今週のマネジメント 第518号 優秀な社員が口にした「自社に居たい理由」とは?

「これも彼のアイディアがきっかけです」
会社に新しい稼ぎ頭となる部門が誕生した経緯を、ある社長が嬉しそうにおっしゃいました。
たまに「この人のおかげで会社は様変わりした」と言われるような結果を出す「他の人達よりも、飛び抜けてできる人」が現れます。
これから会社をどんどん成長させていきたいと考えている社長にとって、頼もしい仲間と言えるのではないでしょうか。
どうしたらそんな人が自社で働いてくれるのか?
残念ながらよく聞く言葉は
「◯◯さんという凄い方がいましたけど、辞めてしまいました」
ここで
「そもそもできる人なんだから、今の会社にいつまでも在籍する方が稀ではないか」
「いなくなってしまうのは仕方がないことでは?」
と言われるところでしょうか。
しかし私は必ずしもそうは言い切れないと思っています。
なぜなら、そんな人がずっと会社にいて活躍し続けてくれるケースを何度も見てきているからです。
なぜ飛び抜けてできる人なのに、ずっと会社に身をおいてくれるのか。
その理由は意外なことに、会社の規模や待遇の良し悪しはさほど重要ではありません。
理由は人それぞれ異なりますが、いくつかの共通点がありますので今回のコラムではそれを2点ご紹介します。
1. 「社内に在籍している人達の中から、飛び抜けてできる人が見つかる工夫が会社に確立されている」
ある方がおっしゃいました。
「いやいや、飛び抜けてできる人が社内にいたらすぐわかるのでは?」
「だって、目立った結果を出してくれるはずですから」
「社長も『お? この人は凄いぞ』と気がつくでしょう」
しかし実際にそうなるケースは少ないです。
その理由は、大きな結果を出すということは、本来会社が社員やスタッフ達に欲しているアクションと違うことをする必要があるからです。
問題なのはそこです。
もし貴方がある組織のリーダーだとしたらいかがでしょうか。
メンバーの中に、時間さえあれば組織の思惑そっちのけの行為をしている人がいる、ということです。
そんな人は、貴方の目にどう映るでしょうか。
一方、他の人達より飛び抜けてできる人、本人としてはいかがでしょうか。
「あいつは自分だけが評価されたいのではないか」と見られてもお構い無しに、黙々と自分のやりたい事に集中することができるでしょうか。
私が提案しているのは
「他の人達よりも、飛び抜けてできる人が『自分の能力を知ってもらいたいけど、迷惑はかけたくない』と自粛していたとしても、会社として『あなたこそ会社が求めている人なのです』と、上手に見つけてあげられる工夫をしておくこと」
です。
これは逆に言えば、会社としてそんな工夫が存在していないということはつまり、
・他の人達よりも飛び抜けてできる人がもし社内に存在していたとしても、自分の真の力を発揮すること無く、日々悶々と仕事をしている
・会社としても逸材をうまく結果に結びつけられず、宝の持ち腐れ状態
ということになります。
これでは両者、どちらにとっても不幸なことです。
2. 他の人達よりも飛び抜けてできる人が本気を発揮しても、目立てるステージが存在している
ステージが無い=力を発揮できない
つまり、その人がどこまでできる人なのかさえも測れないということです。
通常の仕事の範疇だけではせいぜい「なかなかできる人だな」くらいです。
大きな結果を出してもらったり、「お!この人は凄いぞ」と気がつけることは困難です。
この状態では、誰がどこまで凄いのか、社内に知れ渡ることはありませんし、社長も気がつくことができません。
重要なのは会社として以上の2点を抑えておくことなのです。
ある会社の飲み会で、他の人よりもできる社員Aさんにこんな質問がありました。
「Aさん、貴方はどこにいってもやっていけるんじゃないの?」
「なぜこの会社でずっと頑張ってくれているの?」
「それは、社長が私のことをわかってくれたからです」
「35年生きてきて、自分がどうしたいのか? 振り返ってみたら、それを口に出して言える場はこれまで1回もありませんでした」
「その場をいただけた事も嬉しかったんですが、当時の私はそんな貴重な場なのに自分の想いをうまく言葉にできなかったんです」
「だけど社長は見抜いてくれたんです」
「私は私のやり方でやっていっていいんだって思えたら、・・・すごく嬉しかったですね」
御社はいかがですか?
飛び抜けてできる人が見つけられ、活躍してくれる形ができていますか。

