今週のマネジメント リーダーは、指導したい事を口にしない方が良いのか?

 「伊東さん、私はすぐイラっとしたことを口に出してしまうんです」

ある社長がおっしゃいました。

 

 

世間には暗黙のルールがあります。

 「改善して欲しい事を口に出してはいけない」

 

それは多方面にわたることですが、例えば清掃面においてこんな事を口にする人がいたら、貴方はどう思いますか?

 

 「この家は汚い」

 「庭がガラクタだらけだ」

 

 「この部屋、いつ掃除したの?」

 「ゴミは捨ててるの?」

 

 「洗車してる?」

 

 「服に食べ物のあとが残ってるよ」

 

 「臭うよ」

 「お風呂に入ってる?」

 

人前でこんな事をズケズケと口にする人など、まずいません。

 

では、「改善して欲しい事を口に出してはいけない」を、組織のリーダーが採用してみたらどうなるのか?

 

それは、こんなリーダーです。

 ・「汚い! 掃除しなさい」「使わない物は捨てなさい」などと言いたいけど、ここはこらえて黙って笑顔。

 ・「今すぐごみを捨ててきなさい」と怒りたいところを「私が捨ててくるね」

 ・「前回、誰が営業車両を使った?」

  「洗車しなきゃとは思わなかったのか?」と説教したいところを、次の使用者に会って、「余裕があったらでいいから洗車しておいてくれないかな?」

 ・「制服は毎回洗いなさい」と言ったら嫌な顔されてしまうかも・・・洗うのは本人達の判断に任せよう

 ・「この人、体が臭うな」

  「お風呂に入りなさい」と言ってしまうと、ストレートすぎるから何とか遠回しに伝えてみよう。

 

このリーダーは、皆からは嫌われることは無いでしょう。

 

ただし、数字が取れるか?となると、それは怪しいものです。

なぜなら、組織内の人達は自分自身の至らない点に気が付くことができないからです。

 

 

店舗ビジネスにおいて

 「指導したい事があっても、それを口にしない」

としているリーダーがいらっしゃいます。

 

私は、こういったマネジメントのスタイルを否定したいわけではありません。

人によっては「直接指摘されると傷ついてしまう」という方もいらっしゃるからです。

 

これも一つのマネジメントの方法と言えるでしょう。

 

しかし、気を付けなければならないのは

 改善して欲しい事を口にしない=指導しなくてよい 

ということではありません。

 

もし組織のリーダーが、皆の指導を放棄してしまったら、一体誰が全員の力を束ねるのでしょうか?

 

 ・忙しい時にダラダラする人が何人かいても、リーダーは何も言いません

 ・ほとんどのメンバーが良い結果を出しているのに、数人だけ不甲斐ない結果を出しても、リーダーからはノーリアクションです

 ・「会社の方針に賛成できないから、私達はやりません」と最初からさじを投げている人達がいても、じゃあ「他の人達だけで頑張ろうか」

 

このような組織が良い結果を出していけるのでしょうか?

 

とは言っても、世の中には不思議な事に

 「リーダーが、指導したい事を口に出していない」・・・だけど良い結果を出し続けている

そんな特殊な組織が存在します。

 

何故なのか?

 

それは、皆が優秀な人達だから・・・と言いたいところですが、

多くの場合、「放っておいても皆が本気を出してくれるように、リーダーが事前の準備を施しているから」です。

 

成長著しい企業を見た際、一見、カリスマ社長が一言発しただけで全社員が徹底している・・・

 

そう見えますが、実は組織内部では、社長が事前に施していた工夫がうまく機能していて、あたかも一言だけで皆が本気を出している・・・

そう見えているだけです。

 

よってそんなカリスマなリーダー達は、改善して欲しい事を口にしないわけではありません。

口にする必要が無いから言ってないだけです。

 

また、これは傾向ですが、他社を圧倒する結果を出し続けている社長ほど
実は、

 ・誰もがドン引きするくらい

 ・ここに文字として表現してしまうと、大炎上してしまうくらい

えげつない言葉を、平気でズケズケと口にできるような人が多いです。

 

伸びる組織には強力なリーダーが必須です。

そしてそのリーダーは「何をどうするべきなのか?」

 

感覚ではなく、言葉にすることができます。

 「ここはこうあるべきだ」

 

そういった言葉が、新たな工夫を生みます。

日々工夫がなされていますと、やがて大きなイノベーションを掴むことができるようになります。

 

もし貴方が

 「リーダーの私は、すぐに口に出してしまう」

 「うちのリーダーは外部の人達が引いてしまうほど口が悪い」

などと感じているのであれば、

それはやがて輝く未来を手に入れることができる・・・のかもしれません。