今週のマネジメント 「配膳やレジさえもお客様にやってもらおう」とはなったが「利益UPはスタッフにやってもらおう」といつまでもならないから勝ち続けられる
伊東さん、「皆がやってるからウチも」という会社、結構多くないですか?
企業は他社に無い強みがあるほど成長しやすいという法則を体現し、現在進行形で肌で感じられているS社長がおっしゃいました。
その理由は、数十年前には
「セルフサービスを取り入れる会社はどうかしてる」
「お客様に仕事をさせようとは・・・考えられん!」
とおっしゃっていたある社長の店舗にセルフレジが導入されていたからとのこと。
「どの企業もやっていない、誰もやっていないことをしよう」と口にすることは簡単ですが、実際に行動に移すのはとても勇気がいる事です。何せ周りには成功事例が無いからで、さんざん苦労したのに労力と時間とお金がムダになってしまったということがあり得るからです。いくら会社のトップと言えども「皆やってるからウチも」となってしまう企業も多い事でしょう。
ここで疑問が生まれます。
他社がついてこれない世界で独り勝ちを続けられている企業はなぜ「皆がやってるからウチも」とならず、誰も踏み入れていない事に勇猛果敢にチャレンジし、モノにできているのか?
私の今までの経験上、この答えには2つのタイプがいらっしゃいます。
まずあげられるのは、ほぼ無意識に行動されている方。
職業柄そんな方々とは稀にお会いするのですが、こういう人達は規格外です。文字で表現しようとしてもぶっ飛びすぎているので「そんな人いるわけないでしょ」と捉えられてしまいやすく、うまくお伝えできないところがもどかしいところです。
衝撃的だったのはうまくいったら「よしよし思惑通り」と受け止め、ダメだとわかったらすぐ「ハイ次!」と1ミリも落ち込むことなく立ち向かっていこうとするシーンを目の当たりにした時でした。
このような行動は成功者達がインタビューなどで「自分はこうしてます」とよくおっしゃっていますので、私もそんな記事を目にする度に「へぇ~」くらいの受け止めでしたが、いざ目の前で実施されると・・・開いた口が塞がらない状態でした。
そして多いのはもう一つのタイプ。それは慎重派です。「危ない橋は2~3人が渡っている様子を見てから、さて自分も」というタイプです。
ここで「それは普通の人ではないですか?」と問われることがありますが、全くおっしゃる通りです。だからといいますか私、伊東のクセなんですが「なぜあなたは危ない橋を渡ろうと思えて、成功を掴めたんですか?」と質問してしまうところです。
これがすごく面白いもので「何事にもチャレンジが大事なんだ」とそこらへんに出回っているような決まり文句をおっしゃる方は一人もいらっしゃいません。十人十色でそれぞれにドラマがあり、その人の人間性が強くにじみ出てくるところです。
そして印象に残っている方の一人に、冒頭で質問を受けたS社長です。
社長はこうおっしゃいました。
伊東さん、「あちら立てればこちらが立たぬ」ということわざがあるじゃないですか? その場面に出くわした時、私はこう考えているんです」
「ウソつけ!・・・と」
最近のニュースに最低賃金の着地点はいくらになるか? 各社が報道しています。
政府としては「目標時給1,000円」と掲げている一方、全労連や全労協は1,500円へと引き揚げを求めて厚生労働省前に集まったようです。
会社経営者はこの事態をどう見ていることでしょう?
「時給は上げたやりたい。しかし会社の収益が下がっちゃうと意味が無い」
とお悩みの方もいらっしゃるかもしれませんし
「この際時給UPを決めちゃおう、会社の収益は下がっちゃうがここはガマンだ」
と決意を秘めた方もいらっしゃるかもしれません。
今は経営者にとって「あちら立てればこちらが立たぬ」という葛藤が増える時期とも言えるでしょう。
そんな「あちら立てればこちらが立たぬ」を見事に覆し、今や常識となっているうどん店のセルフサービススタイルを46年も前に岡山県で考案された社長がいらっしゃいます。
社長は「なんとしても、うどん1杯 100円を実現したい」と考え抜いた末に思いついたそうです。
注目すべきは僅か5年で50店舗ほどの同業者が真似をしてセルフうどん店を始めたという点。人件費や材料費を削らなくても、うどんを安く売れる方法はそれだったのか!と各社がどうしても導き出せなかった究極の両立案を目の前で形にされたので、すかさず食いついた結果でしょう。
社長の「何としてでも実現したい」という気迫がうかがえるのは、湯通しを客が行うことに対して保健所が難色を示した際、「客が肉を焼く焼肉と同じだ」として認めさせたところです。
大手のセルフうどんチェーンといえば丸亀製麺、はなまるうどんが挙げられますが、どちらも創業は2,000年ですから、その26年も前に実現していたとは凄い方です。
組織をマネジメント面で見つめた時、規模が大きくなってくると必ずこういう従業員が現れます。
「社長、私は〇〇〇〇・・・・だと思います」
「〇〇さんがそう言ってましたから」
「・・・・だそうですよ」
「・・・・らしいです。皆そう言ってます」
このような言葉を会社の経営者が「そうか、わかった」と鵜呑みにしてしまいますと、どんな結末が待っているのか? 経営歴が長い経営者ほどその危険性はよくご存じの事でしょう。
そんな場面では、会社の収益を順調に上げていってる社長は必ずこうおっしゃいます。
「その根拠は?」
「数字を見せなさい」
「〇〇さんを連れてきなさい」
「誰が言ってた? 名前は?」
「皆とは?」
そして更に圧倒的な収益を上げられている企業の社長はこう言います。
「あちら立てればこちらが立たぬ? 本当か?」
「誰がそう言った?」
「言った人を連れてきなさい」
「それ自体がウソじゃないのか?」
やがて会社の数字を大きく上げてみてからこうおっしゃるのです
「ホレ見ろ 両立案はあったじゃないか!」