今週のマネジメント 自分の仕事の範囲外だと途端に無関心になる社員
「それは私の仕事の範疇外です」
「その案件は他の部署がやるって言ってましたが?」
など、企業には残念なことに、自分の仕事の範囲外となると途端に無関心になる社員がいます。
「そうじゃないだろう!」
「仕事は自分の範囲かどうか?でやるのではなく、『私がやります!』と自ら率先すべきだ!」
と何度も言い続けてるんですけど・・・・ダメですね
本当はこんな、なすり付け合いが見えたら
「いい加減にしろ」
とガッツリ注意したいところを我慢してまして、結局は
「徹底的に話し合いなさい」
とか、時には私自身も介入して
「この仕事は〇〇部署がやりなさい」
などと割り振りしています。
いちいち手がかかって困ったものですよ
どうしたら誰もが「私がやります!」となってくれるんでしょうか?
そんな経営者に私が質問したのは
「範囲外の仕事をすると、本人が報われるようになっていますか?」
「・・・報われるようにはしていませんよ」
「仕事なんですから、報われなくても文句を言わずにやるべきじゃないですか?」
という反応でした。
企業ごとに反応は様々です。
中には
「何をするにも見返りを欲するような社員は要りませんよ!」
「そんなガメツイ人達ばかりにはしたくない」
と怒りをあらわにする方もいらっしゃいます。
私がそんな社長
( 仕事なんですから、報われなくても文句を言わずにやるべきじゃないですか? とおっしゃった社長)に更に質問したのは
「社長は、社員やスタッフに仕事の成果を求める姿勢についてはどう伝えていますか?」
・リターンが無くてもコツコツ努力を重ねなさい
ですか? それとも
・大きな結果が出せるように、何事にも貪欲にチャレンジを重ねなさい
「それは後者ですね」
「・・・あれ?」
ここで社長は自ら、違和感に気が付かれたご様子
先ほどおっしゃってたことは
「何でも文句を言わずに結果が出ない仕事だとしても率先しなさい」
しかし普段から社員、スタッフに言い続けているのは
「結果を求めなさい」
となっていますが・・・社長はどちらを望んでいるんですか?
社長はその場で
「う~ん」
と、少しお考えになられているご様子でした。
ちなみにどちらのタイプが大きな結果を残すのか?
それは間違いなく後者です。
これは成功を重ねてきた経営者ほどすぐわかることでしょう
そして、そんな人が多い組織ほど躍進していきます。
社長は
「範囲外の仕事をすると、本人が報われるようになる・・・ですか」
「それは・・・要るよなぁ~」
他社を圧倒的に引き離すほどの業績を出し続けられているチェーン企業はこれができています。
しかし、会社として何も手を打っていなければ
社員やスタッフは自分の範囲外の仕事を一生懸命頑張ってもリターンはありません。
そんな会社には残念なことに
「それは私の仕事じゃありません」
という言葉や行為が飛び交い、
自分のエリア外の仕事が目に見えた人は
「この仕事をしてしまうと、ただの時間の無駄になるかもしれない」
「そんなことばかりやってちゃ、ずっと出世できないかも?」
「そうだ、気が付かないフリをし続けよう」
などと考えられることでしょう。
あるいは
「いかに他人に自分にとってうまみの無い仕事をおしつけようか?」
などと、ずるいことを考えたり
そんな先輩を見ている後輩たちは
「そうか、範囲外の仕事はスルーしてもいいんだ」
などと、経営者にとって望まない意識が受け継がれていくことでしょう。
しかし、きちんと本部として手を打てている企業は
自分の範囲外の仕事を一生懸命頑張れば頑張るほどリターンが生まれます。
経営陣の見落としていた未開拓な部分に対しても
「〇〇しておきました」
と勝手に動いてくれるようになり
「あ~ そっち方面全く手を打てていなかった」
「ありがとう。 君のおかげでまた数字が上がっていくよ」
などと、放っておいてもどんどん開拓していってくれます。
こうなれば経営陣にとっては非常に心強い味方です。
いちいち仲裁、介入しなければならないなどの手間もかかりません。
「俺も」「僕も」「私も」と勝手に部署間の垣根を平気で越えてきてくれます。
そしてチェーン企業ですから、働く人の数が多い分、その視点も増えます。
一般的な企業が、どんなに有能な人物を集めたとしても高々数人です。
チェーン企業の「働く人達全員が本気を出した」状態には全く敵いません。
率先した人ほどリターンが発生する環境
はチェーン企業の本領発揮の為のはずせない一手です。
チェーン企業の最大の武器である 働いている人達全員の視点と努力
この絶大なエネルギーを引き出せるかどうか?は
範囲外の仕事を行った際にリターンが得られるような形にできているかどうか?
チェーン本部として開墾できているかどうか? で変わってきます。