今週のマネジメント 第526号 店長がシフトに入ったことが無いA社の方針とは

 「10年前からどの店長もシフトに入ったことは一度もありません」

A社の社長がおっしゃいました。

 

なぜ店舗型のビジネスでは人手不足と言われている今、それが実現できているのか。

 

秘密はA社の方針にあります。

 

ここで推測されるのは

 「単に『店長はシフトに入るな』というルールがあるからではないか」

 

しかしそうではありません。

 

もしそれだけで、実現できていたとしたら

 「こんなにスタッフが不足しているのに、なぜ店長はシフトに入ってくれないのか」

といった疑問を抱かれることになり、そう遠くない未来に組織の崩壊が訪れることでしょう。

 

ではA社はどういった方針なのか?

 

それは

 我が社にはおかしな指導をしているリーダーなどいないと公表している

 

ポイントとなるのは、おかしな指導がなされないような工夫が「事前にされてある」という部分です。

 

店舗型のビジネスにおいて、多くの企業に採用されているマネジメントのスタイルは

 「私はこんなひどい指導をずっとされていました」

   「一体どういうことだ?」

   「至急、調査しなさい」

といった形の、おかしな指導は事後に発見し改善するというケースです。

 

この時点で問題点にお気づきの方もいらっしゃることでしょう。

 

 

なぜなら、これを言い換えれば

 ・実際におかしな指導がなされている部署や店舗が存在していたとしても、会社がいつまでも気がついてくれない。手をうってくれない

 ・もしくは会社に知られる前に関係者達だけで、問題がもみ消されている

といったこともあり得るからです。

 

店舗は会社の本部から目の届かない場所にあるのが一般的で、隔離された職場とも言えます。

 

はたしてパワハラが大騒ぎとなる今、もしも各店舗でおかしな指導が繰り返されていたとしたら・・・。

 

そこで働く社員やスタッフ達にはどんな想いを抱かれていることでしょうか。

 

もし「我が社ではおかしな指導が発生しないように再発防止を徹底している」と有限実行で自信たっぷりの会社があったとしても、社長の知らない間に「ここでは働きたくない」といった想定外の悪評が周辺地域に浸透してしまう。「そんな事は絶対無い」と言い切れるでしょうか。

 

弊社ピアーズが全店舗型のビジネスの社長にお薦めしていること、それは、

 おかしな指導が事後ではなく事前にわかるような工夫を施しておくこと

です。

 

たとえば「自動車の自動ブレーキシステム」を例に挙げてみます。

 

かつては「ぶつかってから修理する」が当たり前でした。

 

しかし今の時代でもメーカーがつくる全車がそんな形で売り出されていたらいかがでしょうか。

 

おそらくそんなメーカーは、ユーザー達に支持されることはないでしょう。

 

今の車のほとんどは「ぶつかる前」に警告を出すことができ、ドライバーのアクションよりも先に、強制的にブレーキをかけてくれるようになっています。

 

異常は事後ではなく、事前に教えてくれる。または自動で防いでくれる形はすでに世の中に浸透していて、もはやスタンダードとなっているのです。

 

店舗型のビジネスのマネジメントも同じです。

 

いつまでも、スタッフが辞めてから、あるいはハラスメント問題が起きてから

 「実は現場でこんな指導が行われていた」

と後々になってわかってから都度都度

 「再発防止に努めます」

としていては、会社としての損失はもちろん、「ここで働きたいな」という人達も減っていきます。

 

よって必要なのは、おかしな指導を事前に防げる工夫であり、社員やスタッフ達に安心して働いてもらえる職場を事前につくっておくことなのです。

  

 「この会社にはおかしな指導など、そもそも発生しないような形になっている」

 「だから安心して働ける」

そんな職場を他社よりも先駆けて確立でき、しかもアピールまでできている会社は、社員やスタッフ達にとって「とても魅力的な会社」として見えるのではないでしょうか。