今週のマネジメント 店舗ビジネスの強み、「複数の目」とは?

 「勝手に早く閉店していた」

ある企業において、実際に起きた事です。

 

社長がショックを受けたのは、その異常事態に長い間、誰も気が付かなかった事。

お客様からのクレームによって、初めて明らかになったのでした。

 

店長に理由を聞くと

 ・コロナ騒動時から続いていた

 

一体、それまで何人のお客様がせっかくお店に来てくださったのに、閉店していることに気が付き渋々帰っていったことでしょう。

残念そうに去っていくお客様達の後ろ姿を見ていた店長や社員、スタッフ達は心が痛まなかったのでしょうか?

 

 

店舗ビジネスは本部や店舗、事業所など、それぞれ拠点が離れています。

そのせいか、社長にとって「考えられない事」が知らない間に繰り返されていた・・・

残念ながら、そんなケースは良く耳にする話です。

 

かつてある社長からこんな質問がありました。

 「伊東さん、店舗ビジネスで稼いでいる会社は何が違いますか?」

 

私の回答は「それぞれの目を活かせている」です。

 

組織とは、ほぼリーダーで決まってしまいます。

逆に言えばリーダーができない人だと、いくらメンバーに優秀な人がいても良い組織にはなれません。

そのくらいリーダーの実力が重要です。

 

しかしリーダーがいくら優秀でも、一人の力には限界があります。

例えば 「物事をどう視て、どう捉えるのか?」

 

これを一人だけで行っていますと、いつの間にかブレていて、気が付いた時には軌道修正に多額のコストかかる状態に発展していた・・・という事もあり得ます。

 

その為にも会議やミーティングなど複数の目で捉え、分析ができる「場」を活用するのが1つの手段と言えますが、だからといって会議さえしていればうまくいく・・・と言えることでもありません。

 

第1に、会議はほとんどの企業で行われていますので、他社に差を付けていける一手にはならないという事。

第2に「会議をしていれば複数の視点で物事を視て判断できるから、ブレる心配は無い」と、必ずしもそう言えないからです。

 

最近、それを証明してくれるかの報道がありました。

小林製薬の紅麹サプリの一件です。

 

会長の処遇について、複数の目で見つめ判断したはずの取締役会が決めた結果に「なぜそれを是としたのか?」と外部から指摘を受けてしまいました。

社外取締役がいたのにも関わらず、この結果です。

 

しかも記者会見時には、指摘を受けた社長が「私も恥ずかしい」と、決定事項に問題があった事を自ら認めてしまっています。

 

上場企業の取締役会でも間違った判断をしてしまう、ということですから

 物事をどう視て、判断するべきなのか?

それがいかに難しいのかが、感じられる一件だったのではないでしょうか?

 

さて、

 ・社長一人の視点では死角が生まれてしまう。

 ・会議を行っていても、差を付けられないし、見落としもある

となるとしたら、どうしたらいいのか?

 

ここで私が提案する方法は

 「店舗ビジネスは、リーダー以外の全員の視点を活かすべき」

です。

 

「店舗ビジネスの強みは働く人達の人数が多い」です。

これは他業態は簡単にマネすることができません。

全員の視点を上手に活用できれば、とても強い武器となります。

 

稼げる店舗ビジネス企業はここをしっかりと活かします。

冒頭で挙げたような、せっかく来てくださったお客様が閉店しているからと寂しげに帰っていく姿を見て

 「何とも思わない」

 「何も動かない」

など、あり得ません。

 

 「これはおかしいのでは?」

 「すぐに変えるべき」

そんな「目」が活きていて、機能し、社長の力になっています。

 

ある社長がおっしゃいました。

 「それまでずっとフリーターをしていた子がバンバン結果を出し始めるもんですから、社員となってもらって、更に店長の辞令を出したんですが、その時彼がこう言ってくれたのを覚えています」

 

 

店舗ビジネスの最大の武器である、働く人達の人数。

その全員の「目」を活かす。

 

御社はいかがでしょうか?

 ・「全員の目」は、社長の思い通りに機能してますか?

 ・目は多数存在しているけど、機能していない・・・となっていませんか?