今週のマネジメント 第466号 長所を生かせる会社にしたい社長が抑えるべきポイントとは
店舗型のビジネスにおいて難しい事。
それは「社員、スタッフそれぞれの長所を、会社の成長に生かしたい」
これが実現できた時の、従業員満足は計り知れません。
実際に実現できた企業に確立したのは、口コミによる応募と採用のサイクルです。
特に会社から「求人していると宣伝して下さい」と従業員に働きかけたわけではありません。
「自分の職場がいかに心地良いのか?」
パート、アルバイトさん達の仕事に対する感想が独り歩きし、求人費をかけずとも人が集まる状態へと変わっていったのです。
人が集まれば、刺激、共鳴が活発になります。
個々の仕事の精度が磨き上げられていくスピードが増していき、数カ月後には会社の利益は倍以上となりました。
「働く人達の笑顔が増え、会社の業績も上がり、従業員の報酬も挙げられるなら我が社もそうしたい」
そうお考えの経営者もいらっしゃるのではないでしょうか?
ただ、これはそう簡単に確立できません。
現実は、長所を伸ばせていけるどころか、主力のベテラン勢が一気に辞めてしまった、というケースさえあるほどです。
なぜうまくいかないのか?
要因はそれぞれ違いますので、一概に「これが原因です」と断定はできません。
ただ、比較的多い原因は挙げられます。
それは「社長の、ある見落とし」です。
ちなみに、弊社のコンサルティングメニューの1つ、単発のスポットコンサルティングにて、その手の相談があった際、私はこう返しています。
「社長、長所を生かせる場の範囲が限定されていませんか?」
どういうことか?
結論から言いますと、
人が持つ長所は、必ずしも他人の想像の範囲内にあるわけではない。
人の長所は千差万別です。
よくあることですが
「え? 君はそんな事ができるの?」「流石に無理でしょ」
と、想定以上のことだったり。
または、あまりにも特異過ぎて
「あの子の長所、本当に会社の業績につなげられるのだろうか?」
と思ってしまうほどのこともあります。
つまり、もし社長が頭を捻ってせっかく作った「長所を生かせる仕組み」が、なぜかうまくいかないな、となっているとしたら、それはもしかしたら
社長の想定以上のこと、もしくは想定の範囲外の長所が発揮できない仕様になってしまっている。
からかもしれません。
これでは、せっかく社内には素晴らしい長所を持っている人が何人もいるのに、ずっと発掘できないまま、眠ったまま、というもったいない状態になってしまいます。
これだけですと
「別に長所をもっている従業員が見つからないってだけでしょ?」
「危険でもなんでもないじゃないか」
となることでしょう。
しかし、実はこの状態は、会社の業績を急速に悪化させる要因です。
危険な状態ですので、私は「すぐに改善すべきです」と言っています。
なぜなら、
働いている誰もが、そういった視野になってしまうから
そんな会社には、例えば、こんな社員やスタッフが現れてしまうということです。
「君は誰の指示でそうしたのか?」
「そんな方法は認めない」
「勝手に動くな」
「余計な事をするな」
「言われた通りにやりなさい」
もしかしたら、あなたにもこんな経験があるのではないでしょうか?
・独自の手法で良い結果が出せて報告したら
「そんな方法は会社で認めていない」と言われた。
・評価されるどころか逆に怒られてしまった
もちろんその人の行為が、会社の方向性とあっていなかったとしたら、こういった指導はありえることです。
ところが社長としては「自由に動いて結果を出しても構わない」といった形を取っているはずなのに、社員やスタッフがとっておきの自分の長所を発揮して、良い結果を出したが、否定されてしまったら・・・。
さて、その人はそんな会社に対してどんな思いを抱くのでしょうか?
間違いなく言えるのは、このような職場で働いている人達が、自分の職場の素晴らしさを宣伝してくれて
「僕も、私も」と働きたい人が集まってくるわけがない、ということです。
改めて言いますが、人の長所は千差万別。
社長が長所を生かせる会社にしたいとするのであれば、どんな意外な長所であっても、生かせる会社にしておかなければなりません。
社長が、社員、スタッフ達の長所を生かして会社を成長させたいとした時、
長所を生かせる場の範囲を限定してはなりません。
そんな工夫が必要なのです。
逆に、うまく自分の長所が生かせる工夫ができている会社には人が集まってきます。
ある社長が嬉しそうにおっしゃいました。
「うちの社員には、いわゆる組織のボスの娘がいます」
「世間ズレはしてますが、他の人には無い、鋭い接し方ができるんです」
「あと、こちらの子、この子はいい絵が書けるんですよね〜」
「HPのかわいらしいイラストは全部彼女が書いてますよ」
長所が生かせる会社にしたい。
それは人手不足が致命的ダメージになりやすい店舗型のビジネスにとって、とても強力な武器となります。
そんな会社に変えたいとお考えの社長には、ぜひとも実現していただきたいものです。