今週のマネジメント 稼ぐ人だらけの組織をつくるトップに欠かせない∞(無限大)の視点とは?
「こう言っちゃいけないとはわかってるんですけど・・・つい口にしちゃうんですよ」 30年以上小売業を経営されていて、あらゆる仕事はベテランの域に入っている女性社長が、マネジメント面についておっしゃった言葉です。
私(伊東)はたまに勘違いされますが、「クライアント企業に、いつまでも居座って口出しを続けるコンサルタント」ではありません。マネジメントの仕組みづくりをお手伝いをして、それができあがり会社の業績が跳ね上がったら立ち去る仕組み構築型のコンサルタントです。よって、その過程において「御社のマネジメントの状況を拝見しますね」という行為は必要ありません。なぜなら仕組みをつくるというアクションに不要だからです。
ただ仕事柄、様々な企業のマネジメントの状況はクライアント以外の企業からも、私の眼や耳に入ってくることが度々あります。
そこでよく感じることは「リーダーが求める組織像と、今行っているマネジメントのズレ」です。私はその度に「あ~、そんなマネジメントしちゃってるのか・・・」と残念に思ってしまいます。
そこで一番に挙げられる事例はリーダーが「〇〇しなさい」とか「まずは□□をやれ」など、ああしなさい、こうしなさいの行動範囲を限定している発言です。
ここで「伊東さん、組織のリーダーがメンバーに対して指示、指導して何が間違っているんですか?」と感じる方もいらっしゃることでしょう。
私はそういったマネジメントが全て間違っている、と言いたいわけではありません。
間違っているどころか、逆に「〇〇しなさい」とか「まずは□□をやれ」は、組織の目標達成に向かって、いち早く結果を出せる有効なマネジメントの1つと言える手段です。
しかし気を付けなければならないのは、マネジメントとはリーダーが「こんな組織にしていきたい」というイメージに合った手法を採っていなければ、経営に悪い影響を及ぼす劇薬、毒薬となってしまう点にあります。
例えばリーダーが目指す組織像が「働く誰もが限界を意識せず、ひっくり返るような大きな結果を出し続けられる組織にしたい!」であるのなら、「〇〇しなさい」とか「まずは□□をやれ」などの行為はやってはいけない毒マネジメントなのです。
そもそも会社経営者と社員やスタッフとでは結果を出すために、動き回れる領域、エリアに違いがあります。
まず経営者は会社をどのようにしていきたいのか? 自ら目標を立て、それを達成するためにの活動領域は非常に広い範囲に及びます。社長は特定の部署長でもありませんし、担当者でもありません。良く使われる表現で「法律にさえ則っていたら」というフレーズがありますが「まさにソレ」です。
ビジネスは活動できる領域が広ければ広いほど、目標達成のためのヒントやチャンスを縦横無尽に探し回ることができ、優利です。他の人から見た場合、腰を抜かしてしまうほど大きなチャンスを掴むことも可能となります。ユニコーン企業がいまだポツポツ生まれ続けるのも社長というポジションは無限大の可能性を秘めているからです。
では一方の会社の社員やスタッフは結果を得るためにどのくらいの規模の領域で活動できるのか?
それは社長と比較しますと担当部署、担当業務が与えられていますから、まるで比較にならない程狭い領域となってしまいます。
ライバル企業よりも業績を上げて、引き離していきたい企業がすべきは「誰も想定できない程の大きな結果を出せる活動エリアを許容するマネジメント」であること。
「いかに社員やスタッフらに幅広い視点を持ってもらい、動いてもらえるか?」
「君達の活動領域はこんなに広くて、そこら中にチャンスが眠ってるんだぞ!」
というマネジメントが繰り返される組織をつくるべきなのです。
ところが社長がいざ社内の各リーダーのマネジメントに注目した際に「〇〇しなさい」とか「まずは□□をやれ」というマネジメントが繰り返されていたということはよくあります。
彼らはまるで「社長の方針の真逆を目指しなさい」「大きな結果は求めなくていい。言われたこと、我々が想定できる範疇内のこじんまりとした結果を出しなさい」と強制しているようなもので、そのズレは自分で気が付くことができません。
その結果、各部署ではスピード感は得られるものの、出される結果の額面、規模は
「そこまでは誰もができて当たり前」
「それで頑張った結果と言えるの?」
という領域をとび抜けることはまずありません。
よって、そんな組織のトップが日々感じることになってしまうのは
「なぜ我が組織ではいつまでも大きな結果を出せない人ばかりなのか?」
「言われたことしかやらない」
「自分が組織を離れ、任せてしまうと尻すぼみ、ジリ貧になっていく」
「手がかかってしょうがない、目が離せない」
「お~ッ それだよそれ そんな爆発が欲しかったんだよ!」と言えるくらいの驚きが欲しい・・・
などの不満です。
その不満が解決しない原因は組織のメンバーの能力にある・・・というよりも、各リーダーがわざわざ「∞無限大の可能性」という能力が噴出しないように、丁寧に一人一人にフタをしてまわっているような行為をしているからなのです。
そんな組織が外部から見られた際には
「まぁ〇〇業界なんだから、業績はそんなもんだよね」
などの「およそ想定内」の結果しか得る事ができないのです。
ただ社長の嬉しい事に、ごく稀にですが社内には「なんだこの結果は! 凄すぎるぞ」と驚かれる能力を発揮する方が現れます。
しかし、残念ながらその会社のマネジメント面に工夫がなされていなければ、いずれ会社の業績を跳ね上げ続けてくれるであろう人物はいなくなってしまいます。
なぜなら「君はよくやった!」「その手があったか!」「たまげたよ」 と褒めたたえてくれるリーダーもまた存在しないからです。
たまにお聞きするケースですが大きな結果を出せた際、その上長が
「勝手な事をするな」
「誰がそこまでやっていいと言った?」
など褒めるどころか、逆に怒りだしてしまう人もいます。
また、それが社内に浸透してやがて
「あいつは言われたことをやらないヤツだ」
という異端児扱いを受けてしまうケースもあるほどです。
苦労して結果を出せた本人としては「あんなに頑張ったのに、そんな評価なのか・・・」「なんで結果を出したのにこんな扱いを受けてしまうのか?」などと捉えられ、社長の知らない間に何百人に一人という逸材が一人、また一人と去っていってしまっているかもしれません。
事実、私の周りの人達には独立起業され、活躍されている社長が多いのですが、その中には「会社でそれが嫌だったから辞めた」という人が多いです。
「〇〇しなさい」とか「まずは□□をやれ」などのマネジメントを繰り返していると、大きな結果を出し続けられる優秀な人が育たないのは当たり前なのです。
大きく稼げる人を欲するのなら、活動領域を限定するようなマネジメントは避けるべきです。
現実世界にはゲームのような限られた選択肢など存在しません。
結果を出すためにどう動くのか?
どのくらいの結果を出せるのか?
可能性は無限大にあります。
いかに組織のメンバーに「まてよ、こうやったらもしかして・・・とんでもない結果が出せるんじゃないか?」と感じてもらい、動きたくなるようにできるか?
飛躍していく組織のリーダーは、そんなマネジメントのルートを見事に整備することができ、働く誰もがまるで流れるように驚きの結果を出せる人へと成長していくようになっています。