今週のマネジメント 第497号 社員やスタッフたちの声を聞こうとしなくなった企業。その後、働きたい人が増えた理由とは。

 「『もっとシフトを増やしたい』という声がポツポツ上がってきました」

ある社長がおっしゃいました。

 

10年以上も慢性的な店舗スタッフ不足に苦しんできた会社が、なぜこうなったのか。

 

それは社長が

 社員やスタッフ達の声  を聞こうとする事をやめ

 社員やスタッフ達のニーズを探ろうとする方針に変えた

からです。

 

これらは似ていますが、違います。

 

どう違うのか、同じような例を挙げますと

 お客様の声  を聞く

 お客様のニーズを探る

の違いです。

 

この2つがどう違うのかは、商売に長く携わっている方であればわかっていただけるのではないでしょうか。

 

 

お客様は自分が今、何を欲しているのか?

明確に声に出していただけるわけではありません。

 

例えばスマートフォン。

 

誰かが

 「従来の携帯電話ではなく、もっと画面が大きくて、画面自体をタッチ操作することで色々なアプリが使える機能がメインとなった真新しい形のものが欲しいんです」

といった声が上がり、それを受けてApple社が

 「わかりました。つくりましょう」

となったわけではありません。

 

実際にはお客様の潜在ニーズをあの手この手で探り

 「きっとお客様は、こんなのを欲しているんじゃないか」

と予測し

 「こんなのを創ってみました、いかがですか」

と提案、販売したから普及しているわけです。

 

社長が自社の業績を上げていきたいのであれば、

 「いかにターゲットの潜在ニーズを正確に探り当てられるか」

 

これは外せません。

 

では、店舗型のビジネスにおいて、社長が「この会社で働きたい」という人を増やしていきたいのであれば、何が重要なのか。

 

そう問われたら、私の返答は

 「いかに社員やスタッフ達のニーズを正確に探り当てられるか」

です。

 

社員やスタッフ達は自分が今、会社に対して何を欲しているのか。

それを明確に声に出してくれることはないからです。

 

 

ところで数年前から、店舗型のビジネス企業にはこんな動きが目立ってきました。

 

  「もっと店舗の社員やスタッフ達の手間や労力を減らせないか」

 

店内は無人。スタッフは軽微な作業だけで営業できているというお店が今なおマスコミに取り上げられ、一方我が社では簡易的な作業を代行してくれる仕組みを導入しました、などのリリースを我々はよく目にします。

 

また採用面においては、更に初任給や時給を上げましたとか、更に従業員特典を強化しましたなど、価格競争ならぬ、高待遇競争も見受けられます。

 

別に私はこういった行為を否定したいわけではありません。

 

会社によって、そういった一手が社員やスタッフ達のモチベーションを上げられ、業績UPにつながることもあるからです。

 

しかし、とても気になる点があります。

 

それは

  「御社のその一手は、本当に社員やスタッフ達のニーズを探った上でのご判断ですか?」

 

 

ガラケーの時代に

 「もっと電話帳の登録件数を増やして売ったらどうか」

とか

 「もっと着メロのバリエーションを増やしました」
など、お客様の声ばかりに各企業が気を取られて対応していては、いつまでもスマホようなイノベーションを起こせなくなってしまうように、店舗型のビジネスの社長が、誰か社員かスタッフが口にした言葉に気を取られていては大きな変化は起こせません。

 

 

 「御社の社員やスタッフ達は本当に、手間がかからない職場を求めているのでしょうか?」

 

もしかしたら、ただ単に世間の風向きが無人化だ省人化だと騒いでいるから、それを目に耳にした社員が「確かにそうだ、うちもそうなってほしい」と、安易に口にしてるだけではないでしょうか。

 

 「スタッフ達は本当に、直接お客様と関わりたくないからと、バック作業ばかりしたいのでしょうか?」

 

 「本当に給与や時給、従業員特典を増やせばうまくいくのでしょうか?」

 

 

業績を伸ばせている企業はまるでエスパーです。

 「お客様が欲しかったのはこんなのではないですか」

と的確に心を射抜きます。

 

それを受けたお客様の反応はこうなります

 「こんなのを待ってたんです」

 「わかってるよね。この会社は」

 

働きたい人を増やせている企業はまるでエスパーです。

 「社員やスタッフさん達が望んでいた職場はこんな感じではないですか」

と的確に心を射抜きます。

 

それを受けた社員やスタッフ達は・・・

 

 

どうしたら社員やスタッフ達の声ではなく、ニーズを探れるのか。

 

それは日々、お客様をターゲットに業績を上げられている企業であればわかることではないでしょうか。