今週のマネジメント エース級の加盟店や代理店が増え続けていくチェーンの条件とは?

先日、とある企業の販売代理店を利用した時のことです。

 ・来店予約の電話を入れたところ「ただいま問い合わせが多くなっていますので再度おかけ直しください」
 ・しょうがなく店舗まで行って商品について質問をしたところ「担当者に聞いてきます」を5~6回以上繰り返され
 ・ようやくどんな商品かわかってきたので、最新のものより古いタイプの商品の購入の決断をしたところ「担当者がいませんので今日は売れません。購入の予約を入れて下さい」
 ・そしてなぜか予約を入れた後に「日々値段が変わりますが?よろしいですか?」
 ・それでいいわけが無いので、値段が上がったらその旨私に電話をいただけるように依頼
 ・当日になっても電話が無かったため、安心して店に行ったらなんと昨日の2倍の値段を要求される
 ・訳が分からず「本当にその値段?」と再度念押ししてみたところ「少々お待ちください」とスタッフ同士のやりとりが始まり、かすかに「値段が反映されていないのでは?」などのやりとりが聞こえたり・・・

 ・そして、〇〇円です(昨日聞いた値段に戻ったが、2倍の値段を提示したことは謝罪もなくノーリアクション) 
 ・そして何故か昨日は「ポイントは使えませんよ」と言われてたのに「ポイント使いますか?」と言われ

 ・「え? 昨日は使えないって話でしたよね?」と聞いてみると「いえ、使えますが?」と逆に私(客)の方が何言ってるの?状態

 ・「それでしたら最新の商品を買いますよ」と結局昨日からのやり取りはただの時間の無駄となってしまいました。

 

二転三転どころの騒ぎではなく、もうヘトヘト。

お金を払っている側なのに、何故か大変な目にあいました。

さすが業界一強、その殿様商売っぷりに見事に翻弄されてしまいました。

 

「代理店のマネジメントがうまくできていないなあ」と感じたその数日後、

まさに「当社はその代理店の制度で今までずっとやってきました」

という経営者からご相談をいただきました。

 

その企業は

 「当社はオペレーションに妥協は許しません」

 「販売代理店制度を採用してはいますが、直営店だけの

  レギュラーチェーンにも負けない、徹底された運営をしてもらいたい」

と、どこかの殿様商売を続けている企業とは全く違った強い意志をお持ちなのですが

社長が求める自社の成長イメージと現実がかけ離れてしまっている為

 「代理店が思うように成果を上げてくれない」

 「いっそ全直営店にしていれば良かったと思ってるくらいですよ」

そんな不満を漏らされていました。

 

「どうしたんですか?」

踏み込んでお聞きしたところ、社長がおっしゃったのは

「エース級の成果を上げ続けられる代理店が少ない」ということが不満なご様子。

 

 「私が代理店制度を取り入れた理由は、それぞれが独立している形だからなんです」

 「『誰も助けてくれない』『失敗したら後が無いぞ』という常に背水の想いで

  緊張感を保った経営をしてもらえるから」

 「だから各店、本気を出し続けてもらえると思っていた」

 

 「ところが、フタを開けてみますとびっくり『低空飛行ばかりじゃないか!』と」

 

 「クレームも多いし、社員やスタッフがきちんと商品、サービスを理解してない」

 「基本的な接客態度がなっていない」

 「店は汚いし、チェーン全体のイメージも維持しようともしない」

 「今一時、その場限りの数字稼ぎばかりに走ろうとする」

 

 「何とかしようとしても本部から直接、指導することもできないから、

  何をするにしても時間がかかってしまう」 

 

 「どうしたら販売代理店は数字を大きく上げられるようになってくれるのか?」

 

 

社長に私が質問した内容は

「御社は、代理店が困っている事に対して解決へのルートを明示できていますか?

 

 「ルートですか?  そういったものは特に・・・」

 「当社は代理店に対して常に真剣に向き合ってきましたから、

  信頼性は十分に伝わっているとは思いますが・・・?」

 

「本部が解決へのルートを明示していないということは、代理店にとっては

『本部に相談したら解決してくれるかもしれないし、逆に解決してくれないかもしれない』

とも思われてしまっているということです」 

そして問題なのは

「解決してくれないかもしれない」だけでは済まされず

それ以降、自社はどうなってしまうのか? 

