今週のマネジメント 人で稼ぐ組織をつくるリーダーが持つべき「意外な視点」とは?
私が起業する前の話ですが
「伊東さん、こんなルールを作ってみたんです。見ていただけますか?」
とある組織のリーダーから依頼されました。
その理由は今まで業績が伸び悩んでいて、その原因はほぼ「人」にあると見て、こうしたら全員の力を引き出せるのではないか?と動いたとのことでした。
私がそれを拝見したのですが、全体的に「面白み」が感じ取れなかったのです。
その原因はどこにあるのか?
当時私も悩みましたが、もしかしたら?と思って聞いてみたところやっとわかったのですがその方が「リーダーとして、よろしくない行動」をされていたのです。
その行動は何か?と言いますと、それは「組織の方針を複数人で0から生み出そうとしていたこと」です。
「こうしたいけど、どんなルールにしようか?」
「そうか、その点も配慮しないといけないね」
「その考えもアリだな~」
など。
これをやってしまいますと組織に最も重要なリーダー色が無くなってしまいます。
その代わりに誰もが納得しやすく、かつ誰からも反対意見が出ない無難な組織ができあがりますが、それは逆に言えば無味無臭の味気ない組織です。
一見「民主主義的でみんな想いの良いリーダー」と捉えられるかもしれませんが、このような組織は成長していけません。そして協力してくれたメンバーにリターンを与えたくも十分な額を示すこともできません。
では、人の力で成長していく組織をつくらんとするリーダーはどうするべきか?といいますと、組織に自らのリーダー色、リーダー臭を色濃く反映することです。
よって、あらゆる方針を誰かと一緒に生み出すことは最も避けるべき行為なのです。
自ら創り上げた方針を従業員にどう伝えるか? 伝達しやすくする為に他者の力を借りることはあっても、方針自体を0から生み出すのは全てリーダーであるべきです。
一見「独裁的で暴走気味のいけ好かないリーダー」と捉えられるかもしれませんが、このような組織こそ誰もが和気あいあいと団結し、大きな成長を遂げ、全メンバーに破格のリターンをあげられます。
「この人になら、私はどこまでもついていきたい」
そんな芯があるからこそ、誰もが「もっとやれるんじゃないか?」「自分は認められたい」と自己研鑽を欠かさず、その積み重ねが組織として大きな結果を生み出すことにつながっていくのです。
たまに世間には、ある作品や芸術をお披露目する前に制作秘話として「我々は力を合わせて何度も議論し、寝る間も惜しんで作ったんです」と堂々と公開するケースを見かけます。
これはリーダー色が薄くなってしまう典型です。
優れたリーダーがこれを見ると、その作品や芸術は結果を見るまでも無く
「あぁやってしまってるよ、この組織は・・・」
と駄作の予感を感じ取ります。
中には「見るまでも無い」と席を立つ方も。
世を驚かせる作品や芸術に共通する点はどれも「誰か一人の発案」から生まれているという共通点があります。
このコラムをご覧の貴方に質問です。
貴方のこれまでの人生において一番好きな作品は何ですか?
そしてその作品に対する貴方の憧れ、尊敬の念はどこに向けられていますか?
・企業や団体、組織ですか?
・それとも、ある一個人ですか?
困ったことに世間には、成長する組織を創らんとするリーダーを惑わす意見がはびこっています。
その一つに挙げられるのは
「その道のプロ達が力を合わせて、何かの作品を創り上げたら素晴らしいものができるのではないか?」
この考え方は、組織として大きな結果を出したことが無い人だと、こう捉えてしまいがちです。
「発案もみんなで協力しよう」
作品をヒットさせたいと思っているのであれば、制作過程において全員の力を借りる事はあっても、発案は絶対にリーダー個人であるべきなのです。
世に出回る様々な考え方に、自らも経験していて「確かにその通りだ」と賛同できるならば信じていいと思いますが、未経験、未体験の物をそのまま鵜呑みにしてしまいますと、とんでもないしっぺ返しを食らいます。
そして後になってから「誰だこんなデマを吹いたのは!」と怒ったとしても、誰も責任を取ってくれるわけでもありません。
また、かつてないヒットを生み出す作品や芸術品は、人から賛同ばかり得られているものは存在しません。賛否両論があって当たり前です。むしろ「否」の方が多い作品ほどヒットします。
その点、組織のマネジメントも同じです。
組織を成長させたいのであれば、方針はリーダー個人で生み出すべきです。
誰からも「いい組織だね」と好かれるようにしなきゃ!とばかり考えていては、まずうまくいきません。たとえ何人かに否定されようが気にする必要はないのです。
大きな結果が返せれば否定していた人達もひっくるめて、全員が大満足してくれるからです。
貴方は自らがリーダーとして率いる組織において、自分の色、自分の臭いを色濃く残そうと努力していますか?