今週のマネジメント 第506号 なぜ店長はスタッフを指導したがらないのか

「どの店舗に行っても店長や社員達の元気が無かったから」
「もっと楽しんで仕事ができないものなのか」
ある社長がマネジメント面の改革に着手しはじめたきっかけをおっしゃいました。
日本のビジネス全般にはこんな風潮があります。
それは「部下に嫌な顔をされているのに、お構いなく指導を繰り返す」
私はこれを否定したいわけではありません。
嫌な顔をされるほどの指導がなければ、企業が成長していくことは難しいからです。
しかし問題なのは、これは店舗型のビジネスでは通用しないということ。
なぜなら、店長が指導しなければならないのはスタッフだからです。
店舗スタッフは社員とは雇用形態が違います。
店長はスタッフ達に嫌な顔をされても、お構い無しに指導を続ける・・・というわけにはいきません。
もし店長がそういった事を続けていたとしたら、スタッフ達には次々に去っていかれ、やがてはお店をまわすことができなくなってしまうでしょう。
よってこの「嫌な顔をされる指導をしてはいけない」は、店舗型のビジネスの基本的なルールと言えるのではないでしょうか。
ところが困ったことに、その基本的ルールが抜けている人達が各店長達の指導役だったりすることが多いのです。
日々発せられる言葉は
「君はちゃんとスタッフを指導しているのか」
「やる気があるのか?」
「最近の店長達は厳しさが足りない」
など。
ここで問題となるのは各店長の立場です。
・上司に指導された時に嫌な顔をすることはできません
・かといって今度はスタッフ達を指導する立場となったら、嫌な顔をされないようにしなければいけません。
・会社からは「早く結果を出せ」と求められます
・社員が仕事で困った時に相談できるのは、普通は上司です。しかし、その肝心の上司が「困った顔をしてもお構い無しで指導してくる上司」ですと、そもそも相談相手として成立しません
・もし相談したとしても解決どころか、「この人は駄目な店長だ」とマイナス評価をされてしまうかもしれません
どうしたらスタッフ達に嫌な顔をされずに会社の方針に沿って動いてもらえるようになるのか。
この課題を解決できるのは店長ではありません。
会社のトップである社長です。
社長が筆頭となって会社のマネジメントの構造を根本から変える必要があります。
そもそも各店長達の模範となる上司達は「嫌な顔をされなくても、社長が示した事をうまく指導できる人達」でなければならないからです。
店舗型のビジネスの社長がすべきことは
「たとえ部下から嫌な顔をされたとしても、仕事なんだからそれでも指導しなさい」と強制させることではなく、どうしたら嫌な顔をされず、社長の想いを再現してもらえるのか、今日もその難題を何とかしようと頑張っている店長達に新たな道を示すべく、会社のマネジメント面の構造を変えることです。
今現在、店舗でがんばっている店長達。
もし彼らが、スタッフ達に嫌な顔をされることなく、社長が示した事を実現してもらうことができていなかったとしたら、
一体どこから、足りない分の労働力を捻出し続けているのでしょうか・・・。
成長する店舗型のビジネスの姿とは
・各店長達を指導する立場の人達の指導は、不思議と心地よく、ついつい頑張ってしまう形になっている
・スタッフ達が誰も嫌な顔を見せること無く、早く私を指導してほしいと笑顔で店長に言ってくる
・店長の言った事は、スタッフ達はどんどん吸収してくれて、結果を出せるようになっていく
・店長とは皆から憧れる役職。僕も私も店長になりたいとなっていく
そんな人と人とのつながりが強い企業であるべきです。
