今週のマネジメント 第489号 結果を出せないけど頑張っている社員やスタッフを守るには

「『また社長は、こんなところにお金をかけちゃって』と言われるのは承知の上です」
ある社長がおっしゃいました。
見てほしいと言われたのは、塀いっぱいに書かれた絵。
お店のコンセプトとなる時代を象徴した人々の生活のワンシーンでした。
店舗型のビジネスにおいて、人の力で業績を上げていきたいとした時、マネジメント面において重要なことは何か。
それは
社長の目指す方向に沿っているか
私がよく目に、耳にするマネジメントがあります。
それは「実力主義」
経営者としてのねらいは、結果を出していける人を増やしていきたい。
そんな想いが感じられる評価方法です。
その具体的な方法は各社それぞれだとは思いますが、正直私は疑問を感じることがあります。
その理由は
「陰で頑張っている人はどうするのか?」
例えばサッカーでシンプルな実力主義を採用したら、
・1試合で3点もゴールを決められる人
は評価されますが、
・点は取ってないけど、努力を重ねてきて監督の見ていない所から絶妙なパス回しができるようになった人
は評価されません。
人にはそれぞれ得手不得手があります。
・先頭を切って数字を挙げられる人
がいれば
・誰もがさじを投げてしまうほど、これでもかと技術に磨きをかけ続けられる人
も。
また
・お客様へのおもてなしでは右に出る人がいない人
・仲間達への気遣いができる優しい人
・清掃のプロ
・在庫管理の達人
なども。
結果を出していける組織とは、そんなパス回しがうまい人達も含めた総合力です。
最後にゴールを決められる人だけで成立しているわけではありません。
では私のオススメする評価方法は何かと言いますと、それが
社長の方針に沿っているか
これは数値結果を出した人だけが評価されることはありません。
・バンバン声掛け、おすすめ販売してくれる人はもちろん
・販売は不得意だけど、方針に沿った売り場づくりが得意な人も
・口下手だけど、皆がスムーズに使える在庫管理がうまい人も
・誰もがスルーしてしまう汚れやニオイのもとまで取り除いてくれる清掃のプロも
・デザインが得意で、社長の想いを淀み無くお客様へお伝えできるスキルを持った方も
バランスよく評価することができ、組織一丸となって総合力を発揮できるようになります。
世の中には多くの会社が採用しているメジャーな評価方法があります。
しかし、多くの会社が使っているから自社で採用したらうまくいくとは言えません、。
特に店舗型のビジネスのように、社員やスタッフ同士の距離が離れていたり、働く時間帯が違っていると尚更です。
リーダーの目に見えている人だけ評価され、見えないところで頑張っていた人達が不満を抱いてしまうことはあり得ます。
私は他社が行っていることを自社に取り入れるな、とは言いませんが、もし参考にしたいのであれば
・本当に効果があるのか
・メリットはもちろん、どんなデメリットがあるのか
・店舗型のビジネスというお互いが離れてしまっている環境でも問題なく機能するのか
採用する前に、そういった問題点に目をやり、回避策、解決策をを考えておかなければなりません。
