今週のマネジメント 第473号 複数店見れる店長になれる人か? 見極められるポイントとは

「遅いという事は致命的なんです」
セミナー後に、ある社長がおっしゃいました。
「それは言い過ぎでは?」という方もいらっしゃるでしょうか。
しかしこれは盛った発言ではありません。
たとえば、身近な家庭の出費で考えてみますと、ひと月にかかっていた出費が25万円だとすれば、目標達成までに
・5ヶ月かかっていたら125万円
・1年だと300万円
が財布から無くなってしまうわけです。
ビジネスは、アクションが遅ければ遅いほど出費は膨れ上がっていきます。
何事も早くやるに越したことはありません。
では店舗型のビジネスにおいて、他社よりも早く成長するにはどうしたらいいのか?
この問いに対する回答は色々です。
・他社が真似できない商品やサービスを新たに用意する、とか
・店舗は立地が命。ドル箱店をつくるべきだ、など
・いや、M&Aで拡大するほうが早い
・いやいや社外に投資してリターンを・・・なども
では私の回答は何かと言いますと、それは
「個人個人の生産性を上げられる仕組みをつくり、磨き上げていく」
です。
その理由は1つ。
早く実現できるからです。
仕組みづくりとは、構築までの手順さえ明確であれば、上記に上げた方法より短期間で実現できます。
しかも今は、人手不足という多くの他社が苦戦している時代背景があります。
だからこそ私は自信を持ってお勧めしています。
今回のコラムでご紹介するのは
「個人個人の生産性を上げられる仕組みをつくろう」とした時、重要となってくるのは何か?
それはいくつかありますが、一つ挙げますと
「この人は、複数の店を見れる人か?」この判断です。
かつてある企業にお邪魔していた時のことです。
そこでは長年ズバ抜けた結果を出していたエース店長がいらっしゃいました。
ところが、いつからか彼の姿を見なくなった為、社長に聞いてみたところ
「その人はもういません」
「もう代わりがいますから」
素っ気なさに驚きましたが、きっと社長にとって口にもしたくないほどの何かが起きたのだろうと察し、それ以上何も聞かずにいました。
後々になって社長がおっしゃったのは、
「彼には複数の店舗を見れるほどの能力は無かった」
店舗型のビジネス経営者が、これからは複数の店舗を見てもらいたいとした時、つい注目しがちなのは
「売上を上げていける人かどうか?」
ハッキリ言いますが、これは違います。
優秀ではありますが、危ないのは
「1店しか見れない人でもあてはまってしまう」
ということです。
もし「この人は優秀だな」と社長が目を留めた時、実はその人は自分が自由に使える時間をめいっぱい仕事に費やして、過労死寸前という状態で売上を上げられています、という人であったとしたら・・・。
そんな人に「これからは複数の店舗を視てくれ」など任命できるでしょうか?
店舗とは、それぞれ立地や条件、規模が異なります。
誰が優秀な人なのか?
単純に売上や前年比などで一律に比較しようとしていますと
「君は優秀だから昇進だ」
としたものの、新しい役職に就いてもらったのに大コケ。
そして社内は大混乱となってしまう危険性があります。
残念ながら私はそんなケースを山ほど見てきました。
会社が決めたことですから誰も
「あの人はリーダーの器じゃない」
「今すぐ変えてください」
など口にしてくれません。
複数の店を見てほしい人は、慎重に選ばなければなりません。
そこで伊東がお勧めする見極めるポイントがあります。
それは
「もっと働きたい」という要望を多く集められている人なのか?
それが店舗だとしたら、多くのスタッフ達から「店長、私はもっとシフトに出たいんです」と言われている人なのか?
人が自らの生産性を上げていくうえで最も重要なこと。
それは
楽しいかどうか
です。
「自らやりたい」と「人に言われたからやる」
この差がどれほど大きいのか?
組織のリーダーをご経験されている方であれば、想像しやすいことでしょう。
人は、楽しければ今までに見たことがない成果を出してくれるようになります。
そしてもっと働きたいとなってくれます。
ちなみにこれは、リーダーがお願いすればもっと働いてくれる人がいるとか、頼めばシフトを増やしてくれる協力的なスタッフがいる、といった状態とは違います。
自発的に「もっと働きたいです」と言ってくれている人が多いかどうか?ということです。
時代はAIを活用して、もっとビジネスを強化していこうという方向性に走っています。
素晴らしいことだと思いますが、こうも言えるのではないでしょうか?
「社長、このAIがあれば生産性の低い人は雇う必要さえ無くなりますよ」
さすがに人はAIのように24h、年中無休で働けません。
また、高度な計算や検索も敵いません。
そして、気が滅入った時は仕事ができなくなってしまう弱さもあります。
・これからどんな経営をすべきなのか?
・どの企業もAIを使いだしたら、どうやって差をつけるのか?
それでも私が自信を持ってお勧めできる方法がこれなのです。
「個人個人の生産性を上げられる仕組みをつくり、磨き上げていきましょう」
