今週のマネジメント リストラはマネジメントとして有効なのか?
先日ある方からこんな質問がありました。
「伊東さんのマネジメントの仕組みに『リストラ』という要素は入ってるんですか?」
過去にも同じような質問を受けた事があります。
結論から言いますとNOです。
その理由は、リストラをチラつかせて従業員の本気を得られるかどうか?は、店舗を持つ企業共通の要素ではないから
当社のコンサルティングにはクライアントごとに個別コンサルティングコースをご用意しております。その内容は「働く誰もが売上利益を上げていってくれる半自動的なマネジメントの仕組みを構築するお手伝い」ですので、企業によって効果が違ってきてしまう要素は必須として取り入れてはいません。
つまりリストラをチラつかせて「従業員に本気を出させよう」という一手は、うまくいくかもしれませんし、逆に失敗するというリスクもあるということです。
ではリストラをうまく活用して、誰もが本気を出してくれる体制にできるのはどんな企業なのか?と言いますと、それは「その企業で働いている」というステイタス自体がブランド価値となっている企業だけです。そんな企業は放っておいても「御社で働きたいです」という希望者は殺到していて、周囲からの目は「へぇ、おたくの息子さん〇〇社に勤めてるの?いいとこ勤めてるねぇ~」と言われるような企業です。
よって「これから会社を大きくしていこう」とする企業がリストラをマネジメントの一環として利用するのはお薦めしません。
社員やスタッフの考えはそれぞれで様々です。
「早期退職の案内がこないかな~」と機をうかがっている人もいれば「勤続〇年になった時のプレミアを利用して転職しよう」とカウントダウンを始めている方もいるでしょう。また「他社からの引き抜きにあってるから、さてどう切り出そうか」と今や遅しと心はすでにここにあらずという方や、もしかしたら「会社に恨みがあるから、ブラックなことをされたらそれを広めてやろう」と画策している人もいるかもしれません。
ところが恐い事に、社員の採用やスタッフの募集に日々多くの苦労と高いコストをかけ続けている立場でありながら、リストラをチラつかせて本気を出してもらおうとする企業もあります。経営陣と実行部隊との関係に問題があると言わざるを得ません。
では他社を圧倒する成長を続けている企業はどんなマネジメントをしているのか?
各社の状況や規模、業種、従業員数、地域性などの違いがありますので一概に「コレ!」といった手段はありませんが、その企業がどうなっていくのか?といいますと
・「早期退職の案内がこないかな~」と機をうかがっている人は「あれ? なんだかんだ自分はこの会社で頑張っちゃってるよなぁ」
・「勤続〇年になった時のプレミアを利用して転職しよう」とカウントダウンを始めている方は「もう自分はいつ辞めてもプレミア付きで辞められるんだけど・・・まぁそれはいつでもいいか・・・」
・「他社からの引き抜きにあってるから、さてどう切り出そうか」と今や遅しと心はすでにここにあらずという方は「なんか会社が良い方向に変わってきてるんだよな~・・・今辞めちゃうと後悔するかも?」
会社は、従業員達の目の前にニンジンをぶら下げて「今すぐ食いつきたい!」といった即効性を誘っているわけではなく、「なんか・・・心地いいよね~」というジワジワと効いてくるような充実感が得られる素晴らしい環境を創り上げられています。
最近アメリカのIT企業ではツイッターを皮切りに、事業縮小の為に人員削減が盛んなようですが、それを安易にマネて「そうか、リストラという要素をムチに使ったら?・・・」などとマネジメントに取り入れてようとしてしまう企業が無いことを願っています。
ハッキリ言いますと「マネジメントの一手にリストラを取り入れる」という考えは浅はかです。こんな考え方は誰でもできます。
誰もが本気となる仕組みを確立し、圧倒的に稼いでいる企業のトップは誰もが到底思いつかない核心が頭の中にあり、そこから行動が生まれます。
その為「この社長は底が知れない」「この人についていけば、自分も大きく成長していけるんじゃないか?」という底なしの魅力が漏れ溢れています。
逆に誰もが思いつく案ばかりだと「所詮その程度なのね」と捉えられ「この人についていきたい」と願う人もまた少ないです。
一番の問題はリストラには人に対する思いやりが含まれていません。
人に本気を出してもらい、業績を上げていきたい企業にとって「思いやり」は無くてはならない要素です。
どの企業にもそんな思いやりが溢れていて「ずっとこの会社にいたい」「ぜひこの企業で働きたい」という想いが絶えることのない社会になってほしいと願っています。