今週のマネジメント 業務の改善案や問題の対応策は、「責任者」が行うことなのか?

4回目の緊急事態宣言もあった今、チェーン企業各社には新たな対応を求められています。

そんな中、独特な感覚をお持ちの社長がいらっしゃいました。

 「また店の売場レイアウトやら商品構成を考え直さなきゃいけない」

 「ただでさえ忙しいのに、次々にやる事が多くなって・・・困ったもんですよ」

A社長は、現場業務に近いレベルの対応策を口にされていたのです。

 

私はその時、気になったことを質問してみました。

「A社長は、普段から現場の業務の改善案や問題の対応策などは社長自ら行っているんですか?」

 

 「大体そうですね、それで何とか回ってる感じですよ」

 「私が都度都度手を打たないと、困ったもんで社員達はうまく回せないからなんですよ」

A社長からは、言葉では「参っちゃいますよ~」とおっしゃいつつも、自分がいないとうまく回らない、という状況に少なからずご満足されている面を感じました。

 

その後、A社長は少し違和感を感じたのか、今度はA社長から逆に質問をいただきました。

 「伊東さん・・・もしかして普段から現場の業務の改善案や問題の対応策を社長が行っている企業って少ないんですか?」

 

「そうですね、会社の規模によって変わってきますが、一番少ないですね」

 「そうなんですか・・・他の企業はどんな事してるんですか?」

「大きく分けますと3通りあります」

 

1.御社のように都度都度、現場に近いレベルの業務の改善案や問題の対応策を経営陣が打ち出し続けている

2.大きな課題や問題が発生した際に、再発防止策や業務改善や効率化を経営陣で決めている

  ここが一番多いですね

3.GOかNOの判断のみ。

 (現場の業務改善、効率化は現場の人達が自ら行っている)

「ちなみにこの3つ目のスタイルをとっているチェーン企業は、他社よりも圧倒的な利益を上げられているところが多いです」

  

「ところでA社長はこれまでどのように数字を上げてこられたんですか?」

A社長は過酷な現場の第一線において長年苦労してきた方で、その過程にいくつもの輝かしい数字を出してきた方でもありました。

その点について質問してみたところ

 「私はとにかく自分で道を切り開いていましたね~」

 「どうせ誰も助けてくれないんだからと必死でした」

 「うまくいく方法は必ずあるはずだ・・・と」

その後、今まで自分がどんな苦労をして上り詰めたのか? 熱く語っておられました。

 

最後に社長は

 「やっぱり、自分のことは自分で解決するのが一番数字につながりますよ」

とおっしゃった後、何かにお気づきになったようで

 「・・・ちょっと考え直さないといけないな・・・」

と言葉を残して会社に戻られました。

 

ここに2つの疑問が生まれます。

 ・業務の改善案や問題の対応策は「責任者」が行うことなのか?

 ・何故「担当者」が行わないのか?

 

一つ言えることはA社長がやってこられたように

 自分の課題や問題は、自分が解決することが一番結果につながる

ということ

 

業績を上げていきたいチェーン企業の各組織のリーダーが取るべき行動は

 ・業務の改善策や問題の対応策を都度都度考え、対応すべきか?

 ・それとも「自分達が自分の力でなんとかしなきゃ」と当人達が自ら解決案を考え出せる環境を整えるべきか?

 

多くの場合「当人達が解決できないから」と、いつの間にか担当者以外の者(例えば組織のリーダー)が都度、助け船を与えてしまっています。

 

本来どうあるべきなのか?

 

ブレることなく、純粋に答えを追い求め

 「そうか、こうすれば彼らが自ら業務の改善案や問題の対応策を打てるようになるじゃないか!」

と解決策を見つけ出せ、構築できた企業だけが

他社と圧倒的な業績の差を広げつつ、走り続けられるプレミアムルートを見つけることができます。