今週のマネジメント 「役職」を増設すれば組織を強化できるのか?
ある社長から
「退職の連鎖が止まらないんです・・」
「それも優秀な人材から」
何が原因なのか?詳しくお伺いすると
「それが原因ですね」と断定できる行為が。
それは数か月前に 「新たに役職を増やした」 こと
正確には役職を増やしたこと自体が問題ということではなく
その行為自体に潜む負の面に対して、手を打てていなかったことが原因でした。
その企業はコロナ禍だからこそ、他社よりも大きく業績を伸ばしていかなければならないと
スピードをもって次々に新たな一手を打っていきたいと考えていました。
しかし
「店舗間の業績の差が大きい」
「人を変えたら業績も変わる」
「結果を出せる人と出せない人がはっきりしている」
会社が打ち出した方針を、実直に行えば誰でも良い結果は出せるのに
なぜそれができる人とできない人がいるのか!
など
「人」の問題が次々に発生し、なかなか前に進めない状態
となっていました。
その打開策として考えて手を打ったとおっしゃったのが 「新たに役職を増やす」
きっと社員、スタッフは
・昇格、昇進を目指して結果を出し続ける
・逆に手を抜くと周りに置いていかれてしまうから誰もが本気になる
・指示する、従う関係が細かくなり、マネジメントはうまく連鎖していく
そんな効果が得られるはずだ・・・と
しかし、ここで気を付けなければならないことがあります。
それは
結果は、実力が無ければ出せないが
役職は、必ずしも実力が備わっていなくとも得られる
ということ
企業には当然、実力があるからこそ高い役職についているという人はいますが
一方で「そんなに実力が無くとも高い役職についている人」もまたいます。
どんな経営者であっても、人を見る時は役職というよりもどんな結果を出してきたのか?
そこに注目しますが、これは社員やスタッフも同じで
「この人は一体どんな努力をしてきて、どんな結果を出してきたのか?」
実績に注目する人は多く
「過去に凄い結果を出した人だから従おう」
という感覚を持っています。
ですから、企業として手を打つ場合にはそこにもフォーカスする必要があります。
それがうまくできあがっていないと
「・・・この人なんか偉そうだよな~」
「感じ悪い」
などとモヤモヤが残り、マネジメントはうまくいきません。
また
「なんで私が指導役にならなきゃいけないの?」
「指示なんかできないよ」
不安を抱かせてしまったり
「なんでコイツが俺より偉くなったの?」
「会社はどこを見てるんだ!」
と怒りを引き出すこともあります。
だからといって何でもかんでもマネジメント体制が完全無欠になるまで
いろんな要素を盛り込みまくればいい・・・
というわけでもないのが難しいところです。
あるチェーン企業がマネジメント面に仕組みを創る際に、ズラズラ~っと条件や注意書きが何ページにもわたるような複雑で難解な内容に創り上げていましたが、うまくいきませんでした。
現場の第一線で、日々忙しい彼らが歩を止めてまで複雑で難解な仕組みをきちんと理解して納得してくれるのか?
彼らの立場で考えてみますとすぐにわかることです。
マネジメント面にほころびがありますと
「この会社はゴマスリばかりが昇進する」
「どうせ今の幹部達は日々、ヨイショを繰り返したんだろう」
「お客様よりも上司の顔色ばかりを窺う企業ってどうなの?」
まとまりがなく数字もとれない組織になっていきます。
「それはそれでいい結果になるんじゃないんですか?」
「だって昇進できない人達が不満を持って辞めていくんですよね?」
という意見をいただくことがありますが、実際にはそうなりません。
なぜなら、昇進できない人達が怠けだすと誰に負担がいくのか?
これは販売店で想像すると早いです。
きちんと売場づくりがなされていない状態が放置されていた場合
一体どんな人が
「この売場には問題がある」
と発見でき
「このままではだめだ」
「手を打たなければ」
と動いてくれるのか?
やはりお客様視点で物事を捉えられる人
日々、問題意識を持っていて妥協せず、真面目で実直な人でしょう。
マネジメントがうまく連鎖し、どんどん結果に結びついていくには?
経営陣が次なる一手に集中できるようになるには?
役職付与という行為の裏に潜む闇を熟知していなければ実現できないことです。