今週のマネジメント 第525号 社長が現場で働く企業が成長軌道にのったきっかけとは

 「とにかく現場に出なければと思ってました。」

ある社長がおっしゃいました。

 

会社はこれから出店数を増やしていこうと順調に拡大されていってますが、かつては慢性的なスタッフ不足に悩まされていました。

 

 「まずは人が集まる企業に変えなければ何も始まらない。」

 

社長は弊社ピアーズにご相談にいらっしゃいました。

 

当時私が質問したのは

 「人を増やしていくために、どういった手をうってますか。」

 

その返答を聞いて問題と感じたのは、どれもこれも現場目線の手ばかりだったことです。

 

 「これらは社長の案ですか?」

 

その返答はやはりと言ったところでしょうか、ほとんどが社員やスタッフ達からあがったアイディアだったのです。

 

なぜそうなったのかは、それが社長が想い描く会社組織の形だったから。

 

目指していたのは

 「社長、こうしていいですか」

 「おお、いいよ!」

そんな積極的なアイディアが社員やスタッフ達からどんどん出てきて、たとえ厳しい結末が見込まれるんじゃないかと予測ができたとしても、なるべくGOを出してあげたい。 

そんな形の組織にしたかったからとのことでした。

 
 
これは口で言うのは簡単ですが、実現は難しいことです。

 

普通であれば、

 ・そもそもそんな声が上がってこない

 ・声はあれど実行する人が現れない

といった結果になりやすいからです。

 

ここで、そんな難しい形の組織が確立できている会社なのであれば「ここで働きたい」という人も次々に現れて、人手不足に困ることなど無いのでは?

と思われるところでしょうか。

 

しかし実際にはそうなってはいませんでした。

 

その理由は、重要な視点が欠けていたからです。

 

私が社長にお伝えしたこと、それは

 「人が集まる会社にしたいのであれば、どうやったら人が集まってくるのか」

 「その一手一手を社長自らが出していくべきです」

 

なぜなら、人が集まってくる要素とは

リーダーが、現場の大変さをわかってくれる人だからではなく、

リーダーが、現場の大変さをわかってくれたうえで「どうしたら大変じゃなくなるのか」その有効な一手をうつことができ、働きやすい環境に変えていける人だから

です。

 

 

世間には

 ・うちの会社は社長や各部所長も現場に一緒に出て働いてくれます

 ・現場重視型の企業ですよ

といった会社が存在します。

 

私はこの形自体に問題があるとは言いません。

よって「社長は現場に出るべきではない」と言いたいわけでもありません。

 

しかし問題なのは、ただリーダーが現場に出て一緒に働いているだけでは人は集まってこないということです。

 

 

当時、社長からこんな質問をいただいていました。

 「伊東さん、これまで社員やスタッフの中には凄い一手を出してくれた人もいました」

 「ですから、今のこの形の組織でも人を増やしていけるのではないですか。」

 

私の返答は

 「それは難しいでしょう」

 「凄い人は確かにいます」

 「そんな人が社内にも現れるかもしれません」

 「しかし問題なのは、そんな人がずっと会社にいてくれるかどうかです」

 

もしそんな凄い人が社員やスタッフの中に現れたとしたら、その人は会社全体を見据えて、有効な一手を打てる力があるということになります。

 

つまり組織を成功に導ける力があるリーダーの素質を持っているということにもなります。

 

はたしてそんな凄い人はこれからも会社に在籍し続けてくれるのでしょうか。

 

 

もし

 「我が社はリーダーが自ら現場に出て働くスタイルだ」

 「これこそが強みである」

そんな形をとっているのに

 ・人の力が業績に結びついていってない

 ・もっと伸びていってもいいはず

と感じていたとしたら、まずは

リーダー自身が現場をよくしていける一手が打てているか。

確認してみてはいかがでしょうか。