今週のマネジメント 「この人にずっとついて行きたい」たった1手で戦友が増えていく社長は、普段何をしているのか?
彼の一手は、億単位の結果が出る。
そんな桁外れな人のエピソードです。
そんな彼は現状に満足しておらず、意外にも自身の将来に不安を感じていました。
そしていつまでも自分では解決できずにいた為、ある社長を訪ねてみることにしました。
しかし彼の本心は「何とかしてくれるのでは?」と期待していたどころか「もしかしたら何ともならないのでは?・・・でも一応」そんな「ダメもと」だったのです。
その結果どうなったのか?
社長は「彼が何に引っかかっていたのか?」「どうすればいいのか?」瞬時に見抜き、的確なアドバイスを授けました。
彼にかかっていたモヤモヤは一気に晴れ、その後は前以上に大きな結果を出し続けられるようになったのです。
そんな彼に私、伊東がある日出会いました。
私はその時、彼に対して感じていた疑問をストレートに聞いてみました。
「あなたのようにバンバン稼げている人が、なぜ今この場にいるんですか?」
「あなたは自分の仕事に集中してた方が、良い成果が出せるのではないですか?」
彼はこう言いました。
私が稼げるように変えてくれたのは、あの社長なんです。
私の力が社長のお役に立てればそれでいいんです。
このエピソードについて、参考になる点はいくつかありますが、会社経営者が興味をそそられるポイントを挙げるとすれば、それは
社長は、彼に初めて会ったのに、たった1アクションで彼を魅了している
ではないでしょうか。
時間にしてそれは、ほんの数分です。
会社の社長が「我社の業績をもっと上げていきたい」
そう考えているのであれば、社長と共に困難までも逃げずに一緒に戦ってくれる「戦友」が多いに越したことはありません。
特にチェーンビジネスでは働く人が多くなる為、社長が「戦友は多いほどいい」とお考えなのであれば、それが実現できた時の会社の成長スピードは爆速です。他社を大きく引き離して躍進していく事ができます。
しかし問題は「私はこの社長にどこまでもついていきたいんです!」となってくれる戦友を増やしていく事は簡単ではないという点です。
どうやって社長の戦友を増やしていくのか?
その為にまずは、お互いの本心を理解しあうことが不可欠なのですが、このファーストアクション自体がいきなり困難です。
例えば、同じ組織内の働いている人同士がお互いに
「えっ、この人、こんな考えを持ってたの?」
「今まで誤解していた・・・」
「まさか、こんなに素晴らしい人だったとは!」
など、本音で伝わりあえることはなかなかありません。
そうなってくれるのは様々な条件やタイミングがうまく重なった時だけです。
その条件は個々人で違いますし、年齢差が大きかったり、性別、国籍が異なっていると更に難しくなってきます。
そしてチェーンビジネスは更にその壁を厚くします。
なにせ働いている勤務地がお互いに離れていますし、働いている曜日も違えば、勤務時間も違います。
よって、組織のリーダーが
「どうしたらAさんとBさんは本音で分かり合えるようになり、協力して大きな結果を出してくれるようになるのか?」
その答えを都度都度探ろうとしていたら、とてつもない時間がかかってしまうことでしょう。
ここでこんな案を出す方もいるのではないでしょうか。
「働いている人同士が緊密になるような手を、組織として何度もうっていれば、いつかわかりあってくれるんじゃないの?」
しかし、その案にピンとくる「経営者」は少ないでしょう。
その理由は、経営の基本は「いかにコストをかけず、最大の効果を素早く、長く得られるか?」だからです。
事あるごとに「コストをかけよう」「時間をかけよう」とか「ワイワイ、キャッキャの場を何度も設けていればいつかは・・・」などは、基本とは逆の行為です。
そういった行為を繰り返して会社の業績を上げていけるか?は疑問です。
そして忘れてはならないのは、働く人達がお互いの本心を理解し合える環境づくりに手間取っていると、ただ結果がいつまでも出せなくなる・・・だけでは済まないという点です。
どうなっていくのか・・・?
それはあえて表現はしません。
・分かり合えない人同士が、同じ職場にいる
・その状態が長く続いている
・この先、組織改編の予感もない
そんな組織の一員が、組織自体にどういう想いを抱き始めるのか?
その想いは時間が経てば経つほどどうなっていくのか?
組織のリーダーとして、メンバーの幸せの為に日々奮闘されている方であれば、それを表現せずとも彼らの気持ちはすぐにわかることでしょう。
社長として
・働いている人同士がお互いの本心を理解しあえる方法
・社長の戦友がドンドン生まれてくる方法
それらを他社よりも早く見つけられるに越したことはありません。
ところがそんな中、冒頭の社長ように「たった一手で人を魅了させてしまう」
そんな化け物(良い意味で)が稀にいらっしゃいます。
他の社長と何が違うのか?
