今週のマネジメント 直営店は薄利、FC店は不徹底となってしまう原因と解決策とは?

 「フランチャイズ化して加盟店を増やしていきたい」

直営店だけのチェーン事業を展開してきた経営者なら、一度はお考えになったことがあるのではないでしょうか?

 

メリットはいくつか挙げられますが、その1つは「利益を上げるぞという意識の違い」です。これは「言われたから動く」とは比較にならないほど違いますので、チェーン事業の収益性を上げるためには、FC化は有効な一手のうちの1つだと言えます。

問題はそれが継続できるかどうか?

 

それまでの会社としての準備に綻びがあると

 ・直営店は徹底度が高いが薄利

 ・FC店は利益はとれるが徹底度が低い

という状態に陥って抜け出せなくなってしまうからです。

もしそんな状態となってそれが長く続いてしまいますと、社員間ではこんなやりとりが日常となっていきます。

 「ここの直営店をFC店にできれば、利益は上がるから・・・」

 

社長が「直営店は薄利、FC店は不徹底となっている事自体が問題だ」と視ていたとしても、社員達はその異常事態を疑問視できず「さも当たり前」と捉え、受け入れてしまいます。 

いくら社員達が「さぁ大きな結果を出していこうか」と意欲に溢れていたとしても、立っている土台自体がグラグラでは、お客様が何度も利用したくなるような頑丈で立派な建物を高く築き上げ、収益を上げていくことはできません。

 

そして軽視できないのは、チェーン事業のフランチャイズ化のデメリット「社長の号令1つで即行動ができなくなる」です。

加盟店は直営店と違って本部と直接の主従関係ではありませんので、もしFC加盟店に「不徹底が目立つな~」と感じたとしても「即改善しなさい」「ハイ、完了しました」とはいきません。それまで「GOだ!」もしくは「止めだ止め!」などと、社長が大ナタを振るってくれてたからこそ、スピード成長ができてたんだという企業にとっては大問題となるでしょう。

不徹底を改善しようとしないFC店は頼もしい同志ではなく、足カセです。ただ存続しているだけで「〇〇社は、店舗がこんな状態でも平気で運営させてるんですよ~」とせっせと負の宣伝をし続け、それをご覧になられたお客様やステークホルダーは

 「あ~ 〇〇社ね、まぁ・・・あの会社はね~」

 「う~~ん・・・困ったもんですよね」

と腫物扱いです。社長がいくら素早く対応を求めても、我社の看板が下り坂を転げ落ちていく様を、しばらくは指をくわえて見ていなければなりません。

よって社長が「フランチャイズ化はどうなのか?」と考えた際、マネジメント面の事前準備が必要です。 

 

たまにこんな質問をいただきます。

「伊東さん、フランチャイズ加盟店を増やしていきたい場合、マネジメントにおいて気を付けるポイントは何でしょうか?」

 

それは一言でいいますと

 社員やスタッフに「動いてもらう」に磨きをかけること です。

 

どういうことなのか?

 

その前に、まずは販売面で振り返っていただきたい事がありますので1つ質問です。

御社は、お客様に

  1.無理に売りつける

  2.買ってもらう

どちらの方向性に磨きをかけてきましたか?

 

 

もうこの時点で「いやいやいや、伊東さん、1は無いでしょ」と、つっこまれるでしょう。

おっしゃる通りで、1はお客様の意志を尊重していません。押し売りです。

強引に売りつけられたら売上もたちますが、高い確率で「二度とくるか!」「拡散して炎上させてやる」「訴えるぞ」などの反応があるでしょう。

企業の経営方針が「今さえよけりゃそれでいい」ではない限り、どの企業も商売を継続し、成長していく必要があります。その為にはお客様に「売りつけたらハイお終い。あとは知らん」というわけにはいきません。重要なのは「また来ていただく」「定期的に買っていただく」です。

よって、成長し続けたい企業として磨きをかける販売の方向性とは

 どうしたら、無理に売りつけられるか? ではなく

 どうしたら、買ってもらえるか? です。

 

