今週のマネジメント 「絶対この店以外ではバイトしたくない」と言われる強み、ありますか?
「これは教育に時間をかけなくても、即戦力を得られるアイディアです」
「伊東さん、いかがですか? 気を付ける点はありませんか?」
チェーン事業を展開するM社の社長がおっしゃいました。
M社では
「〇〇店で働きたいんですが、今求人はありますか?」
「次のアルバイトの募集はいつごろでしょうか?」
「週2、いや1日でも構いません、対応可能です」
「私は少し遠い□□店にも通えます」
とアルバイトを熱望される方がいらっしゃいます。
社長はそんなありがたい人達をご満足させたく「何か良い手は無いものか?」と生み出されたようです。
そんなM社の状況を耳にした、ある方はこうおっしゃいました。
「そのチェーンはきっと人気のある業種なんでしょう?」
「それか、働ける職場が周りにほとんど無いとか。地域性に恵まれているからでは?」
M社の業種や地域性にはアドバンテージはありません。
なぜなら業種は全国に万を超すほどのライバルがひしめいているサービス業ですし、展開している地域はといいますと、人口はほぼミリオン。東証プライム企業も存在する競争が激しい都市です。
そんなM社と同じ業種、同じ地域で展開している他チェーンはどんな状況か?と言いますと
「いくら時給を上げても電話の一本もかかってこない」
「ワンランク上の高い求人広告を出したのに、無しのつぶて」
「あらゆるSNSを駆使して採用情報を発信している」
「更新はこの数年間ずっと欠かしていない・・・しかし反応が無い」
どうやったら現場の人手不足を解消できるか?と試行錯誤されています。
なぜ同じ業種なのに、M社だけが働きたい人待ち状態なのか?
その違いはターゲットの捉え方です。
「アルバイトしたいと探されている人達はきっとこんなことや、こんなものを求めてるに違いない」
想定が明確であり、それが彼らの本音と酷似しているから。
「そうそうそう、それそれ、それなんですよ!」
「私達はまさにそんな職場で働きたいって求めてたんです」
「この会社だけはよくわかってるんだよなぁ~」
「他の企業とは違うよね」
などと受け止められています。
ちょうどコロナによるあらゆる規制が緩和されてきた今は優秀な人材を確保できる大きなチャンスです。
人と接することがよろしくない事とされていた世の中のベクトルが大きく変わりました。
元々、接客が好きな方々にとってM社はまさに渡りに船です。
多店舗事業を展開されているあらゆる企業にとっては大きな前進が期待できる、数年、数十年ぶりにしかやってこない大採用時代といえるでしょう。
働きたい人待ち状態は、何もM社のように、一握りの企業にしかできない特別な事ではありません。どんな企業であってもその状態にすることは可能です。
何故ならどの企業もお客様に対してはすでに実現できているから。
日々の売上が上げられているということは、お客様が
「これこれ、これが欲しかったんだよ」
あるいは
「こんなサービスを待ってたんだ」
など上手に提供ができているという証です。
その ターゲットをお客様から、ただ従業員に置き換えただけ のこと
ところがこのただターゲットの変更に悪戦苦闘する企業は多いです。
その理由はひとつ。
他社の真似をすることが日常と化してるから。
真似をしていると「置き換える」など汎用ができなくなるのです。
「人の真似? 私はそんなことはしてませんよ」とおっしゃる方は多いです。
しかし「それは無い無い」と口では言ってても、実はマネするという行為が知らない間に体に染みついてしまっていて「無意識のうちにマネしちゃってた」という方はかなり多いのです。
そんな「誰かの考え、行動をそのまま真似たであろう事例」が最近もありました。
その人はこうおっしゃったのです。
「マスコミはいつまでこんな報道ばかりしてるんだ!」
最近マスコミ各社が報道している山口県北部の阿武町(あぶちょう)の4630万円の誤送金のニュースについてのご感想です。
急にある日、自分の口座に多額のお金が入っていた事件となれば、人は興味をそそられるもので「誤送金する行政自体がおかしいぞ!」とか「なんですぐ返さないの?ありえない」などとあれこれと意見を述べたくなるような事件です。
その方は更にこうおっしゃいました。
「ワイドショーでは誰かが浮気したとか離婚した、不倫したとか取り上げられていますけど、そんなニュースばかり報じてるからマスコミはダメなんですよ!」
私はその人にこう質問してみました。
「〇〇さんはどうしてマスコミはゴシップネタが多いとお考えなんですか?」
するとこうお応えになりました。
「・・・それは・・・マスコミの上層部がバカだからですよ、彼らはよくわかってない」
「ゴシップネタにもうウンザリ!って人もたくさんいるんですよ? そんなことにも気が付かないんですから」
後日「私もゴシップネタは見ない」とおっしゃるM社長にも同じ質問をしてみました。
「そりゃ伊東さん、数字が稼げるからに決まってるからじゃないですか」
視聴者は「誰かが不倫したとかどうでもいいじゃないか! 放っておきなさいよ」と口では言いつつも、本音は「ふんふん、それでどうなったの!?」と興味津々だということをわかってるんでしょう。
だから誰かが失敗したとか、暴力事件を起こした。とんでもない失言をした。浮気、離婚、不倫ネタなどが毎日毎日取り上げられているんでしょう。
「私は本当に興味ないですけどね」
「ただ、ニュース自体は報道して欲しいですよ」
「〇〇が■■になりました。など結果だけ教えてほしい」
「4000万円ですか? 現金を受け取った人の人柄とか普段からの素行、交友関係、どんな学校を出たとか、彼を知ってる人はこう言ってます・・・なんて別に深堀りしなくていい、ただただ何があったのか? 結果だけ知れればそれでいいんですけどね」
商売は「どんな人に何を売るのか?」が重要です。
儲かっていない商売人はターゲットがどんな考えをで、どんな行動をしているのか?
良く知ろうとはせず、他社や誰かが行っている行為や意見を知らず知らずのうちに真似してしまっていて経営、マネジメント、販売行為自体を汎用的に変化させることができません。
一方 儲かっている商売人は他社の行為や意見など目もくれません。
そんな時間があるのならとターゲットをもっと良く知ろうと動きます。
徹底的に分析がなされている為
「あれ? なんで私の欲しいものがわかったの?」
「一言も欲しいなんて言ったことないのに、よくわかりましたね」
など、本人以上にターゲットの事を知っているのです。