今週のマネジメント 第490号 手足を動かしているのに業績を伸ばせている社長の秘密

社長がお客様に利用するようにご案内したのは、なぜかライバル店。

 

つい「え?」となる出来事。

しかし、お客様からはとても感謝されたのです。

 

お客様は若い女性。

重そうな荷物を抱えてわざわざお店に来てくれたものの、配送用の伝票を切らしてしまっていました。

 

スタッフは今、荷物を送ることができない事を説明し謝罪。

しかし、それだけ。

 

その様子をたまたま店舗に来ていた社長が見ていた為、お客様をがっかりさせてはならないと、すかさず横から私が社長ですと名乗り、お客様に謝罪。

重い荷物を持って、よかったら向こうのお店まで運びますよと笑顔で対応したのでした。

 

 

世の中にはこんな風潮があります。

 「リーダーは動いてはならない」

 

しかし、これは本当なのでしょうか。

 

私の意見はと言いますと

 「リーダーは自分のやりたいことをやるべき」

 

なぜなら、人は自分の好きな事に打ち込んだ方が良い結果を出せていけるからです。

 

ですから、社長自身が「私は動いていたい」とお考えなのであればそうした方がいいですし、「いや、私は動かない方がいい」とお考えなのであればそうするべきだと思います。

 

弊社のコンサルティングもそうですが、社長に対して「ああした方が、こうした方がいいですよ」などの指導は行っていません。

 

社長自身にどのようなお考え、想いがあるのか? 今後どうしていきたいのか?

それを柱として、仕組みづくりのお手伝いを進めています。

 

社長の考えは人それぞれだからです。

私は社長がどのようなお考えであっても、基本的に賛同しコンサルティングをしています。

 

 

では、店舗型のビジネスにおいて、社長自身が「私は動いていたい」とお考えなのであれば、どういった点に気をつけたらいいのか?

 

今回のコラムで1つご紹介しますと

それは「ここぞという時だけ動く」

 

戦国の時代で言えば、武将自らがうって出る場面です。

普段は親衛隊に守られ安全圏で陣頭指揮を執っていたのに、急に命を顧みずに先頭を切って特攻するものですから、皆に与えるインパクトはすさまじく、士気が高まります。

 

そんな人を失いたくはない、ずっとついていきたいからと「将軍に続け」「将軍を守れ」などと連鎖していきます。

 

こんな事を言いますと、そんなの当たり前じゃないかと言われるでしょうか。

 

しかし現実にに多いのは、リーダー自らがプレイヤーになっていて、それが日常と化してしまっているケースです。 

これは社長のみならず、各店の店長にも言えることです。

 

常にリーダーも最前線で動き回る。

 

とても素晴らしい姿です。

できれば僕も私も、皆続けと連鎖していって欲しいものです。

 

しかし残念ながら、その想いはなかなか伝わることがありません。

詳しい理由を述べますと、とても長くなってしまいますので省きますが、社長が何年も率先して動いているのに、その想いが伝わっている社員やスタッフは一部の人達だけ、というケースは多いです。

 

会社の売上、利益を上げていくという事はどういうことなのか?

それは

 他社よりも効率的に結果を出していけるかどうか

です。

 

もし、社長が手足を動かしていたとしても、その重要性が全社員、全スタッフ達に伝わらなければ、たかだか1人分の労力が増えただけです。

とても他社と差をつけていけるどころのレベルではありません。

 

リーダーに必要なのは

 「自分はどう動いたら他社を引き離せるほどの大きな結果が得られるのか?」

そして

 「自ら率いる組織が店舗型のビジネスのように、働く人達が多い業態であれば、どんな一手が効果的なのか?」

それを探り当て「誰も到達できないほど徹底的に極める」ではないでしょうか。