今週のマネジメント スタッフ不足を解消した、社長の決め事とは?

 「お隣さんでは、店長がずっと深夜シフトに入ってますよ」

 「社長のところだけです。人に困ってないのは」

ある社長が、そんな事を言われました。

 

 「なぜあの企業だけ人に困っていないのか?」

 

いつの間にか周りの企業からそんな目で見られるようになり、秘密はどこにあるのか?

いつも店舗には「偵察に来ていることがバレバレ」な人達がチラホラ。

 

彼らは他のお客様達と同じようにお店を利用してくれるも、キョロキョロと店内を物色。

 「そうか、そういう事か!」

 「だから人に困ってないんだな」

何かヒントを得たかのように店を後にするも、それがうまくいかなかったのか?

数日後には「またあの人来てる・・・」となるのでした。

 

 

弊社ピアーズがお手伝いした企業は

 「なぜこの企業だけは人に困っていないのか?」

という状態になっています。

中には、働きたい人の順番待ちさえ発生していて「どう断ろうか」を頭を抱えている企業も。

 

 「伊東さん、人が集まる企業とはこういう事なんでしょうか?」

ある社長から質問をいただきました。

 

私は「そうです」などとシンプルにお応えしたいところではありますが、この回答は複数の要素が絡み合った総合的な結果ですので、一言では返すことができません。

 

ただ、私がコンサルティングをしている上で、人手不足に困らず、人が集まってくる企業にしたいのに「それは違うのでは?」とよく感じる点があります。

 

それが何かと言いますと、

店舗ビジネス経営者が「自社が人手不足となっている原因をハッキリ言えない」です。

 

よくあるケースは

 「この周辺はどこも人手不足だから、地域性なんでしょう」

 「どの企業もそうですから、キツイ時代ですよ」

 

しかし、本当に

 社長が原因を曖昧なままにしておいていいのでしょうか?

 

例えば社長が「最近売上が下がってるな」「なぜだ?」と、責任者に尋ねてみたところ

 「社長、それは地域性なんです」

 「社長、どこもそうですから・・・そういう時期だからではないですか?」

さて、貴方が社長だった場合、責任者にそう言われて

 「そうか、まあそんなもんか」

 「仕方がないな」

となるでしょうか?

 

不思議な事に、当社は「この会社だからこそ働きたい」と言われ、人が集まってくる企業にしたいとしているのに

 「なぜ、人が定着しないのか?」

 「なぜ、良い人材が採用に至らないのか?」

その理由を曖昧なまま、もしくは人のせい(外的要因のせい)にしたままの企業が多いです。

 

とはいっても、原因を的確に言い当てよ!・・・と言いたいわけではありません。

それに越したことはありませんが、人はエスパーではありませんのでそういうわけにもいきません。

 

重要なのは、

社長が「なんとしてでも原因を突き止めるんだ!」という姿勢なのです。

 

手を緩めない、諦めない社長のまわりには

 「売上が下がっているけど、まぁたまたまだろう」 とか

 「人が集まらないのは今の若者が未熟だからだ」  など

という社員が現れることはありません。

 

それとは逆に

 「一体なぜなんだ」

 「もしかしたらこれか?」

 

 「あれ、違った」

 「じゃあこれか?」

そんな、原因追及の手を諦めない社員が育ってきます。

皆、社長のように「何としてでも解明しよう」と動いてくれるようになるのです。

 

そして苦労の末に、「これが原因なのでは?」と突き止められたらこっちのものです。

原因さえ判れば

 「すぐに何とかしよう」

と、誰もが改善しようと動いてくれるようになるからです。

 

今から10年以上前、とあるメーカーから「爆売れ間違いなし」と豪語する高額商品がお得意様企業に売り出されました。

 

しかし各企業の反応は冷ややか。

 「え~、あんなの売れるわけないでしょ」

 「・・・でもこれを仕入れないでヘソを曲げられたら困る・・・」

 

案の定、仕入れた各企業はすぐに後悔することになったのです。

 「やっぱり全然売れない」

 

あまりの不人気ぶりに、社員達の間では

 「一体誰がこんなもの仕入れたんだ」

 「売れるわけがない」

そんな犯人捜しが始まっていました。

 

ところが、ある企業だけはその商品が徐々に売れていき、1カ月後からは飛ぶように売れ始めたのです。

 

 「一体何をしたんだ?」

 

当時は、今と違って残業が当たり前。

24時間働けますか?というフレーズが世の中に浸透していた時だからか

 「きっとそこの企業では、社員が寝る間も惜しんで売ってるに違いない」

 

そんな憶測があったのですが、実際は違っていました。

その企業の社長が工夫した点は一つ。

 「その売れない高額商品のダメなところを徹底的に明確にした」

 

つまり他社は 「メーカーが売れない商品を押し付けてきた!」 と捉えているところ

その企業だけ 「売れないのは我々の責任。何とかしなければ」 と捉えていたのです。

 

その後は

 「だったらこうしてみてはどうだろうか?」

 「私はこうしてみました」

 

 「そうか、じゃあ俺はこう動きますね」

 「僕はこんなの用意してきましたよ」

誰もが社長の号令を受けて、それぞれが工夫し始めたのでした。

 

 

大事なのは悪い結果の原因を突き止めようとする社長の姿勢なのです。

 

もし、自社が人手不足だったとしたら・・・?

その原因を社長が曖昧なままにしていてはいけません。

 

もし社長が原因を突き止めようとする行為を諦めてしまったら、一体誰が社長の代わりに原因を突き止めてようとしてくれるのでしょうか?

 

 「なぜうまくいかないのか?」

この「原因をつきとめ、明確にする」はビジネスの基本です。

 

しかし、基本と言われていても

 「実は、曖昧なままだった」

 「人のせい(外部環境のせい)にしていた」

よくあることです。

 

まずはその基本がちゃんとできているのか?

うまくいってない原因が明確になっているか?

これがとても重要なのです。

 

その点、御社はいかがでしょうか?