今週のマネジメント 良い結果が出せたのは「自発的」だったからなのに、何故か全員には「強制」させてしまう企業
「すごい結果を出してくれた」
「一体どうやったの?」
結果を出した本人に聞いてみたところ、その人は謙遜気味に
「思いついた時、これはきっとうまくいくはずだと自信がありました」
「だから、うまくいくまで何度も必死にチャレンジし続けてたんです」
「そうか、よくやった!」
「君の行為を全員が行えば、会社の業績は一気に上がるぞ」
「よし、各組織のリーダーはこの行為を徹底させなさい!」
ところが数か月、数年経っても企業の数値は一向に上がっていかず
「一体いつになったら全員が徹底できるんだ?」
「本気でマネジメントしてるのか?」
という状態に・・・
「なんとか土台は出来てきました」
「今週中にはきっと結果を出させます!」
と前向きな発言はチラホラあるのに、何故か数値は上がっていかない
しかし細かく分析してみたら、誰もが中途半端な状態。
つまり「口だけ」だったんです。
「みんな本当に理解してやってるのか?」
「成功事例はすでに出てるというのに、・・・出来ないのはおかしいだろ」
「・・・・実は、当社はずっとこんなことの繰り返しなんです」
と、ある企業の経営者の悩みです。
次に打つ一手が有効だということはわかっているのに
なぜか、それを全員が再現できない
「最近も『これは確実に数字が上がるぞ!』というアイディアが社員から出てきたのに・・」
「それが全く浸透していかないんです」
「何か原因があるんでしょうか?」
その経営者に私が質問したことは
「そのアイディアの発案者は、誰かに『ヤレ』と言われたから生み出せたんですか?」
「いえ、彼は自ら研究を重ねて、実験を繰り返して自発的に編み出してます」
「ということは、自発的に出した案を全員には強制させているということですか?」
「・・・・そう言われてみますと」
「・・・そうなりますね」
「・・・あ~ そうか、それが原因なのか」
社長は問題の根本に自ら気が付かれたご様子でした。
この企業のように
自発的だったからこそ良い結果が出せたのに
それを全員、もしくは全店に強制させてしまう
そんな企業は多いです。
忘れてはならないのは 「なぜ発案者は良い結果を出せたのか?」
それはやはり当人が
「結果を出したい!」
と人一倍強く思っていたからですし
「絶対にうまくいくはずだ」
と想定してたから。
だからこそ、たとえ何度か失敗しても
「結果が出るまでは何度もチャレンジを重ねよう」
と粘り強さが生まれたのです。
全て「自発的」だったからこそ良い結果を出せたという事です。
これはあらゆる組織において、その組織のトップが誰よりも一番わかっているはずです。
そもそも
「やれ!」
「はい!」
のやらされ仕事で良い結果なんて出せません。
たとえ良い結果が出たとしても、それは他社を凌ぐほどの圧倒的結果であることはゼロでしょう。
ところがそんな基本的な事が体に染みついているはずなのに、
何故か組織をマネジメントしなければならないシーンとなるとぽっかりと抜けてしまい、平気で
自発的に生まれた行為を、他の人には強制させてしまっている
という初歩的なミスを延々と繰り返してしまうことがあります。
中には
「結果を出せるまで帰るな!」
などギュウギュウに締め上げてしまい、やがてはギブアップする社員やスタッフも現れ
「この企業はブラックだ」
などと、慢性的な人手不足状態にまで陥ったりする企業も・・・
あるいは
「もういい 自分でやるわ 待ってられん!」
など、各部署のリーダーだけが動いてしまい
それ以外の人達は、手薄になったマネジメントの状況下において
「この組織は何でもリーダーが動いてくれる」
「だから自分は多少手を抜いても平気だ」
「あ~なんて楽な組織なんだ」
と、手を抜かれ続け
そのしわよせが忙しいリーダーを更に苦しめたり・・・
チェーン企業は他の企業と比べて圧倒的に働く人の数が多いです。
当然その分、素晴らしいアイディアや行為も生まれやすい恵まれた環境です。
しかし、そんな素晴らしいアイディアや行為が生まれた際、
企業のマネジメントエネルギーをどこに注ぐのか?で得られる利益が全く変わってきます。
・「他の人達もマネしなさい!」という「強制力」に企業のエネルギーを注ぐのか?
・「他の人達がマネしたくてしょうがなくなる自発性の誘発」に企業のエネルギーを注ぐのか?
御社はどちらにエネルギーを注いでいますか?