いいえ、何もしてません」

どうも人には「自分が他人よりいかに恵まれた環境下で仕事ができているのか?」を

より多くの人達に知ってもらいたいという欲求があるようです。

 

とある企業では

それまで社員の勤務時間は 1日10h 36協定ギリギリの状態 でした。

 

店舗のリーダーはというと

 ・シフトフォローの毎日

 ・ひどい時にはレジで立ったまま寝てた

 ・バックルームに段ボールを敷いて仮眠をとっていた

などの危険な状態が続いていたんです。

 

しかし、仕組み実装後に訪れた最初の変化は

既存の主婦スタッフから

 「シフトを増やしたいです」

 「土曜日は、私達が交互ですがシフトに隔週で入っていいですか?」

 

チェーン事業の現場リーダー経験者はよくご存じかと思いますが

主婦が週末に働いてくれる・・・・これはよっぽどの事が無ければまず無理です。

それが自発的に出るレベルということです。

 

その後

 「店長、知り合いが働きたいと言ってるんですが・・・空きはありますか?」

 「うちの子を働かせてもらえませんか?」

など、勝手に応募が増加したんです。

 

ちなみに、その企業はどうなっていったのか?といいますと

店長は1日約40分で1店まわせるようになりました。

 

あまりに早く終わってしまう為、慎重派のある店長が

 「仕事は大体終わったけど皆を安心させるためにお店に長く滞在しよう」

としていたところ、数日後ついにあるスタッフから

 「店長、邪魔ですよ」

 「あなたがいると仕事に本気を出せない」

 「さっさと次の店舗に行ってくださいよ」

と追い出される始末

 

マネジメント面の仕組み一つでそこまで企業は変わります。

 

人手不足を解消したい場合

「どう求人をかけるか?」よりも

「どう仕事を魅力的にするか?」

 

ひどいニオイがするトイレに

 ・消臭剤をいくつも置くのか

 ・ニオイの元である汚れを取るのか

 

人手不足の解消はゴール設定と最初の一手から

その後の結果が大きく変わっていきます。