今週のマネジメント 第508号 「会社の決め事をやる、やらないはお店次第」からの脱出法

営業時間を短縮して、その時間はお店の清掃をがんばってもらうという一手。 

 「うちの会社でも昔、やってました」

 「だけど、うまくいきませんでした」

ある社長がおっしゃいました。

 

おっしゃるとおり、この一手には致命的な欠点があるからです。

 

店舗型のビジネスの経営者は、なぜこの一手がうまくいかないのか。

足りない要素が何なのか、

そんな視点が必要です。

今回のコラムはそんな内容です。

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成長する企業に必須のこと。

それは会社が決めた事を全員に徹底してもらうことです。

 

これは簡単ではありませんが、特に店舗型のビジネスとなると大変です。

なぜなら店舗はアポが当たり前の事務所仕事と違って、いつお客様がやってくるかわからないからです。

 

いくら会社の決め事を徹底してもらいたいからといって、お客様なんか後回しにしてもいいとは言えません。

 

そのため状況によっては、会社の決め事をいつまでもお店がいつまでも実施してくれない、または無視されたまま、ということもあることです。

 

 

  どうしたら忙しいお店でも会社の決め事を続けてくれるのか。

 

 

危ないのは「お店は大変なんだから、会社の決め事をやってくれない時があっても仕方がない」と受け止めたまま、会社として何も手をうっていないことです。

 

ある会社では社員間にこんな言葉が交わされていました。

 

  「やったもん負け」

 

 

普通であれば、社員やスタッフ達は会社の決め事を実行するのは当たり前の事です。

 

しかし効果的な対策がうてていなかったため、会社の決め事を真面目にやった人ほど貧乏くじを引く、そんな事は避けたい、といった概念が定着してしまっていたのです。

 

はたして、会社がこのような状態で良い結果を出していくことができるでしょうか。

 

 

社長が「忙しいお店でも会社の決め事は実行してもらいたい」とした時、重要な視点があります。

 

それは

 人は感情で動いているということ

 

 

これだけですと、そんなの当たり前じゃないかと言われるところでしょう。

 

ところが、そんな当たり前を意図して排除している企業は多いです。

 

特に「うちは体育会系だから」と言っている企業によく見られます。

 

日常的に使われる言葉は

 「仕事なんだからちゃんとやれ」

 

人の感情は配慮されていません。

 

指導する側も「もしかしたら皆が嫌がっているかもしれない」と感じていたとしても、いいからそれでもやれと強引に指示、指導を繰り返します。

 

果てはこんなおかしな決め事までできたりします。

  「店舗で何が起きたか、定期的に事実を報告し続けなさい」

 

ここで質問です。

Q:貴方は自分が不利になるかもしれない報告をずっと続けたいでしょうか。

 

 

人がどういった気持ちで仕事をしているのか。

 

そんな基本を無視したまま社内のマネジメントの仕組みを構築していっては、やがて機能不全に陥ります。

 

店舗型のビジネスの経営者が、社員やスタッフ達に会社の決め事を守って実行し続けてもらいたいのであれば、

 「お店はいつも大変」

 「だけど、どんなに忙しくても会社の決め事はやっておきたい」

そう受け止められるような、感情に配慮した形を構築しなければならないのです。

 

 

今は人手不足の時代です。

 

これは単に

 ・給料や時給を上げればいい

とか

 ・手当を増やそう

 ・勤務時間が少なくてもいいことにしよう

 ・副業も認めてあげようか

などと、採用するシーンだけの問題を潰していれば解決できるわけではありません。

 

会社全体で、時代にあわせて変化させていかなければなりません。

 

 

御社はいかがでしょうか。

 

人の感情を考慮しつつ、会社の形をつくりあげていってるでしょうか。

 

それとも、いつまでも昔から続くスタイルで

 「仕事なんだからやれ」

 「嫌な事、やりたくない事でもやるのは当たり前」

といった、人の感情が無視された形のままになっていませんか。