今週のマネジメント 第516号 数字は出せるが、人を動かせない店長達が変わっていく法

「無視などあってはならないこと」
「対応することを忘れてしまって、結果としてそうなったとしても必ず何かしらのフォローをさせています」
ある社長がおっしゃいました。
仕事で悩みを抱えていた人が、上司に相談するために選択した手段はEメール。
本当は対面で話を聞いてもらいたいところ、あまり迷惑はかけたくないからと自粛した形だったのです。
ところが、上司はこれを見落として放置。
結果として、自分をおもんばかってくれた優しい部下からの相談事を、酷くも無視した形となってしまったのでした。
いったい本人はそれまでどんな気持ちを抱えて、長らく待っていたことでしょう。
昨今のビジネスではデジタルツールが深く浸透していて、もはや無くてはならない存在となっています。
とても便利なツールではありますが、その反面ちょっとしたミスが相手を深く傷つけることにつながってしまうことがあります。
人を導く立場にいる人であれば、特に気をつけなければなりません。
人が大事となる店舗型のビジネスにおいては尚更です。
しかしいちいちチェックしていたら会社がまわらなくなってしまいますので、何かしらの工夫が必要になってきます。
今回のコラムでその工夫のポイントを1つ挙げます。それは
「人への接し方」がおかしかった場合、それが社長に筒抜けの形になっているか
ほとんどのビジネスにおいてとても重要視されている対象があります。
それはお金です。
あまりにも当たり前すぎて「伊東さん、何を今更」と言われるところでしょうか。
お金は大事です。どの企業であっても、社員やスタッフ達には正しく扱ってほしいことでしょう。
そのため、おかしなお金の使い方が発生したらすぐに発覚するような工夫が施されています。
たとえば
・売上をこっそりポケットにいれてもすぐバレます
・レジを不正に操作したり
・予算以上に使い込んだり
・架空の取引をでっちあげたり
お金に関する問題が起きたのに「社長は何も知らなかった」という企業はまずありません。
お金の使い方がおかしければ、社長に筒抜けになっていても不思議ではないということです。
何が言いたいのかと言いますと、
ビジネスにおいて大事だとされる対象は、社長に筒抜けとなるくらいの透明性が必要だ
ということです。
では店舗型のビジネスにおける「人」の面はどうでしょうか。
お金はもちろん、人も大事な存在と言えるのではないでしょうか。
店舗型のビジネスの経営者がここで注目すべきは
「人もお金と同じように大事な存在として扱われているか」
それは例えば
・パワハラが続いていても、社長が全く知らなかったり
・セクハラが頻発していても、誰も正そうとしなかったり
・誰かが上司から無視されていて、周りの人達も一緒にそれに参加していたり
・組織内ではみせしめや集中砲火が当たり前となっていたり
はたして、これらのような異常事態がすぐに社長にまで発覚するような形となっているでしょうか。
異常事態が繰り返されていては、業績を上げていくことはできません。
店舗型のビジネスにおいて、社長が「人が大事」とおっしゃるのなら、大問題に発展するまでわからなかったなど、おかしな人の扱い方が繰り返されていても発覚しない形にしていてはならない
ということです。
残念ながらそういう企業は多いです。
どういった店舗型のビジネス企業がそうなりやすいのか、今回その一つを上げますと
「数字は取れるけど、人を動かせない人」が出世していってる企業
です。
これは店舗型のビジネス以外の方にとっては、異質に見えることでしょう。
「なぜ人を動かせないリーダーが、結果を出せていけるのか」
「そもそも無理ではないか」
と疑問に思われるところでしょうか。
しかし残念なことに、こういった現象は店舗型のビジネスにはよくあることです。
社長としては、各部所長や各店長達には、相手の立場に立って「こう接したらいけないのではないか」と自制してほしいと思っていたとしても、そんなことは考えもせず、ことあるごとに自分にとって都合よく人を使おうとするリーダーが現れてしまうことがあります。
健全に業績を上げていきたい会社にとって、このような「おかしな人の接し方」を続けるリーダーが生まれないようにしなければなりませんし、もしすでに存在していたとしても、それを継続させていてはなりません。
リーダーのやるべきこととは、数字を出すことはもちろん、
皆が気持ちよく働ける環境を作り、それを維持することです。
御社はいかがですか。
人への接し方がおかしな人が
・今なお普通に仕事を続けられていたり、
・順調に会社から評価を受けて昇進している
といったことは無い、と言い切れる形ができていますか。