ただすでに実感されているように、前者よりも後者の方が大変です。

単に「お気に入りでしたら、今後もぜひ何度もお買い求め下さい」と口で言ってるだけでそうなることなど、まずありません。

 「こうしたらお店のファンになってもらって、買い続けていただけるのでは?」

そんな仕組みを何度も作ってみては、お客様の立場に立ってみて

 「いやこれはよくないな」

「あぁでもない、こうでもない」「ではこうしたらどうか?」「この部分が不要になるね」「こっちの視点で創ってみたけどどうかな?」などなど、試行錯誤を重ねる必要があります。

仕組みを確立するには、多くの社員やスタッフの協力を得なければなりませんし、相当な時間と投資も要することでしょう。

しかしその果てに確立できた「お客様が購入に至る仕組み」は大きな価値があります。

完成度が高いほど、お客様はまるで吸い込まれるように「買います」というゴールに進んでくれるようになります。たとえ初めていらっしゃったお客様でも「あれも欲しい」「これも欲しい」「この高いのもくれ」となっていただけることでしょう。

 

さて問題は販売面ではありません。マネジメント面です。

ここでまた1つ質問です。

御社は、社員やスタッフに

  1.無理に動かす

  2.動いてもらう

どちらの方向に磨きをかけてきましたか?

 

リーダーになって日が浅い方であれば「う~~ん、どっちがいいだろう?・・・」と悩む方もいらっしゃるかもしれませんが、リーダーという立場を何年もやってきているという方であれば、どちらが良いのか、どちらがより大きな結果を出し続けてくれるのか? すぐお分かりの事でしょう。

 

つまり会社の業績を大きく、継続的に上げていきたいのであれば、販売面と同じようにマネジメント面でも、力をかけるべきは後者の「2」なのです。

 

そしてやはりこちらも、1よりも2の方が大変です。

単に「君達はあれこれ言われなくても、動けるようになりなさい」と口で言ってるだけで、誰もが自発的、能動的になってもらえることなどまずありません。

 「こうしたら成果を出したくなるのでは?」

そんな仕組みを何度も作ってみては、従業員の立場に立ってみて

 「いやこれはよくないな」

「あぁでもない、こうでもない」「ではこうしたらどうか?」「この部分が不要になるね」「こっちの視点で創ってみたけどどうかな?」などなど、試行錯誤を重ねる必要があります。

幹部が一致団結して、苦労の日々の果てに得られた「マネジメントの仕組み」は、どんな従業員であっても、まるで吸い込まれるように「結果を出しました!」というゴールに進んでくれるようになります。

そんなマネジメントの仕組みが確立するまでは、相当な時間と投資を要することでしょう。 

しかしそんな仕組みは完成度が高いほど、たとえ会社に入って間もない社員であっても、採用したての社会経験ゼロのスタッフであっても、次々に成果を出してくれるようになります。

 

つまり、なぜ直営店が薄利でFC店が不徹底となってしまうのか?

それは、会社がそれまで社員やスタッフに対して「動いてもらおう」ではなく「どうしたら無理に動かせるか?」の方向に力を入れて来てしまっているからです。

 

よって解決方法はその逆で、磨きをかけるポイントをずらせばいいだけです。

社員やスタッフに対して「無理に動かそう」ではなく「動いてもらう」に力を入れて、磨きをかけていけばいいのです。

やがて「結果を出したくてしょうがなくなる仕組み」がいくつかできていきます。

それは直接介入するマネジメントではなく、ほぼ自動的かつ自発的に動いてもらえる仕組みですので、直営店だから利益を得ようとする意識が低いとか、FC店だから本部方針が不徹底になるという問題に悩まされる事自体ありません。

 

 

 「あのチェーンは直営店だけなのに、なぜ利益率が高いのか?」

 「あのチェーンはフランチャイズ店が多いのに、なぜ徹底度が高いのか?」

ライバル企業と大きく差を付けられるチェーンは、その秘密をよくわかっています。

今日もまた他社との差を広げていくことでしょう。