今週のマネジメント 第528号 店長交代無しでお荷物店がモデル店に変わった一手とは

「昔だったら店長交代。」
「これで解決できていましたから。」
ある社長がおっしゃいました。
自社が抱える動きの鈍いお店。
社長の指示に沿った運営ができず、よく手がかかってしまうため、何かいい手はないものか。
そんなご相談をいただきました。
社長がおっしゃるように昔であれば、店長交代という有効な手がありました。
業績を上げてくれた店長はもっと大きな店舗に昇進。
改善できなかったらその逆。
だからこそ、皆が頑張ってくれていた。
そんな経験をされている社長もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかしどこも人手が貴重な時代の今、それは現実的な手とは言えません。
店長交代に代わる何かしらの手段が必要となっています。
そこでお薦めしているのは
各店の店長が否定サイドのボスを変えられるようにする
です。
まず社長が押さえておくべきポイントは
「お店を変えられる店長が現れたとしたら、実際に何をするのか」
店長がお店を変えたいとした時、最初に目を向けなければならない事。
それは、誰が会社や店長の方針に否定的な人なのか。
それは数日あれば判明することですが、一番ネックとなるのは、ボスが誰なのか。
否定サイドのボスは自分がそうだと名乗ってくれるわけではありません。
自ら否定サイドの先頭に立って要求してくるわけではなく、陰で文句を垂れ流し続けては味方を増やしていこうとします。
そのため「きっとあの人がボスだな」とわかったとして、いざ話し合おうとしてもうまくいくことは少ないでしょう。
なぜなら「私はそんな事を言ってない」と言われるのが目に見えているからです。
ではそういった場合、店長はどうするのか。
ここで考えられるアクションは「排除する」
たとえば何か問題が起きた際、一体誰のせいだ?とつきとめ、規定に則って処分するといった形です。
これも一つの手とも言えますが、実際にそう動く店長は多くありません。
なぜならその理由はシンプルです。
排除してしまったらシフトに穴が開いてしまうから。
もしうまく否定サイドのボスを排除できたとしても、欠けたシフトの穴を誰が埋めることになるのでしょうか。
巨大チェーンといえど、各店舗に潤沢な人数を配置している企業などそうそうありません。
利益を確保していく上で大切なのは適正な経費管理です。
よって、理想はちょうどよく回せる人数です。
多くてもダメですし、少なくてもダメです。
もしかしたら常に多めの人数で、一人くらい排除しても問題ないといった形をとっている企業もあるかもしれません。
そんな企業は、現場の人達は安心して仕事ができるかもしれません。
しかし余裕があるということは、手を抜かれるリスクも高くなるということです。
また、そもそも各店がそういった有り余る人材で店舗を回しているような企業があったとしたら、収益面に疑問が残ります。
では実際にお店を変えられる店長はどうするのか。
それは「否定サイドのボス、その人自身を変える」です。
組織はリーダーが変わると一変するように、店長を変えるとお店もガラリと変わりますし、否定サイドもまたボスが変わると一気に変わってくれます。
実際にお店を実力で変えられる店長達が、そう考えた上で動いているかどうかまではわかりませんが、現実的にあり得るのは
「いくら否定サイドのボスであっても、辞められてしまったらシフトに穴が空いてしまう。」
「それだけは避けたい。」
「どうするべきか。」
と考えて、試行錯誤して動いていたらうまくいった、というケースです。
そう言えますのも、私にもそんな経験があるからです。
つまり社長が、社内の全店でそうしたいのであれば、やるべきは
各店の店長が否定サイドのボスを排除しやすい環境を整えることではなく、
自社のどんな店長であっても、否定サイドのボスを変えられるような仕掛けをつくること
です。
さて、ここまでで疑問が一つ浮上します。
会社として、各店長達が否定サイドのボスを変えられる仕掛けが無かったら、店舗で働く人達はどんな心境なのか。
毎日、否定サイド側からの不平、不満、無茶な要求に対して、各店長達はどう向き合っているのでしょうか。
もしかしたら何とかしたいけど、いまだ有効な手が見つからず、日々頭を抱えているかもしれません。
またそれは店長だけではなく、他の社員やスタッフ達もそうです。
常に楽して稼ぎたい、仕事はテキトーにやっていればいい。そんな考えの人達にとって、不平不満が言いたい放題の店舗とは、どんな職場と言えるでしょうか。
逆に「自分は常に一生懸命。お客様はもちろん、実績を出して会社に認められていきたい」と思って頑張っている人達にとって、どんな職場でしょうか。
人手不足の時代で、そう簡単に店長交代という一手は使えません。
店舗型のビジネスにとって、厳しい時代です。
しかし時代の変化のせいで有効な手が一つも無くなってしまった、というわけではありません。
どうしたら動かないお荷物店を無くし、動く店舗ばかりにできるのか。
はっきり言えるのは、今回述べたような他社がまだ気がついていない、踏み込めていない部分にも焦点を当てられ、アクションを起こせている会社は、今も業績を上げ続けられているという事実です。