セットで考えられます。 

 

例えば、代理店が自社で抱えている課題がうまく解決できず、

恥を忍んで、本部の担当者に相談した場合 

 「私が普段から『やりましょう!』って言ってることをきちんとやってくれないから、そうなったんですよ!」

説教で返されるかもしれない と勝手にマイナスの想像をされている可能性があるということ。

 
また、ある担当者からは 

 「へ~ 御社はそんな現状だったんですか?」

 「思ったよりひどい状態ですね~」

同情だけされるだけかもしれない

 

ある担当者からは「大変なんでしょ?」

        「だから、これからも本部の言われた通りの事をきちんとやりましょうよ」

などと解決策でも何でもない、ただ担当者自身の株を上げられるための強要をされかもしれない


ある担当者からは

 「それは御社の仕事ですよね?」

 「それぞれ独立企業体で経営してるんですから、自力で何とかしてもらわないと困りますよ」

相談の返答などされず、冷たく突き放されるかもしれない

 

そして、恥を忍んで相談した後

 「あの店そんなことなってたの?」

 「うわ、ひどいね~ 大変だね~」

 「普段からひどい運営だったからそうだとは思ってたよ」

などと陰で噂されるかもしれない

 

「いや、・・・・さすがにそんな社員は当社にはいませんが・・・」

「でもそうか・・・『思われてしまっている』か・・・明示していないという状態は危険ですね」

深刻な状態であることに、社長自らお気づきになられたご様子でした。

 

よって加盟店、代理店の制度を採用しているチェーン企業には必要なのは

 ・店舗のお困りごとの解決へのルートが目に見える形で事前に明示されていて

 ・どの担当者であっても、お決まりのルート通りにゴールまで手取り足取りご案内することができ

 ・その結果、数値、業績がどう変わっていくのか? 実績も示せている

ことです。

 

例えば、もし社長がどこか遠方の地で1泊したいと考えた場合

次の2つうち、どちらのホテルに行きますか?

 ・1泊いくらで 今、空きが有るか? 明示されているホテル

 ・一見、ホテル風の佇まいの建物 明示は何も無し

 

 「それはもちろん、明示されている方ですね」

 

そうですよね

明示されていなければ、どういったことが予想されるのか?

単に「うちは1泊できませんよ」で済まない可能性もあるということです。

 

下手したら

 「どこにも泊まれるなんて書いてないじゃないですか~」

 「まったく、変な人だなあ~」

などと笑われかもしれません。

 

更に

 「あの人、今日泊まるところ無いんだってさ~」

 「かわいそ~」

などと内輪で酒のつまみにされているかもしれません。

 

他の例だと

例えばダイエットを考えている女性がどんな店を選ぶのか?

 ・何日間のトレーニングでトータルでいくらかかるのか? ダイエットコースが明示されていて、更に体験者の実績は平均-〇〇kg などの表示があり、CMも盛んに行っている企業なのか?

それとも

 ・ダイエットコースの明示は何もないけど、ありそうな雰囲気のスポーツジムなのか?

 

明示が無い後者に足を運び

  「ダイエットコースを受けたいんですが ?」

と問い合わせて、お断りされた場合

 「無かったかあ~。残念」

では済まされないでしょう。

 

 「へ~、あの女性はダイエットしたいんだ」

 「必死だね~」

なんてニヤニヤ噂されるかもしれません。

 

 

 「伊東さん、 それじゃチェーン本部としては代理店のあらゆるお困りごとに対して

  事前に解決策を明示しておくべきだということですか?」

 

あらゆる・・・とまで広げてしまいますとキリがありません。

業績を伸ばせて行けているチェーン企業は

これが加盟店、代理店のお困りごとのトップ3だ』などと、ある程度予想をつけて

 「そんな場合には、こういう解決方法がありますよ!」

 「そして課題は流れるように解決されていき、数字も変化します。どうぞご安心ください!」

 「少しでも困ったことがありましたら、お気軽に本部にご相談下さい」

と構えられていて、あらかじめ目に見えるように明示されています。

 

 

チェーン本部として、加盟店や代理店制度を採用していた場合

 ・いくつかの課題解決方法があらかじめ明示されていて「いつでもご協力しますよ」状態なのか?

それとも

 ・それぞれが独立企業体なんだから、それぞれが独自に努力していきましょうよ とスタンスをとっているのか?

 

どちらが業績を上げていけるか?は

戦闘態勢に入る前の「構え」の状態である程度決まっています。