今週のマネジメント ダントツの利益を出している企業はどこにエネルギーをかけているか?
「他社よりもダントツの利益を出し続けたい」
と願う経営者に私が
「どんな経営をされているんですか?」
と聞いた時
・いかに他社よりも良いサービス、システムを導入できるか?
・そしていかに早く結果を出すか?
とお応えになる方がたまにいらっしゃいます。
先日も
「他社を差し置いてセルフレジが現場で稼働するようになりました」
「その結果、現場からは『お客様の評判が良く、我々も仕事が捗ります』と言われてる」
「当社はこのように、何事も正確に、素早く手を打ってきているんです」
などです。
さて、この企業のように
正確性とスピードに企業のエネルギーを注ぎ続けてダントツの利益を出すことはできるのか?
答えはNOです。
理由はそもそも「導入している」から
「導入」は、すでに世の中にある物、既存の物です。
よって、いずれは他社も導入して追いつかれてしまいます。
他社よりも利益を上げられるのは、せいぜい
・他社が躊躇している間と
・それまでの認知度「あの会社には〇〇があるよね」の差
ダントツの利益を上げ続けることは困難です。
そして、既存のサービス、システムをいち早く導入していますと
残念なことに「提供側からは実験台として利用されている」というケースが多いです。
当然失敗も多いです。
そして、どちらかというと
いち早くサービス、システムを導入してくれる企業よりも
まずは様子見をしようという慎重な企業の方が儲かっているものです。
「じゃあ伊東さん」
「ダントツの利益を出し続けられる企業はどうしているんですか?」
「それは、世の中に存在しないサービスやシステムを創出している企業です」
「既存のサービスやシステムをいかに正確に、いかに素早く・・・ではなく、いかに独自性があるサービスやシステムを自ら創り上げられるのか?」
「そこにエネルギーを割いています。」
かつてこんな人がいました。
O社のTさんという発注担当者の女性です。
ある日その企業の幹部が
「そういえば〇〇店のTさんの発注はいつもいい数字を出しているなあ」
と気が付いて分析してみたところ
彼女は誰よりも、どの企業よりも、年中ダントツの利益を生み出していたことに気が付いたんです。
「一体どんな発注をしているのか?」
気になって本人に聞いてみたところ、こうおっしゃいました。
「私はどうしても広く出回っている発注方法だといい数字が出せなかったんです。」
「どうしたらいい数字が出せるのか?」
「長年、試行錯誤して、この発注方法を編み出したんです。」
と彼女が見せてくれたノートには
とても少ない労力で、商圏の動向をほぼ正確に把握できる仕組みでした。
「これはすごいですね!」
「なんでこんな事ができたんですか?」
と聞いてみたところ
「ご覧の通り私は足が悪く、人並みの仕事ができないんです。」
「だから自分が、会社に必要とされ続けるには他の人よりも秀でた能力を得なければならない・・・」
「と常に考えていましたので必死でしたから・・・」
既存のサービスやシステムは簡単に真似をされます。
その理由は
・外側にあって他社から丸見えのところにあったり
・社員が退職する度に情報が流出してしまう
からです。
しかし、誰かが独自に編み出した新規のサービスやシステムは簡単に真似ができません。
その理由は
・内側にあって他社がどこから覗いても全貌が見えませんし
・たとえ社員が退職して
「あの企業はこんな事してますよ」
と言いふらされても
「真似したけど、数字が上がらないじゃないか?」
「あれ? おかしいな」
などうまくいきません。
肝心な部分はクリエイトした本人にしかわからない為です。
なかなか流出することはありません。
ダントツの利益を出している企業はエネルギーのかけるところが違います
・既存のシステムやサービスをいかに正確に見極め、いかに素早く取り入れるか?
もしくは
・既存のシステムやサービスよりも、いかにサービスやシステムを創造できるか?
エネルギーをどこにかけるのか? によってチェーン事業の利益は大きく変化します。