今週のマネジメント 「お客様第一で動けない人」が多い企業の共通点とは?
コロナ騒動が落ち着いてきて、V字に数字を上げていきたい今
「なんだこの売場は? グチャグチャじゃないか!」
「お客様が自分のエコバッグに入れやすいように、手元近くに置いてあげることもできないの?」
お客様第一と数えきれないほど言ってきた
「お客様の立場に立って考えなさい」
「給料は誰から貰えるの?」
「おもてなしの精神が大事」
「ホスピタリティなんだよ」
お怒り気味のある社長に相談されました。
「何度言っても、お客様第一で動けない人が多いんですよ」
「伊東さん、どうしたら誰もがお客様第一に動いてくれるんでしょうか?」
私はまず気になったことを質問してみました。
なぜ 「売場がグチャグチ」 =「お客様第一に考えていない」 とお考えになるんですか?
なぜ 「手元近くに置かない」=「お客様の立場に立ってない」 とお考えになるんですか?
もしかしたら 「売場よりも優先すること」 があったのかもしれませんし
もしかしたら 「商品には必要以上に触るな!と直接お客様にお叱りを受けた」 のかもしれません
「会社の方針が浸透しない」といわれる企業には共通点があります。
それは マネジメントがワンウェイ(一方通行) という点です。
普通、企業では新しく創り上げた商品やサービスを販売した時
想定よりも販売に至らなかった場合には
「これは高いから売れないんだ」
「味が悪い。創り直せ」
など、いきなり一方的に決めつける企業はまずありません。
まずは
「ターゲットを変えてみようか?」
「パッケージもそれに合わせて変えてみようか?」
など、売れなかった理由をあらゆる視点で見つめ直し、分析し、テスト販売を重ねます。
なぜなら「お客様は買わなかった理由を話さないから」
企業側としてはどうにかお客様の心の声を聴きだそうと、あの手この手で探ります。
しかしマネジメント面で考えるといかがでしょうか?
ターゲットはお客様・・・ではなく社員、スタッフ つまり身内の存在です。
少し工夫すれば彼らの本音が聞けるという大きなアドバンテージがそこにはあります。
いちいち、心の声を聴こうと時間やコストをかけたトライ&エラーを重ねなくても済む可能性が秘められています。
ところが、そんなアドバンテージを生かすこともなく
ほとんどの企業は社員、スタッフが経営者の思い通りに動いていないだけで
「ヤル気が無いぞ!」
「上司はちゃんとマネジメントしてるのか?」
一方的に決めつけてしまう企業が多いです。
一方、働く人達全員をうまくまとめあげられている企業は
「その時、何を考えて動いたの?」
「そう考えたきっかけは何かあるの?」
働く人達の本音をうま~く引き出せています。
マネジメントはワンウェイではありません。
彼らの本音を引き出せた上でマネジメントを行っていますので
自分たちの考え、意見も反映されるからと、社員やスタッフは
「会社はきちんと私達と向き合ってくれる」
と会社は信頼されますし
自分の方向性が会社の目指す方向と違っていた場合
「あ、これは違いますね」
「危なかった、ありがとうございます」
と彼らは流れるように自己反省します。
更に
「そうか、さすが〇〇さんだ」
「■■先輩はやっぱりすごい」
など感謝されることもあります。
そしてこんなマネジメントの大きなメリットは
経営陣が考えた案、アイディアよりも良いものが出てきやすい点です。
「その手があったか!」
「その視点があったね、すっかり抜けてたな」
など
なぜならチェーン事業には働く人達人数分の
現場の視点 と ブレイン
があるからです。
利益倍増が実現できた社長からは、次々にこういうセリフを聞かされます。
「自分もびっくりするほどのアイディアが社員、スタッフからこんなにゴロゴロ出てくる。・・・想像以上ですよ」
「今まで、自分の考えこそが常に最上位だと勘違いしてました」
「まさか仕事経験がない主婦のアルバイトから、会社の数字を一気にあげられるきっかけが得られるとは・・・」
驚かされる日々の連続だ!と口にされます。
社員やスタッフとしても、身近な仲間がある日、幹部に褒められたり、社長から一声もらったりする人が現れると
「こんなヤツでも評価されるの?」
「〇〇さんてそんな凄い事考えてたんだ」
「俺にもチャンスあるかも!」
ヤル気という炎は次々に人づてに燃え移っていきます。
チェーン事業の最強の武器は何なのか?
単に 「スケールメリット」 と考えている企業と
「働く人たち人数分の現場視点とブレイン」 と考えている企業
ほんの少しの認識の違いは、のちの大きな数値結果の差につながります。