私が1つ挙げるとすれば、それは 社長自身の仕事の中に「自分で創ったルールを実装する」がある です。
「人に創らせる」ではありません。
「社長自ら創る」です。
「社長自らが創ったルール」を実装する。
これを別の言い回しに変えると「社長から社員やスタッフへのプレゼン」です。
それは社長が内に秘めている
「社員やスタッフ達はきっとこんな人達だろう」
「だから、こんなルールがあればもっと本気を出してくれるのでは?」
をオープンにするということです。
プレゼンがうまくいけば
「そうなんです社長! 我々はそういうのが欲しかったんです」
「さすが社長だ」
「こんな凄い事やってるのは、うち会社だけじゃないの?」
そんな歓喜の声が実際に上がってくる事はありませんが、その幸福感は彼らの仕事の成果に表れていきます。
ちなみにそんなプレゼンは一部の人達だけが喜んで、その他の人達がへそを曲げてしまうような陳腐な内容ではありません。社員やスタッフ一人残らず、全員のハートを鷲掴みにします。
一見、そんなに難しいことではないように見えます。
中には
「なんだそんな事か」
「プレゼンなんて余裕」
「これまでプレゼンは何度もやってきてるし」
と、軽く見てしまう方もいるかもしれません。
しかし、これは通常のプレゼンとは全然違います。
普通プレゼンといえば、メンバーからリーダーに向けて行うことが多いです。
よって、プレゼンの主旨が違ってることが判明すると
「待った! ストップ」
「それはどういうこと?」
とすぐにダメ出しがかかり、軌道修正できます。
しかし化け物社長が普段から行っているのはその逆なのです。
いわば社長から従業員に向けてのプレゼンです。
これの恐いところは主旨がズレていた時です。
社長から従業員へ新たな社内ルールを実装すると動いた場合、もしもその内容がズレていたら、果たして
「ちょっと待ってください社長」
「それはどういうことですか?」
などとハッキリ口に出して言ってくれる人はいるのでしょうか?・・・
社長のプレゼン自体にズレがありますと、組織にひずみが生じます。
そのひずみの音は組織のトップの耳にはなかなか届きません。
もし運よく気が付けたとしても
「ごめんごめん、このルールは失敗だったね」
「みんな~、このルールは忘れてくれ!」
などと簡単にリセットできるものでもありません。
その恐ろしさに気が付いている社長は「さて、自ら創った社内ルールを実装しようか」など簡単に動けません。
あまりの恐ろしさに、多くの社長は安全な2つの方法を選んでしまいます。
・大手や有名企業、注目企業など、他社のルールを参考にする
・「君に任せたぞ」と他人に投げる
ハッキリ言いますが、これらの行為で良い結果などまず得られません。
なぜなら「その人独特の強み」が生かされていないからです。
「社長自身の、その人独特の強み」はマネジメントにおいて超重要です。
「その人独特の強み」がどれほど超重要なのか?
「その人独特の強み」が無い人とどう違うのか?
例えば、社員採用時の面接を思い出してみてください。
「我が社の志望動機は?」
「入社して何がしたいですか?」
そんな質問に「どこかで聞いたようなことをつらつら言ってくるような人」がいます。
さて、あなたが面接官だったら、その人に魅力を感じますか?
たった1手で社長の戦友が増えていく。
そんな方は、普段行っている仕事の中に
・もしかしたら自分の立場が危うくなるかもしれない。
・もしかしたら会社組織が崩壊してしまうかもしれない。
そんな全身全霊をかけなければならない仕事がいくつか存在しています。
一歩間違えたら闇。
そんなリスク満々のマネジメントを日々こなしている社長であれば
社員とはどういう人達なのか?
スタッフとはどういう人達のなのか?
自分は社長という立場でありながら、立場の違う人達である彼らをよくわかっていきます。
それが何度も、そして長い間繰り返されていきますと「初めて会った人でも、たった数分で戦友になってくれた」など簡単なことなのです。
まるで戦乱の世の将軍です。
ボロボロでもうすぐ死んでしまうという部下の窮地に、将軍である社長が颯爽と現れ、敵を一掃。そしてかける言葉は「早く立て、俺にはお前が必要なんだ」
「私には共に死地を歩んでくれて、安心して背中を預けられる戦友が何人も必要だ」
社長にそんな考えがあるとしたら、今行っている自分の仕事の中に
「自分で創ったルールを実装する」
は存在しているでしょうか?
よく見ると、オリジナルではなく他社の真似になっていたり、自分ではなく人に創らせたり。そんな形になってませんか?