今週のマネジメント 経営トップがやりたい事を行っていない企業が伸びていく可能性はゼロ

先日、久しぶりにお会いしたある方は社員時代は非常に優秀な方で

 「そこまでやるか?」

と誰からも驚かれるほどの徹底的な仕事振りが印象的な方でした。

彼は誰よりも優秀な結果を出し続けられてきた為、今や企業のトップとなっています。

 

そんな社長は、日々社員やスタッフのマネジメントをする立場となったわけですが

おっしゃった言葉は

 「伊東さん、実はマネジメントに手こずってまして・・・」

 

私は 普段どんなマネジメントをしているのか? 聞いてみたところ

意外だったのは、かつては「仏の〇〇さん」と呼ばれていたほどの温厚で優しい方だったのに

 「何事もとことんやり抜いて当たり前!」

 「妥協はいっさい許さない!」

といったガチガチのマネジメントを行っているとのことでした。

 

 「意外ですね」

 「私はてっきり、社長は伸び伸びと自由な社風を築き上げていると思っていました」

 

社長は

  「会社を成長させていくには、自分が変わらなければいけないな」

と思ったからでして・・・と

なんだか歯切れが悪いご様子だった為、更に踏み込んで聞いてみたところ

 

  「私は本当は、会社の人達は誰もが楽しく、助け合って・・・

  「どの部署の誰もが笑顔が絶えない、そんな職場にしたいんですけどね・・・」

 

  「やりたくもないマネジメントまでやっているのに、業績は思うように上がっていかない」

  「何か間違っているのか?と思っていまして」

  

「あ~ なるほど よくわかりました」

「業績が伸びていってないのはそれが原因です」

「社長がやりたいマネジメントをしていないからです」  

 

 

こんな企業をたまに見かけます。

 ・販売面では、やりたいことができている

しかし

 ・マネジメント面となると「本当は●●していきたいけど、しょうがなく□□してる」

 

それは例えば

 ・助け合い、笑顔が絶えない社内にしたいのに、ガチガチに厳しくしてしまう

 ・地域の模範となれるほど体育会系でビシビシ熱血な会社にしたいのに、大らかにニコニコ優しくし、多少のミスも許してしまう

 ・自分は一切動きたくない、司令塔でいたいのに、誰よりも率先して背中を見せ続けてしまう

など

 

しかし、断言しますが

 経営トップがマネジメント面で、やりたい事をできていない企業が伸びていくことはありません

これは会社の成長を阻害する最も大きな要因です。

  

その理由は簡単で

 人は好きな事、やりたい事を実現できてこそ大きな力を発揮できるから

 

 ・誰よりも接客が得意で結果を出せる社員を、裏方に回すような店長はいませんし、

 ・誰もが思わず立ち止まって商品を手に取りたくなる売場づくりができる人に、一切売場に触れない職務につかせるリーダーはいません

 

 ・唯一数学が得意な学生に「君は文系に進みなさい」という教師はいませんし

 ・金メダルが取れるほどの水泳の記録保持者に「格闘技を始めなさい」なんていうコーチもいません

「そりゃ当たり前でしょ!」と誰からも突っ込まれるほどの当たり前な理由です。

 

ではなぜこんな「超」が付くほどの当たり前のことをひん曲げてしまうのか?

 

 経営トップが行いたいマネジメントを我慢して、別の手段をとってしまう

という傾向はどうも

 ・創業者兼経営者など「根っからの社長」よりも

 ・社員などの下積みが長かった経営者

に多く現れるようです。

 

おそらく 「自分はまだまだなんだ」 という考えが根底に残っているからかもしれません。

 

そんな方は「コツコツ努力する」ことは得意中の得意なんですが

会社の業績UPに最も重要な要素である

 「経営者が好きな事、得意な事にとことんのめりこむ」

という最強の武器までをも

 「自分はそんなことをしてはいけないんだ!」

と自ら封印してしまう傾向があります。

 

そしてその引き金は

会社の業績がイメージ通りに得られなくなった時です。

 

そんな時に限って 経営のトップの周辺にいる人達は

 「ああするべきだ」

 「いや、こうするべきだ」

と口を出してきます。

 

そして

 「そうか、自分にはそれが足りなかったのかもしれない」

などと素直に耳を傾け、自らを戒めてしまい

本来やりたかったマネジメントを封印してしまうようです。

 

社長も、もしかしてそんな状況下にいたのでは?と思い

 「なぜ社長は、したくもないマネジメントをしているんですか?」

と質問してみたところ

  「ある人にそうアドバイスされたからです」

  「経営トップなんだから厳しくすべきだ・・・など」

 

 

断言しますが、企業のトップに

 「あなたの強みは何ですか?」

 「会社をどうしたいんですか?」

 「社長は何が得意ですか?」

などと一切聞きもせず、生かそうともせずにいきなり

 「経営のトップなんだから〇〇すべきだ」

 「まずは〇〇しなさい」

 「だからうまくいかないんだ。すぐに〇〇した方が良い」

などと、いきなり自分の考えを押し付けてくる輩がいたら100%怪しいヤツです。

絶対に良い結果が出せないと思ってください

 

私が社長にお伝えしたのは

 「経営者は『自分が好きな事、得意な事をしない』という選択肢は絶対に選んではいけません。」 

 

大事な事は

 「自分はどう動いたら、会社の業績が上がるんだ?」

と考え、行動を変えるのではなく

 「自分が好きな事、得意な事に集中し続けられるにはどうしたらいいのか?」

自らを取り巻く環境自体を変えようとするべきです。

 

 

 「こんな組織にしたい!」

 

それを口に出した時

 「なんだその幼稚な願望は?」

 「まるで子供の夢だな!」

などと周囲の人達には、笑われるかもしませんし

 「欲望丸出しじゃないか!」

 「下心強すぎ!」

 「大の大人が、恥ずかしくないの?」

などと軽蔑されるかもしれません。

 

しかし他社よりも圧倒的な利益を出し続けられている企業は「何が何でもそうしてやる!」と

取り巻く環境を変えることができています。

 

 

自分の欲望に素直になれるか?

そしてそれを貫き通せるか?

チェーン経営のマネジメントには非常に大事な要素です。