今週のマネジメント なぜスタッフを統率できない店長が増えているのか？
「当社の武器は人と人との団結力です」
「ヒトこそ企業の命です」
という形でずっとやってきました。
だから緊急事態宣言が解除され、各社は「よし、これから攻めに転じていくぞ」と切り替え中の今
ヒトで結果を出してきた当社は、切り替えどころか結果をすぐに出せるチャンスだ。
猛烈なスタートダッシュを見せて、他社に大きなリードを広げるぞ
ところが思ったほどの結果が出てこない
熱も感じない
「社長、もうかなり売れました！」
を求めてるのに
いまだに
「売ってもいいんですか？」
というスタンスの店長もいる始末・・・
実はこんな調子なのは今に始まったことじゃないんです。
コロナ禍に陥る前から
「周りを見てから動きます」
という「待ち人間」が増えていました。
今までは
「さすが元気印のＡ社さんだ」
「勢いが違うよね」
と注目を浴びてたのに、今やその特色が失われてしまっています。
昔は当たり前のようにできていた
「全員が本気を出して、大きな結果を出せるようにしたい」
「各店長は社員、スタッフをグイグイ引っ張って欲しいんです」
「何か足りないんでしょうか？」
ある社長からこんなご相談がありました。
自社の強みを「ヒト」として、他社を圧倒できている企業で大事なのは
「全員のベクトルの揃え方」
が重要になってきます。
なぜなら、何人かのベクトルが逆方向となってしまっていては
全員が力を合わせた時、マイナスの方向に働くからで会社の勢いは減少してしまうからです。
そして実際に勢いがある企業は
「いかに全員をグイグイ引っ張れるか？」
よりも実は
「いかに逸脱や脱線を防ぐか？」
こちらに多くのエネルギーを割いています。
私が社長に質問したのは
「御社では逸脱や脱線を誰が、どうやって発見し、修正していますか？」
「それは各組織のリーダーが発見、修正しています」
「部署なら部署長が、店舗なら店長ですね」
「問題はそこです」
「各リーダーに企業側から『武器』を与えていない点です」
そもそも会社の示す方向に沿わない、別方向に向かうという「逸脱」や「脱線」はどこで発生するものなのか？
それはやはり 監視の目が無いところ です。
イレギュラーや、別ベクトルが発生するのは決まって管理者、指揮者から見えないところ、死角から発生するものです。
警察署の目の前で「爆音をならし、猛スピードで走り抜ける車」はまずいません。
しかし、15年前まではどのチェーンもそんな「目の届かない所から発生する問題」は屁とも感じていませんでした。
なぜなら「リーダーは働けば働くほど結果を出せる時代」だったから
「私は店長時代には結果を出すまでは家に帰らなかったぞ！」
と自慢をする人もいれば、それを聞いた方は
「何を、俺なんか店に段ボールを敷いて寝泊まりしてたぞ！」
など
「いかに仕事に人生を捧げていたのか？」
が美徳とされる時代でした。
しかし今はどうでしょうか？
「長く働けばいい」
なんて風潮はほとんどありません。
それどころか
「週休３日」
「副業ＯＫ」
なんてうたう企業もあるほどです。
「段ボールで店に寝泊まりしてた」
なんて言ってみようものなら
「コイツはどうかしてる」
「狂った人だ」
と言われかねませんし、そんなことを企業として放置してしまっていたら
たちまち「ブラック企業」と認定されることでしょう。
つまり昔は「見えない所から発生する逸脱や脱線」をいち早く発見し、修正するために
「長く働く」という武器
があったのです。
そして今は、その武器が使えません。
見事に錆びあがっていて、刃も欠けて、朽ちています。
さら時代は進み、追い打ちをかけるがごとく
・店舗の営業時間も増え
・店舗の休日も減りました
年中無休をアピールする企業がたくさんありますし、
２４ｈ営業のお店も数多く存在します。
さらにコロナ禍による「３密回避」も追い打ちをかけます。
かつては
「いいか、これはここをこうするから数字を上げられるんだ」
「そうじゃない、こうするんだ、やってみなさい」
「違うって こうだから よく見なさい！」
などと濃厚な接触によるマネジメントができない状態です。
つまり
・長くも働けない
・メンバーと顔合わせるタイミングも少ない
・濃厚接触もできない
という大きな変化が３つもあるのに、経営陣は各リーダーに
新しい武器も与えずに「早く結果を出しなさい！」
と言ってしまっているのです。
こんな中で、素手で功績を挙げられる人は100人いたとしたら、一体何人いるのでしょうか？
時代に合わせた立派な武器を与えていますか？
「素手で戦え！」 「早く結果を出せ！」 だけになっていませんか？